第三話 「う」るわしの君 前編
八方美人の妹、前田 安寿の兄である俺、前田 俊成は、嫉妬という名のクラス内暴力(class violence 略して CV)を受けているのである。
さて、今回は下足箱のロッカーに俺宛ての落花生が大量に詰め込まれていたわけだが、この落花生は後で美味しく頂いた。飼育小屋のうさぎが。予想外にもおいしそうにバクバクと食べるので、殻もついでにあげると、蹴り返された。
クラス…2-6に到着した俺を待っていたのは、落花生ではない。クラス(男子)全員からのありがたい声援だ。ただし、それぞれの言い分は、「地獄に☆O☆CHI☆RO☆」や「悪い事をした奴に悪い事をしても、それは許される」とか、「貴方、準備はできています。さあ、飛び込んでください」とか。
俺を死に追いやろうとするものばかりだ。
その中で、唯一と言っても過言ではない人物…荒塚 飯生の姿があった。
見た目は、坊主に近い上方ではあるが、前髪が若干立っている。つまりは、角刈りだ。
それと、顔はそこそこ。悪くはない。
ただし、良くもないわけだ。
俺は、コイツと仲がいいと言われると、いいのかもしれない。
「よう、前田。どうしたんだ?顔色悪いぜ?」
「…朝っぱらから妹に通報されかけたんだ」
「…冗談は顔だけにしろよ、血の海に蹴落とすぞ」
「大丈夫だ、問題ない。(全体的な意味で」
ちなみに、最後の二人は俺たちではない。
俺たちと言うと、不特定だな。
俺、俊成とコイツ、荒塚だ。
コイツは、ポカンとしていた。
…まるで、わからない…と言った顔だ。
「…ツウホウ?」
「そう」
「ツゥフゥ~ってなんだ?美味しいのか?」
「待て、早まるのは顔だけにしろよな?荒塚」
まさか、通報を知らないとは…。
…実際、俺でもわからん。わけではない。
あれだろ?警察に連行されて…、え?連行って?警察って?…これじゃあらちが明かないから、この件は流そう。
「顔だけとは、失礼だな…」
「一時間目は、体育だってよ!しかも、‘‘女子付き‘‘だ!」
「なっ…なんだってぇぇぇぇえええええ!!!」
フフフ…、女につられるなんて、お前らはサルか?繁殖期か?
「そういうお前が一番ニヤニヤしているぞ、ホラ顔洗いに行きなって」
「大丈夫だ、問題ない」
バカな、俺が喜んでいるだと?…やるじゃない。
そう、俺は今、猛烈に感動している!!!
だって、女子と一緒なんだぜ!?
こっそりあの子を見なくても、自然と目が合って…フヒヒヒ…。
おっと、いかん、いかん…。誤って、もうそ…いやいや、想像の世界でハッピーエンドを迎える所だったぜ。
「でもなんで…女子と一緒…なんだろうなぁ?」
俺は、HRも終えた教室で着替えをする。
途中、荒塚に聞いたのが、これだ。
「なんでも、体育の先生である、野木がいないそうだ」
荒塚は、そういうとたったと体操服に着替え終えた。
「ほほう…それで、女子の先生である…アレが来たと」
「そう、アレが来た」
アレとは…あの、女の先生である。
「「よっちゃぁぁぁん!!!!」」
「うるせぇぇぇぞ!男ども!」
「「ヒュー、ヒュー!」」
よっちゃんこと、吉田 愛代先生だ。
なぜか、クラスの男子に人気がある。
その理由は…。
細いウエストライン。そこそこ、測ればDカップはあるかという程良い胸。さらに足長!
この三要素が、よっちゃんなのだ。
「さぁぁぁて…どうしたものかねぇ…」
よっちゃんは、悩む素振りをする。
顎を親指と人差し指で挟んでいた。
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