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#10 王VS太公望

 智也が元気よくスタートの合図をすると同時に、新海さんが上に向けた手のひらで川を指し示した。先に釣り座を決めろということらしい。

 侮辱されたとは思わなかった。

 さっきもはっきりと感じた通り、オレは青コーナーに立つチャレンジャーだ。相手が先行という明らかなアドバンテージを譲ってくれるというのなら、ありがたく受ける。

 オレは新海さんに向かってキャップのつばに手をやると、目をつけていた消波ブロックが積まれた場所に向かった。

 魚に気取られないよう、慎重に足音を忍ばせて歩く。水中に棲む魚は、空気の震動である人の声より、水に直結した地面の震動の方により敏感だ。

 後ろから本日のオレ専属キャスター、川原瑞季が着いて来る気配がある。

 ルアーをキャストし始める前に、川原を振り返って声をかけた。

「なあ、川原」

 オレの呼びかけに、川原は黙って頷く。

「オレが釣りをしている時は、絶対に5メートル以内に近付くな」

「へ?」

 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔、ってよく言うけど、今の川原の顔がまさにそれ。クルッポッポーって感じだ。

「どうして?」

 鳩の顔がみるみる不機嫌になる。

 彼氏に近づくなと言われたことが、お姫様のプライドをいたく傷つけたらしい。

 だが、これはプライドとかの話じゃない。

 オレは説明の手間を省くため、父さんのベイトタックルを手にすると川原から離れた。そして川の方に向き直り、わざと背後の木の幹に向かってテイクバックを取る。

 オレが川に向かってロッドを振り出した直後、ガシッ、という鈍い音と共にスイングが止まった。

「理由が分かったか?」

 木の幹に根本まで食い込んだルアーのフックを目で示しながら、オレは川原に低い声で言う。

 ついさっきまでと打って変わった青ざめた表情で、川原はコクコクと頷いた。

 そんな川原の顔を見ていると、急に少し可哀想に思えてくる。ちょっと薬が効き過ぎたか?

「お前のことが大事だから言ってるんだからな」

 思わずそんなフォローが口から出る。

 ……あれ? よく考えたら、オレ今スゲーこと言わなかった? 「大事」じゃなくて「心配」とかにしとけばよかったかな?

「分かってる」

 川原が真っ赤な顔で俯きながら、消え入るような声で言った。

 ああ。なんか違うモノまで効き過ぎたらしい。

 オレは手にした父さんのベイトタックルを、自分のスピニングタックルに持ち変えた。

 父さんにこの季節は巻きモノ勝負だと言われていても、沖に向かってフルキャストする前にやるべきことがある。

 消波テトラのような入り組んだ障害物には、その隙間に身を潜めるようにバスがついていることが多い。物陰に姿を隠して外敵から身を守ると共に、警戒を解いて目の前を通る小魚や手長エビといった獲物を待ち構えているのだ。

 オレはラインの先にセットしたルアーをチェックする。

 このスピニングタックルにセットしてあるのは、ワームと呼ばれる樹脂やソフトプラスティックで作られたルアーだ。形状はミミズなどを模して作られている。

 今セットしてあるのは、「カーリーテール」と呼ばれる薄い三日月型の尾のような部分がついたタイプで、オモリを使わないいわゆるノーシンカーセッティングにしてあった。

 音を立てないよう注意しながらテトラの一つに乗ると、しゃがんだ姿勢から下手で数メートル先の別のテトラの際にそっとワームを落とす。

 シンカーを付けていないので沈んでいく速度はゆっくりだが、この辺りは川の流れが緩やかなため狙いの場所から流されてしまうということはなさそうだ。

 ラインの動きでワームが着底したことを確認し、そのまま数秒動かさずに待つ。

 リールをラインのたるみを取る分だけ巻いて、軽くニ回ロッドティップを煽った。

 煽りで手前に引き寄せた数十センチ分のラインだけ巻き取り、また数秒待つ。そしてまた細かい煽りを数回入れるというこの動作を繰り返して、自分の手元にワームが戻ってきたところで回収した。

 オレはニメートルほど前のテトラに移動すると、最初と同じ動作を繰り返す。

 五メートル以内に近づくなというオレの指示を律儀りちぎに守って、川原は岸をオレと平行に移動していた。

 オレの指示をかたくなに守りながらも、けして一定距離以上は離れないその川原の様子を見ていると、自立をうながそうと突き放す親猫の後ろをオドオドついて行く仔猫みたいに思えて、おかしいやらカワイイやら、何だか変な感じだ。

 オレはそっと小声で川原に呼びかける。

「おい、川原」

 川原はオレの呼びかけに反応しながらも、こちらに寄って来ようとしない。

「川原?」

 不審に思って再度呼びかけるオレに、川原は拗ねたような声でボソッと返事をした。

「釣りしてる時は五メートル以内に近づくなって言われた……」

 ああ、もう! オレの彼女メンドクサイよう!

