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俺は、なぜか謝られた。
それをどう返すか…。
1.何の事か、さっぱりだ。
2.頭上げろよ、きれいな顔が見れないZE☆?
5103.風邪薬~♪
6.コ~ンバトラーV(ヴィクトリー的な意味で
おい、待て…選択肢が1以外にナンパと完璧なるピー表現と3,4がなくて~ごと~さん風邪薬~ってうっさいわボケ!
なんでツッコミに回すんじゃい!まったく、俺の思考はくるってやがる…。
大体、この子がきれいな顔かどうかなんてわかるわけ…。
「あ…」
その時、彼女の顔を上げたその表情が…とても美しいと感じた。
なんなのだ、なんだと言うのだ…あのきれいな輪郭…。
ぐっと来るものがある。
髪を三つ編みにしていると思えば、その根元にはかわいらしいリボン。
そして、メガネと言って馬鹿にしていたが…そのレンズの奥に感じるこの…うるうるとした綺麗な瞳…。
…こいつ…できるぞ…。
「…すみません…本当に…」
「だっ…だからなんで謝るんだ、別に俺は…」
彼女の表情は未だに明るくはなかったが、しかし理由を述べようと言う必死さが伺える。
だとするなら…聞こうではないか。
「私が、私が…出したんです…あなたに」
「は?え?」
いやいやいやいや…おかしいっす。
なんで俺に、あなたが?
荒塚が…。
「ちょっと待て、じゃあ荒塚は…」
「彼に渡ったのは、人員稼ぎの物ですよ」
「…俺に送ったのは…?」
「ミニスカサンタさんのピー券…です…」
あの、放送禁止用語が…。
とりあえず、今わかった事を整理しよう…。
…ふむ、荒塚は…。
殺そう☆
「だから俺に謝ったのか?じゃ、なんで謝る?というか、根本がずれてるぞ?」
「…私、あなたに…間違って人員稼ぎの方を渡したのだと…」
つまり、自分でドジを踏んだ…と、そう思ったのか、この人は。
「んで、それを謝って…どうすんだ?戻るのか?」
「…そうですね…けれど、あなたは楽しくないでしょう?」
「そう…だな、まあ暇だしな…ぶらぶらと、街を散策するのもまた一句」
「それでは、これを…せめてものタシに」
そう言って、この娘さんは俺に何やら封筒をくれた。
中には…ん~なんだ…こ…れ…。
「ちょっと待て、これは?」
「50万円です」
「はっ、いやちょっと、ちょっと待てよ!いきなりほいと渡していいものなのか!?」
「私のおこずかいですから、親に迷惑は掛らないです…それに、ここに来られた前田君にも、やっぱり悪いですから…帰りはフェリーか何かで送らせましょうか?」
こ、この娘…一体…。
俺は硬直した。
突如として渡された50万円という大金と、彼女の軽々しい笑顔と言葉。
そして、直ぐそこにあるフェリーを指さす仕草…。
こいつ…本物!?
俺は、こっちが悪いよ…とは言えなかった。
なぜなら、名瀬川海流は夜になるとやけに荒れる。
俺はその荒波に呑まれて一度無人島で暮らしたからな…。
トラウマになっているんだろう。
「な、なあ…せめて名前だけでも教えてくれるか?俺、あんたの事知らんからよ」
彼女は茶色のコートに、茶色のマフラーをつけているが、それでもさぶそうに手を口元にやって、はぁはぁ言いながらそれに応えてくれた。
「私は、白井 雪女です。一緒のクラスに‘なりました‘。今後ともよろしくです、前田さん」
そう言うと、彼女は会場の方へかけて行った。
「さて…と…帰るか…」
俺は、フェリーへ向かい、そして先ほど封筒に入っていた50万円と一緒にあったチケットをフェリーの船長に見せ、俺はそのまま名瀬川市へと戻ることとなった。
…そして、学校…。
「うぃ~す!きの~はたのしめちゃったかな!?」
「っ…せー」
「ん?なんだね、なんだね?そ~んなテンション低くなっちゃてさ、あひゃひゃ!」
妙にテンションの高い荒塚。
俺は、早朝にコイツを待っていた。
…そう、昨日の恨みを…晴らすために…。
END