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魔王倒れる

あれから3日ほどたった夜だった。

魔王城ではバタバタと使用人達が走り回りなにやらただならぬ雰囲気だ。

そんな中青ざめた顔の三人の男達が側近に連れられて一つの部屋へと案内される。

黒髪の男が乱暴にドアを開け部屋の中央に置かれた大きなベッドへと駆け寄る。


そこに横たわっているのはあの魔王だ。

血の気は失せ、呼吸は荒く、時折苦しそうに胸を抑える。

白に近いプラチナブロンドの髪の男が涙を流しながら手を握る。

よく来たな、とかすれた声で魔王は言った。

金髪巻き毛の男と黒髪の男が同時に叫んだ。

「父上!」

「親父!」

そう、この男たちは魔王の息子だ。

魔王は続ける。

「まさかこんなに早く倒れる日がくるとは思っていなかった。犯人はわからぬがどうやら高度の呪いのようだ、俺はもう長くないだろう。このあと魔術師や治療師に見てもらうがおそらく無理だろうな、期待はするな。」

「そんな!」

プラチナブロンドがより強く手を握る。

「カリル、手が痛いぞ。」

そう言って魔王はわずかに笑う。

「息子達よ俺は不安だ。お前たちの中の誰一人としてまだ王としての器が育っていない。領地を3つにわけ、それぞれ治めなさい。お前たちはまだまだ半人前だしばらくは協力して国政を行うのだ。いずれ時が来れば自ずと王は決まるだろう。」

言い切ったところで胸を抑え苦しみ出す魔王に近寄ることもできず側近に部屋を追い出されてしまった。

「「父上!!!!」」

「親父!!!!!」

ドアは固く閉ざされて開かない。

何時間ドアの前に居ただろうか。

泣きじゃくり目が真っ赤に腫れたカリルが口を開いた。

「父上の意志を無駄にしてはいけない、

私たちは私たちに出来ることをやらなくてはならない。それが私たちの王子としての、父上の息子としての義務だ。」

流石長男といったところだろうか、二人の弟を引っ張るようにして魔王の部屋を去るのだった。



それから一週間。

激動の一週間だった。

魔王は未だ呪いにかかったままだ。

死んでこそいないものの魔王としての執務が出来るはずもなく入れ替わり立ち代り呪いを解くために人が出入りしている。


三人の息子たちは魔王の言いつけ通りに領地を3つに分け、それぞれを治める準備をあらかた終わらしたところだ。

今日は貴族たちとの顔合わせ、明日から本格的にそれぞれの領地に赴任する予定だ。


「親父こんなめんどくせえこと一人でやってたんだな。

すげえわ、俺この先やってける自信なんて無いぜ」

「そんなこと自慢気に言えるなんてほんとバカだね。流石バカユーリ。」

「んだと?」

黒髪と金髪巻き毛が言い争いをしている。

そんな様子をカリルは遠くから呆れ顔で見ている。

実に微笑ましい光景だ。


「だいたいお前は口が悪すぎんだよ!

このひねく


おそらくひねくれ野郎とでも言おうとしていたのだろう。

しかし最後まで言い切ることが出来ずにユーリは姿を消してしまった、

突如彼の足元に現れた魔法陣によって。


金髪巻き毛…アレクは突然発生した眩しい程の光の洪水によって何が起きたのか全く理解ができないようだ。


一人少し離れたところにいたカリルにはユーリの足元に現れた魔法陣に気づくことは出来ても一瞬すぎて対処の仕様がなかった。

あの魔法陣には見覚えがある。だが…


「くそ、なんてタイミングだ…」


カリルにはそう呟くことしかできなかった



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