「悪かったよ、もう! オレが呼んだ時はイイの」

 オレの言葉に川原はトテトテ近づいて来て、オレが乗っているテトラに危なっかしいしぐさでよじ登る。

 川原、こんな時に落水とかしないでくれな、頼むから。

「オレが今、何してるか分かるか?」

 オレの様子で大きな音を出すのがまずいと理解しているのか、川原は黙って首だけを横に振る。

「このテトラの隙間に隠れてるバスがいないか、きわに沿って少しづつ探って行ってるんだ」

 勝負の最中だが、川原にルアーのレクチャーをしておくにはいい機会だ。

「釣り場に入る時は、こういう風に足もとに近い方から順に探って行かないと、魚を驚かせて釣れなくなる」

 川原は真剣な顔つきでラインが水面に消える場所に目をらしながら頷く。

 その時、ラインが沖側にすうっと流れるのをオレの目が捉えた。

「来た」

 オレは囁きながら素早くロッドを倒してリールを巻き、ラインのたるみを回収する。

 ロッドのシャフトに左手を添え、パシッと軽くフッキングした。ラインが手もとに魚の抵抗の動きを伝えて来る。

 軽い。

 さしたる抵抗もなく、魚は簡単に手もとに寄って来る。オレはネットも使わず、直接魚を水中から抜き出した。

 空中でラインを受け止めるとバスの口を開かせ、下顎したあごの部分を指でつかむ。

 うわー、小さいなぁ~。

 オレはウエストポーチの中を探りながら、川原に言った。

「川原。智也に電話して、お父さんにキーパーサイズを聞いてもらってくれ」

 うっかりしていた。開始前に確認しておくのを忘れてた。

「きいぱあ?」

 川原は理解できていない様子ながらも、携帯を取り出して発信動作を行う。

「……あ、智也? おと……新海さんに、きいぱあ? サイズを確認して」

 川原が携帯に向かってわたわたと喋っている。

「……え? どこのチームのって…… 、私にも分かんないわよ、そんなコト! そう言えば分かる、多分」

 なんとも不安な伝言ゲームだが、どうにか新海さんに話は伝わったらしい。

 電話の声に耳を澄ませていた川原が、オレを見て言った。

「二十三センチだって」

 おっと。何て甘い基準。

 オレは頷いて取り出したメジャーで魚を計測する。何とまあ二十六センチ。続いて重さを量る。

「二十六センチ、四百三十グラムだ。川原、向こうに伝えてくれ」

「分かった」

 川原はそのまま電話で智也に数値を伝えると、通話を切って携帯のメモにデータを打ち込んだ。

「やったね。先制パンチ」

 携帯をしまいながら、川原がゴキゲンそうに言う。

 オレはリリースしたバスがピチャン、と跳ねながら水中に消えて行くのを見届けると、川原に向き直って答えた。

「こんなもんじゃ、ジャブがかすったようなもんだよ。すぐに強烈なカウンターが飛んでくるぞ」

 川原は実感が湧かないらしく、ふーん? と首をかしげる。

「ところで、きいぱあって何?」

 川原の質問に、オレは再びワームを打ち込みながら答えた。

「規定サイズのことだよ。それより小さいサイズの魚は成績の対象にならない。即、リリースしなきゃならないんだ。プロのトーナメントなんかだと、二十五センチくらいが普通だ」

「へえ。釣りにプロなんてあるの?」

 川原は意外そうに目を見張って言う。

 うん、まあそれが大方おおかたの人の感想だろうな。

 その後もさらにテトラ際を探っていくが、反応はない。

 そろそろ巻きモノタイムですかね?

