第11話 「く」脳のない日々
あれからCVがなくなった。
俺、前田 俊成はいつの間にかクラスからのいじめがなくなった。
嫌がらせというと、様々だったがそれがムカつく教師をノックダウンさせたことによって解消された。
いうなれば、ほかのクラスメイトがそいつを嫌っていた事が原因だろう。
…それを思うと、僕としては面倒であった靴箱の掃除がなくなって、逆に寂しい気持ちになる。
朝、靴箱には俺の上靴が一つ。
別に何かされたわけでもなく、ポツンとそれが薄暗い四角形の空間にあった。
それが普通。されど不自然であった。
これ程までに嬉しいことはないはずなのに、これを見ている俺はさびしくなっているのだ。
我ながらあきれたものだ。
「…?」
妹の姿を見ると、キョトンとしている。
どうやら、何もない事を俺の顔が語っていて、それが不自然であって、…を読み取っていたに違いない。
それで首を傾げてこちらを見ているのであろう。
茶髪のストレートヘアが揺れる。
クリクリとした青眼が射す日光で光る。
そんな姿には少しドキッとする。
何せ、トップアイドル並みの可愛さ!
どうでしょう、わが妹でありながら、このボンキュッボン!
少なからず、C~Dカップはありそうな胸!キュッと引き締まり、そこからボンッとくるヒップ!
小柄ながらのその破壊力と言ったら、上級者にも対応した作品!
ムフフ、おにいちゃんとっても嬉しいよ…ハハッ!アッハハハ!
バゴッン!
突如として、何故か、妹にケツを踵で回り蹴りをされた。
おもわず口を開いて、苦痛を表現する顔になる俺を、汚れを見るような目で見降す彼女に、俺は胸が張り裂けそうな興奮をオボエギャッフン!
「にっ二度も蹴った!父にも蹴られたこともないのに!」
「…もっと…」
鈍い音が鳴り響く。
妹に蹴り上げられ、俺のケツはもはやサルのケツと似て非なるものとなっていた。
「ひでぇぞ…いくらなんでも…」
「…言語道断」
「まったくだ…」
さて、これからどうしたものか…。
妹には蹴り飛ばされて即保健室でお世話になった。
ああ、保健室に入るとほのかにかおるこのたばこのにおい…。
ニコチン摂取のために作られたといっても過言ではないこのワンルームに、一人の女性がいた。
名は、津田 れん子。
スカイブルーに彩られ、髪から香るバラの香りが売りの魅惑の女性。
しかし、その正体はたばこを吸い続け、ふて腐れたババアだ。
そんなババアは、生徒からは「男子も遠のくエロリスト」と呼ばれている。
そりゃあ、男子生徒の大半が、一度襲われかけているからな…。
俺もその内の被害者だが、未だにそれを免れている。
正直ベッドで四つん這いになられて期待しない男がどこにいようか。
しかし、それは自分の尊厳にかかわるとすれば、逃げるという選択肢が妥当。
好きなあの子に…というやつも、ババアにかかれば調教された後にただのオモチャと化す。
奴は化けものだ。
そんな感じがある噂の保健室に湿布をもらいに来た。
案の定例の先生は不在だったので、勝手にタンスをあけて湿布を取り出す。
…それと同時に一人の女が入ってきた。
「あ、あの…先生は…?」
「あぁ、不在だ」
「え?そ、そう…ですか」
「何か連絡か?」
「は、はい…実は、今日に限ってスケジュールが…あっ、べ、別に関係ない部外者にはどうでもよいことでした!すみません。クソ虫の前田ヤロォさん」
確実にそれは俺に対する挑戦…か?
ガチでムカついた俺は、ちょっと表情をムッと皺寄せにする。
「それで、そこをどいてもらえんのか?」
「うっさいゴミ虫の前田リア充死ねさんを通すことを禁じております故…答えはNOです」
いちいち癇に障る名前の言い方だな、おい。
これ、最終的にはどんだけボコボコ言われんのかね。
大体そういうことって、口に出すもんじゃないよ…。
と、俺は彼女の体をを見てみる。
身長は160cm前後、髪型は黒のカット。
スリーサイズは上から63・56・65。
フム、戦闘力で表すと…2345といったところか…まだ妹には勝らんな。
ウチの妹なんて、戦闘力は13万だ。
…しかし、俺は過ちを犯していた。
そう、顔を見ると…そこには銀淵のメガネ…。
メガネ…メガネ…だと…!?
「せっ戦闘力16万越え…だと!?」
「クズ変態ロリコン前田ザコさんは、一体何をおっしゃっているのか、わかりかねます」
「…そうかい、そうかい」
俺はスルースキルを覚えた。
とりあえず、俺は彼女を押しのけて全力疾走で教室まで赴いた…。