プロローグ
この世界は不完全だ。
もやもやした情景、透明な光景が瞳に映る。
その世界はきっと夢の中なのだろう。断片的な記憶が曖昧に改ざんされ、記憶から掘り起こされる。
挙句、それをデタラメに繋ぎ合わせて都合の良い願望を映し出す。
それが夢だ。
今回も今回とて、持ち主の願いを適当に叶えるために力は行使されていく。
ぼやけた人型、もう届かない人に手を伸ばそうとするが、当然のごとく其処には届かない。体は動かない。
―――――!
届け、と願っても無駄な話。
映画館で映画を見ているとき、映画の登場人物に向かって叫んだ客と同じようなもの。
声は届かない、姿は見せられない。
物語の中の住人にこちらの声は届かない。構わず、ただ台本道理に進めていくだけだ。
―――――ろ!
だが、そんなことはとっくに理解しているのに、この手を伸ばすことを止めはしない。
ずっと逢いたかったんだ。また、もう一度逢って、抱きしめてほしかったんだ。
そんな願いを中途半端に聞きつけた誰かが、こんな夢を作り出す。
どうせ、最後の最後まで夢を見させてくれるわけでもないのに。
―――――ってのっ!
今回もまた、いつもと同じ。
こうして後少し、というところまで手を伸ばして。虚空の中から望みを掴み取ろうと、もがいた挙句―――
「もうっ、起きろってのっ! お兄ちゃーんっ!!」
結局、願いは果たされることなく。
騒がしい目覚まし時計のような声が頭に鳴り響き、こうやって現実に引き戻されるだけなのだ。
初めまして、蟹座氏と申します。
この物語は学園バトルものですw 色々と無茶してますw
これから恐らくは何十話にもなる長編へとなっていく予定ですので、どうか最後までお付き合いいただけたなら幸いです。
できるだけ読者様に続きを楽しみにしていただけるような、そんな物語に仕上げたいと思っています。
色々と至らない点があるでしょうが、叱咤激励などをしていただければ嬉しいですw
それではお楽しみください。末永く宜しくお願い致しますっ