番外編 Xmas special
この物語は、ある年のクリスマスに起きた事件…。
「俊成~ゲーセン行こうぜ―」
俺が…。
「あっあれ?なんだこれ」
いつものように、手紙を下足箱に入れられていた時の…ある出来事。
「なんだまた迷惑メールか?」
「ああ、まあどうしてこんな詰まらんものを…ん?」
そこで、俺が見つけたもの…それは…。
「おい…、これって…」
「ああ、間違いない…」
そう、それは…クリスマスパーティのチケットであった。
{Est-ce que vous pourriez venir à la fanfare du Noël-parti? Insuffisant est des gens. }
と、書かれていたのだが、正直英語は苦手だ。
「それ、英語じゃないぞ」
「え?」
…とりあえず、なんでかわからんが、クリスマスパーティ{welcome Xmasparty}と書かれていたので、恐らく、いや確実にクリスマスパーティだ。
…さて、それじゃあ日付はいつなのか…クリスマスパーティなんだから…
「今日、何日だ?」
「12月25日だな」
「あとクリスマス・イヴまで何日?」
「一日前だな」
「そうか…一日前…で、クリスマスは?」
「確か今日だな」
「ところで、クリスマスパーティって何時からだ?」
「今日の夜8時からだとこれに書いているぞ」
それを見ると、12月25日 PM 8:00 OX▽のカラオケバーに集合
「…あの…OX▽って…これ…」
「本土にあるな、行くのか?」
「…って、今日じゃん!!!」
「今更かよ!マンガだと何コマ使って気がついてんだよ!もう四コママンガですら仕舞いにできねぇぞ!」
ちなみに、この男の名前は、荒塚。
俺の悪友にして、俺のいい相談相手である。
ボケ担当の彼が、いつの間にかツッコミ役に変わっているのは、このクリスマスの影響か…?
そういえば、今日のクラスはやけに騒がしかったな…なんだってんだ…まったく。
しかし俺は幸運な男だ…。
窓辺に顎を片手で支えてのんびりと空を眺めていられる絶好の場所、教卓から一番遠く、そして窓辺に一番近く、日当たりもよく、冬の寒さを補ってくれる日光は、
いつの間にか俺の心をものんびりとさせてくれる。
そんな空間なので、俺には奴らの声が聞こえない。
唯一聞こえるとすれば…
「…リア充爆発シロ」
という現実逃避をする可愛そうな亡霊の嘆きであった。
「そうときまれば…行くんだろ?お前の下足箱に入ってたんだ、お前だけで行って来いよ」
「荒塚はどうすんの?」
「俺はブラブラと繁華街をさまようさ…クリスマスだからちっちゃくて小柄な可愛いあの子の私服やミニスカサンタがわんさかいててな、もううっひょひょ~いでな!」
「ゲーセンは?」
「お前とつるんでねぇと面白くねーからパスだ、まあ楽しんでこいよ」
「お、おう」
あいつ…知ってたな。
…となると…
俺はクイッと首を90度曲げ、さらに体を使ってさらに後ろを完全に見れるようにした。
すると…物陰に隠れる怪しい影が…。
「やっぱりな…」
物陰にヒッソリと隠れるそいつは…。
「…」
「誰だ?こんな手紙を出したのは?」
「…ハハッ、驚いたなぁ~もう」
「ん?お前は…」
「そう、私よ」
「久寿軒 天音さん?」
その長く伸びた美しいツヤの掛ったブラックブルーを忘れた事はない…。
この学校の校長の娘だ。
…と考えると、主催者は…
「お父さんだよ、私はただの伝言役…君にだけ届いていなかったらしいからねぇクリスマスパーティのチケット」
「…荒塚にも届いていなかったようだが?」
「その差出人は彼よ」
…確かに、手紙を開ける時に、少し違和感があった。
それは、その手紙がすんなり開いたからだ。
普通、セロハンテープで補正されたこういうのは、そのセロハンテープが少し粘着して取れにくい。
しかし、これは違う。
少し破いたように白い破り跡が見えていた。
慎重にやっても、やっぱり少し跡は残るもんだ。
「それで、これなんて書いてあるんだ?」
俺はこのヒエラティックテキストのような文字を掲げる。
すると彼女は眼を軽く閉じて、長い髪を揺らしてこう言った。
「クリスマスパーティに来ていただけませんか?人数が少ないのです と書かれているね」
「俺の価値観って…人数合わせだけの…ただのコマなんですねぇぇぇえええ!!!」
「そのネタが通じる人、少ないと思うよ」
こうして、俺の役割を知った俺は、兎に角そのパーティ会場へと足を運んだ。
―――第一部完―――
クリスマスという事なので、やってまいりましたよ!これぞ、クリスマス!という作品を作ってみようと思いまして
今回はユメノミです。
第一部~第三部か四部まで作るつもりですので、よろしくです!