第13話 「こ」んなことって、ないよ…
…という夢落ちである。
ってちょっと待て!
「夢かよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
俺は、思わず叫んだ。
そうだ、確か寺田は、ノックアウトされて、それから職員会議に話題となり、業務停止をさせられてたんだ…。
寺田が、職員室にいるわけがねぇ…。
荒塚は、腕力もそこそこあったから、寺田の鼻は折れてた。
それから、俺は少しの間DVのない日々を送って、それから平凡かつちょっとラッキーボーイな生活に身を転じて…。
「…ああ、それで…毒舌女に会って、それから…教室に全力疾走で…!?」
気が付くと、俺はイスに縄をグルグル巻きにされて、ムチを持った女…が目の前にいた。
ちょ、待て・・・俺そういうSMプレイのぞまねぇから…マジだから…。
「ドスケベ変態最低ロリコン前田さん、あなたに神罰を下します。」
「訳が分からん!つか、この縄を解け!話はそれからだっ!」
バシンッ
ムチが、床にたたきつけられる。
しずかにしろという事だ。
だが、俺は口をふさがず、
「待て、話せばわかる…」
「だれが、犬養毅の真似事をしろと言ったんですか?クズロリコン前田さん」
「少しは人の話を聞けっつってんだよ!(バシンッ)ひぃっ!」
「この状況、あなたなら…わかるでしょう?数々のあんお姉さまへの侮辱行為…そして、あなたがそれが理由で縛られ、私に尋問にかけられている…」
べ、別に喜んでるわけじゃないんだからねっ!
じゃねぇええええ!なんでツンデレ染みてんだよ!ふざけんなっ!俺は何か…!?Mか!?いいや、絶対違う!断じて違う!
…それで、俺は確か…保健室を出て、全力疾走で教室を目指している時に…それから記憶がない。
まさか…夢に出てきたスタンガンって…。
「お前、俺にスタンガンを…」
「ええ、護身用に」
「てめぇえええええええぇ!それ、護身用じゃねぇだろ!殺人用だろ!それ!犯罪だろ!」
「セクハラクズペド前田さんには言われたくありません」
セクシュアルハラスメントよりも、殺人のが、絶対罪が重いと思いますけど…?
つか、スタンガンになんで、パワーバランス調整器があるんだよっ!普通に市販レベルじゃねぇだろ、それ!
「…わかった、俺が何をして、こうなったのか…それを聞こうじゃないか…ふぅん」
「やっぱり、殺してもいいですよね」
「ごめんなさい、やめてください、その物騒な物を締まってください…」
くそっ・・・なんで俺が…。
いや、待てよ…ここは教室…そして、俺の大事な妹様は、確か今日は日直だから、居残り…!これは、妹フラグがあるのではないですかね!隊長!
「…だが、断る」
「ぎゃっぁあああああああぁぁああああぁあああああああ!!!!」
ビリリリリリリリッと、夢の感覚が今、目覚める。
マジで痛いんだってばっ!死ぬ!絶対死ぬ!
「…スタンガン…MAX」
「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおぎゃああああああああああああああああああ!!!」
人の声とはかけ離れた叫びが、おそらく廊下まで響いただろう…。
それにうっとりとする毒舌女…メガネかければ調子に乗りやがって…。
…やっぱり、それでも可愛い。
じゃなくて、真面目に俺は一体何を考えてるんだよっ!くそっ!…。
妹よ…助けてくれ…。