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ユメノミ  作者: 池ちゃん
外伝ノ章 メリークリスマス
12/16

3

俺は、なぜか謝られた。

それをどう返すか…。


1.何の事か、さっぱりだ。

2.頭上げろよ、きれいな顔が見れないZE☆?

5103.風邪薬~♪

6.コ~ンバトラーV(ヴィクトリー的な意味で


おい、待て…選択肢が1以外にナンパと完璧なるピー表現と3,4がなくて~ごと~さん風邪薬~ってうっさいわボケ!

なんでツッコミに回すんじゃい!まったく、俺の思考はくるってやがる…。

大体、この子がきれいな顔かどうかなんてわかるわけ…。


「あ…」


その時、彼女の顔を上げたその表情が…とても美しいと感じた。

なんなのだ、なんだと言うのだ…あのきれいな輪郭…。

ぐっと来るものがある。

髪を三つ編みにしていると思えば、その根元にはかわいらしいリボン。

そして、メガネと言って馬鹿にしていたが…そのレンズの奥に感じるこの…うるうるとした綺麗な瞳…。

…こいつ…できるぞ…。


「…すみません…本当に…」


「だっ…だからなんで謝るんだ、別に俺は…」


彼女の表情は未だに明るくはなかったが、しかし理由を述べようと言う必死さが伺える。

だとするなら…聞こうではないか。


「私が、私が…出したんです…あなたに」


「は?え?」


いやいやいやいや…おかしいっす。

なんで俺に、あなたが?

荒塚が…。


「ちょっと待て、じゃあ荒塚は…」


「彼に渡ったのは、人員稼ぎの物ですよ」


「…俺に送ったのは…?」


「ミニスカサンタさんのピー券…です…」


あの、放送禁止用語が…。

とりあえず、今わかった事を整理しよう…。


…ふむ、荒塚は…。

殺そう☆


「だから俺に謝ったのか?じゃ、なんで謝る?というか、根本がずれてるぞ?」


「…私、あなたに…間違って人員稼ぎの方を渡したのだと…」


つまり、自分でドジを踏んだ…と、そう思ったのか、この人は。


「んで、それを謝って…どうすんだ?戻るのか?」


「…そうですね…けれど、あなたは楽しくないでしょう?」


「そう…だな、まあ暇だしな…ぶらぶらと、街を散策するのもまた一句」


「それでは、これを…せめてものタシに」


そう言って、この娘さんは俺に何やら封筒をくれた。

中には…ん~なんだ…こ…れ…。


「ちょっと待て、これは?」


「50万円です」


「はっ、いやちょっと、ちょっと待てよ!いきなりほいと渡していいものなのか!?」


「私のおこずかいですから、親に迷惑は掛らないです…それに、ここに来られた前田君にも、やっぱり悪いですから…帰りはフェリーか何かで送らせましょうか?」


こ、この…一体…。

俺は硬直した。

突如として渡された50万円という大金と、彼女の軽々しい笑顔と言葉。

そして、直ぐそこにあるフェリーを指さす仕草…。

こいつ…本物!?

俺は、こっちが悪いよ…とは言えなかった。

なぜなら、名瀬川海流は夜になるとやけに荒れる。

俺はその荒波に呑まれて一度無人島で暮らしたからな…。

トラウマになっているんだろう。


「な、なあ…せめて名前だけでも教えてくれるか?俺、あんたの事知らんからよ」


彼女は茶色のコートに、茶色のマフラーをつけているが、それでもさぶそうに手を口元にやって、はぁはぁ言いながらそれに応えてくれた。


「私は、白井しらい 雪女ゆめです。一緒のクラスに‘なりました‘。今後ともよろしくです、前田さん」


そう言うと、彼女は会場の方へかけて行った。


「さて…と…帰るか…」


俺は、フェリーへ向かい、そして先ほど封筒に入っていた50万円と一緒にあったチケットをフェリーの船長に見せ、俺はそのまま名瀬川市へと戻ることとなった。


…そして、学校…。


「うぃ~す!きの~はたのしめちゃったかな!?」


「っ…せー」


「ん?なんだね、なんだね?そ~んなテンション低くなっちゃてさ、あひゃひゃ!」


妙にテンションの高い荒塚。

俺は、早朝にコイツを待っていた。

…そう、昨日の恨みを…晴らすために…。


    END



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