召喚
眩しい光に包まれて思わず目を瞑る。
光の洪水が治まったのを感じ、目を開けるとそこは…
「何処だここ?」
見たことも無い建物の中だ。
異文化の香りのする調度品や内装、しかし何処と無く、そうほんのわずかに魔界の香りを感じる。
足元には魔法陣。
ふと顔を上げると一人の男がいた。
人間だ。
歳は自分より少し上、22、3くらいか。
あくまで見た目だけの問題だが。
何と言ってもユーリは魔族。見た目は18前後といったところだが、実際の年齢は7628歳だ。
男を値踏みするかのように上から下までじろじろ見てやる、
そして気付いた。
男の後ろに少女がいる。
長い髪の大人しそうな子だ。割とかわいい。
でもタイプじゃないなーなんて考えていると目の前の男が口を開く
「俺の名は四ノ宮 尊。
四ノ宮財閥の現当主だ。そしてお前は我が妹に仕える下僕だ。」
「はあぁ?!」
ちなみにこの男下僕と書いていぬと呼びやがった。
イライラしつつ男に聞く
「なんで、この、俺様が、人間なんかに、使われなきゃなんないんだぁ?んー?」
「品性の無い男だな。
サーシャ・リヒテンベルガーという名を知っているだろう?」
「知ってるもな「魔王の妹であり俺たちの母だ。」
喋っているのに被せてきやがった。
俺をイラつかせる天才だなこの男。
つーか母?つーことはこいつら半魔か?
たしかに人間にしちゃ魔力が高いが…
「だからなんだよ」
「母は高位の魔族だった。その母の名は魔族に恐れられ、今も魔王の加護は続いている。つまり、こうゆうことだ。」
男の魔力が高まっていくのがわかる。
「我が母サーシャ・リヒテンベルガーの御名において命ずる、我が妹の為に下僕となって従え!」
また下僕と書いていぬと呼びやがった。
てゆうのは置いといてこれは契約の詠唱だ。
男から俺に高密度の魔力の塊が飛んでくる。
魔力の塊は蔦となり、さらに鎖に姿を変える。
本来ならこれで縛られ契約は成立。
俺は下僕となるだろう。
だが…
「呼び出した相手が悪かったな。
他の奴ならともかく俺にその命令は通じない。」
パキンと音を立て鎖は解け、光の粒子となって消えてゆく。
その様子を見た男が驚愕の表情で俺を見る。
すっげー愉快。
「お前の母さんの名はよーく知ってるぜ。
なんたって俺の叔母の名前だからな。」
まあ叔母さんは俺らが小さい頃に人間と一緒になるって出てったきり魔界には一回里帰りに帰ってきただけらしいから本当はあんま知らないけど。俺も覚えてないし。
「つまり、俺の親父はお前の母さんの兄…現魔王だってことだ。」
「!!なん…だと…!」
男が先ほどよりも大きく目を開いて俺の事を見ている。
なんとゆう晴れやかな気分!
やってやったぜ!
優越感に浸りながら潰しにかかる。
「まーでも?詰まる所あんた達と俺は親戚って事だ。困ってる所を助けてやらない程
俺も鬼じゃあない。」
「だいたい召喚されちまったら望みを叶えるか呼び出した相手の魂を食う以外帰る手はないんだ。食われるのはやだろ?」
「でも俺はただで働かされるのが世界で一番嫌いなんだ。助けてやる代わりに一つ条件を聞いてくれよ。」
おもむろに少女を見る。
この男の大事なものって言ったら間違いなくこの子だろ。シスコン臭がプンプンするもんな。
ほとんど嫌がらせだ。
あのムカつく男に絶望を味あわせてやる。
そんな事のために少女を巻き込む気満々で放った言葉がこれだ。
「その子を俺の嫁に貰う。」
ちなみに四ノ宮財閥御当主さまはシノミヤ タケル と読みます。