 タックルを変えようとテトラを下りた時、川原の携帯が鳴った。

 携帯に出た川原はしばらく相手の声に耳を傾けていたが、やがて「分かった」とだけ言って携帯を切る。そしてオレを見て告げた。

「三十二センチ、五百二十グラムだって」

 来た、カウンター。それもこんなに早く。

 溜め息をつくオレにそっと近づくと、ニッと笑いながら川原は言う。

「彼氏がそんな顔してると、こっちまで不安になる」

 そして落ち気味の彼氏を鼓舞するためか、オレの左頬に音高くキスした。

 ちょっと。最近コイツ、ダイタン過ぎだろ。




 彼女の励ましのキスを受けたオレは気持ちを切り替え、ベイトタックルを手にして再び岸に戻った。

 こちらにセットしてあるのは、クランクベイトと呼ばれるタイプの巻きモノだ。水中を引くと、ボディを左右に細かく振って魚を引きつけてくれる。

 まずは、自分が立っている場所から半径五メートルくらいの範囲を扇形に探って行く。

 クランクは「リップ」と呼ばれる先端の部分に水流を受けることで潜水して行く構造なので、リールを巻く時に大きな抵抗を受ける。

 このルアーをスピニングタックルで使うのは確かにホネだ。

 半円を一通り探って反応なし。

 次は半径を七~八メートルまで広げて探っていく。

 突然、リールを巻く手に強い抵抗がかかる。

 その瞬間の硬い手応えで、すぐに根掛ねがかりだと分かった。たぶん、大きめの石か何かだ。

 オレは溜め息をつきながらラインを少し緩め気味にして、ロッドの先端を細かく揺する。何回かそれを繰り返すと、ラインにかかる抵抗が消えてフックが障害物から外れたことを手に伝えてきた。

 ルアーロストしなかったことに安堵して、ふっと息を吐き出しながら再びリールを巻き始めた直後、明らかにさっきとは違う抵抗が手元にかかる。

「おっと?」

 オレは反射的にロッドを煽った。

「来たの?」

 オレの様子に、川原が背後から期待に満ちた声をかけて来る。

 フックから逃れようともがく魚の躍動感。間違いない。

「来た」

 オレは簡潔に返事を返した。

 手応えからして、さっきの一匹目よりかなり大きい。三十センチ台半ばはある。

 魚とやり取りしているさなか、今さらながらベイトタックルの長所に気づく。魚を寄せるのがスピニングよりずっと楽だ。

 ハンドルの動きに合わせてスプール自体が回転しながらラインを直接巻き取って行くため、パワーをロスすることなくグングン巻いて行ける。

 四~五メートル程まで寄せてきたところで、水中で身を捩らせた魚の姿が目

に入った。

 見慣れた緑がかった色と違う。

「あれは……」

 思わず呟きが漏れる。

 水面に一瞬(にじ)んだその影は赤みがかった茶色をしていた。

 直後、水面を割って魚が宙に躍り上がる。


 何だこれ!?


 生まれて初めて目にするほどの美しいジャンプ。

 ニジマスやヤマメも、はりにかかると水面上にジャンプすることはある。しかしその動きはあくまで野性的な、束縛を振り払おうとする必死なしぐさだ。

 なのにこの魚のジャンプは、まるで曲芸をするイルカのような優美な動き。

 迂闊うかつにも見とれた。反応が数分の一秒遅れる。

 魚がふたたび着水する直前、手応えがふっと途切れた。

 張りつめていたラインが、急激に緊張を失って波打つ。


 ……バラした。


 茫然とするオレの口から、ふうっ息が漏れる。

「外れちゃった?」

 背後からの川原の残念そうな声に、ハッと我に返った。

 オレはリールを巻いて、ルアーを回収しながら振り返って言う。

「見たか? 今の」

「うん。ポーン、て跳ねたね」

 可愛らしく身振りを加えながら川原が言った。

「そうだな。今のがコクチだ」

「あれが?」

 川原の言葉に無言で頷く。

 オオクチのファイトも猛烈だが、彼らは水面で激しく身をよじらせながら頭を振る「エラ洗い」と呼ばれるアクションを見せることがほとんどだ。あんな見事なジャンプをオオクチが見せた記憶はない。

