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プロローグ
ある晴れた日、僕は空を見上げた。空は雲ひとつない、と、皆は言うが、僕は何も見えない。
僕が小学生の時、目が見えないと言う理由でいじめに会い、不登校になった。何もないぽっかりと穴が空いたような6年間を過ごし、その件で家族は離婚。僕にはもう未来はないと考えていた。遠い中学校へ転校し、またいじめられ、不登校になる。人の顔を見たことが一度もない僕は、一体何ができるのだろうと、ずっとそう思っていた。
けれど彼女は違った。見えなくても、温かみがあり、ずっとそばにいるように感じた。けれど、それもまた、違っていた。