体育祭終了 前編 side:本条花凜
図書室で1人、時間を気にせずただぼーっと過ごしていると人の喋り声がうっすら聞こえてきた。
はっ、と思い焦ったが時計を見るとどうやらお昼の時間になったらしい。
確かに少しお腹がすいている。
私は、ゆっくり図書室の扉を開け自教室に向かった。
教室に入ろうとすると、お昼ご飯を食べている斉藤くんと綾瀬さんの姿をすぐに見つけ、一瞬入るのを躊躇ったが、そういう訳にはいかない。
私はいつもと同じ顔、態度で教室に入る。
斉藤くんは進藤くんたちと一緒にお昼ご飯を食べているらしく、私の隣の席にはいない。
それだけで私は少し、ほっとしてしまう。
今、斉藤くんから話しかけられたらまともに返事ができる気がしない。
もう少し落ち着いてからなら、明日なら大丈夫だけど今はダメだ。
私は自分の席に着き、お弁当箱を開く。
今日は私が作ったのではなく、お母さんが作ってくれた。いつもよりちょっぴり豪華なお弁当だ。
そう言えば家を出る前にお母さんが、頑張ってね、と言ってくれた。
……お母さんごめんね、少しだけサボっちゃいました、と反省しながら私はお昼ご飯を食べ始めた。
お昼休憩が終わって、体育祭は午後の部を迎える。
私が出なければいけない競技は、午後の部が始まってから3番目の女子合同玉入れだ。
競技が始まるまでの間は、周りの人たちを真似して応援した。
ちなみに綾瀬さんと同じ軍だが、席が真反対のため話すどころか会うのも難しい。
結局あの時から一言も交していない。
だからといってこちらから話しかける話題もない。
私はただ、グラウンドで頑張っている人たちを応援していた。
ついに玉入れが始まった。
私は、自分で言うのもあれだが運動ができない方ではない。だからといってできる方でもないが。まぁ普通だ。
初めの方は順調に籠に玉を入れることが出来た。
しかしやはり暑さでだんだんと集中力が切れていく。そんな時に、私は落ちている玉を踏んでしまい、バランスを崩し転んでしまった。
周りから心配されたが、運良く擦りむいたのは手のひらだけだった。
ハプニングがありながらも玉入れは2位という結果で終了した。
擦りむいた所に少し砂が入ってしまったため、私は手洗い場で手を洗ったがここで忘れ物に気づいた。
そう、午前に取りに行こうとしていた、ハンカチだ。
うーー、と手をバタバタさせ水気を払い、私は再び生徒玄関へと向かった。