「……キレイだ」

 思わず口に出ていた。

 オレのその言葉に、川原がすかさず満面の笑顔で言う。

「それ、私のこと?」

 今の話の流れで、どこからその発想が出るんだ? ただ言ってみたかったダケだろ、お前。

「うん。キミが世界で一番キレイだよ~」

「うっわー、棒だ。スッゴい棒読みだ」

 オレの言葉に、ジトッとした目つきで川原が言った。

 そんな緊張感のないオレと川原のやり取りをたしなめるように、再び川原の携帯が鳴る。

「もしもし」 

 応じた川原の顔が険しくなった。

「三十七センチ、七百四十グラム」




 新海さんがニ本目を上げた。これで合計千二百六十グラム。オレとの差、実に八百四十グラムだ。

 まずい。オレも川原とジャレている暇はなさそうだ。

「移動しよう」

 川原に声をかけ、オレは上流に向かって移動する。少し後ろをついて来る川原も、先ほどとは打って変わって神妙な顔つきだ。

 それはそうだ。川原にしてみれば、この勝負の行方に今後の父親との関わりが掛かっている。

 さっきまでの明るい振る舞いは、恐らくオレの緊張をほぐすためのアピールだったんだろう。

 何とかして、新海さんに追いつかなくては。

 数分歩くと、川岸が直径ニ~三十センチほどのゴロタ石に覆われた箇所に出た。

 手とキャップのツバで日差しを遮って川面を覗き込むと、うっすらとだが川底が見える。浅い。

 オレは暫《しば

》し考え、あることを試して見ようと思い付いた。

 スピニングタックルの方を引き寄せると、ウェストポーチからルアーケースを取り出す。

 置いて来てないといいけど。

 ……あった。小型のミノーやシャッドの下に、それを見つけてほっとする。

 オレが取り出したのは、トラウト用の小さなスピナー。重さは三.五グラムだ。

 この浅さなら、あまりルアーが通るタナを気にする必要はない。ここに魚がいさえすれば、深い場所よりずっとルアーに気づいてくれる確率は高いはずだ。

 オレはスピナーからトラウト用の返しのないバーブレスフックを取り外し、バス用のトレブルフックに換装した。

 これをスピニングタックルの方に結ぶ。この軽いルアーでは、逆にベイトタックルでは使えない。

 タックルのセッティングを済ませて、オレはあらためて川の様子に目を向ける。

 深さがないだけあって、さっきの場所より流れが速く水面もやや波立っている。

 音なき流れは水深し。逆もまたしかりということだ。

 オレは自分が立っている場所より上流をめがけてルアーをキャストした。

 ルアーの重さと流れの速さを考えると、下流側にルアーを投げ、流れに逆らって引いてくるのは無理と判断したからだ。

 流れ川で、自分より上流側にルアーを投げることを「アップストリームキャスト」って言うんだけど、何か必殺技の名前みたいでカッコイイ。ちなみに逆はもちろん「ダウンストリームキャスト」。

 オレは流れの速さを計算に入れ、少しゆっくりめにリールを操る。

 水の抵抗を受け、スピナーのブレードが回転を始めるのを感じた。プルプルと小刻みな震動が手に伝わって来る。

 今のところ違和感なし。

 三メートルほどまで近づいて来たところで、水中にキラキラ光を反射しながら回転するブレードが見えて来た。

 目を凝らすと、明滅するブレードの後ろを黒い影が追って来ている。二十七~八センチといったところか。

 そのまま巻くスピードを変えずに引いて来るが、影は水際でクルリと向きを変えて沖の方に消えていった。

 だが思った通りだ。魚がいる場所に平面座標で合わせさえすれば、ルアーに気づかせてやれる。

 もう一度、オレは先ほどより若干じゃっかん下流側にルアーを投げ込んだ。ピチャン、という音と共にルアーが着水すると、ベイルを倒す。

 次の瞬間、まだリールのハンドルに手もかけないうちにラインが引ったくられた。

「着水同時かよ!」

 不意を突かれつつも、右腕一本で何とか合わせを入れる。

 魚が猛然と下流に向かって走り始めた。魚の引きプラス川の流れで、ロッドが大きくしなる。

 焦りは禁物。

 オレはロッドのしなりを利用して魚を川岸の方向へと誘導する。魚が流れの緩い岸際に寄って来るのにあわせ、オレも下流側に少しづつ移動しながらリールを巻いた。

 岸まで五メートルほどというところで、不意に水面を割って魚が跳ねた。飛沫しぶきの中に赤茶色の魚体と縦縞模様がはっきりと確認できる。

 ニ度同じ手は喰わない。

 オレは魚のジャンプに合わせ、ロッドティップを下に向けた。

 うん、今度はバレてない。

 抵抗しつつも、次第に魚が手もとに寄って来る。かなりデカい。

 オレはロッドを左手に持ち変え、シャフトの部分をつかんだ。そして右手をそっと水中に差し入れる。

 バスの姿はもう手の届く範囲だ。

 逃れようと身をよじるバスの動きにタイミングを合わせてその下顎したあごをつかみ、一気に引き上げる。

 重い。予想以上の重さだ。

 オレがつかんだバスは、長さこそ四十センチにわずかながら及ばなそうだが、デップリと太った個体だった。

 赤茶色の体色に見事な黒い縦縞。オレが初めて手にしたスモールマウスバスだ。

「やった!!!」

 川原が嬉しそうに駆け寄って来る。

「やったな」

 オレの顔も思わず安堵にほころんだ。

「川原、ポーチからメジャーと量り出してくれるか?」

「うん」

 川原がごそごそとオレの腰のポーチを探る。なんかくすぐったくて、変な気分になるから早くしてね?

 やっと川原が取り出したメジャーで、まずは長さを計測する。

「三十八センチか」

 川原がオレの手もとを覗き込みながら異論を唱える。

「三十九センチない?」

 まあ正確には三十八.五センチというところだが、一センチ未満は切り捨てがオレの流儀だ。オレ、かっこいい。

「重量勝負だし、長さは大体でいいよ」

 オレは川原にそう言いながら、バスを量りに掛ける。

 ゴクリと唾を飲んで、川原が目盛りに目を凝らした。

「八百九十グラム!!!」

 来た! これで合計千三百二十グラム。


 時刻は七時五十六分。まだ序盤戦。

 だが今のところは新海さんと互角に戦えている。

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