『魔王城での最終決戦』~おかしな勇者と魔王とティータイムと。~
ついに魔王城に辿り着いた勇者――。
聖剣でばったばったと魔族たちをなぎ倒してく。
魔王のいる『玉座の間』まで、サクサクと魔族たちを討伐してった。
四天王もいた気がする。
気のせいかも。
まぁ、いっか。
玉座の間に辿り着いた勇者――。
魔王「フハハハ………よく来たな、勇者。
我こそは混沌を招きし魔界の覇者――『魔王』。
今こそ我と『決戦の時』を迎えようではないか!」
マントを翻し、周囲に魔族の大群を引き連れ、挑発的に笑う。
それを見つめる勇者。
しかし…
私(……んー。普通に斬るの、もう飽きた。)
手に持った聖剣を眺める。
私(…普通に使えば『魔族特攻の近接武器』。
でもこれ、投げれるよね?
投げれば『魔族特攻の遠距離投擲武器』。
……こっちの方が便利そうだな。)
魔王「行け、眷属の魔族ども!!」
勇者に一斉に襲いかかってくる魔族たち。
私、無言で投げた。聖剣を。勇者の象徴たる『伝説の聖剣』を。
魔王「…………は?」
魔族にザクッ――!!!
一瞬で灰となった。
私(そのまま聖剣スキルもいけるのでは?よし!)
片手を頭上へ掲げ
私「聖なる裁きを受けよ……神光のグランドクロス――!!」
聖剣から強力な眩い純白の光が放たれる。
十字の形で周囲へ光が弾けた――!!!
魔族たち「ぎぎゃぁぁぁーーーー!!!!」
周囲にいた魔族が次々と消し炭と化した。
魔王「……え。……いや?……いやいやいや……
そんな使い方、するのか…聖剣を?
……勇者の証の……『伝説の聖剣』……を????」
私「うん?効くし、有効打だし、いいじゃん♪
こっちの使い方の方が♪」
魔王にサムズアップ。
魔王「いやいやいや?!?!まともに戦え!!
最終決戦だぞ?!これ!!!」
私「まともになれって?…まともな勇者?
え、そんなのつまんない~♪
いいから、そんなことより喉乾いた。」
カバンから湯呑と粉末状の緑茶を取り出し、
その場で魔法でお湯も入れた。
温かい緑茶、完成~♪
私「魔王も、お茶飲む?」
魔王に湯呑差し出し、自分は自分で先に飲んだ。
魔王「ティータイムも後にしろ!!」
お茶、飲みつつ…
私「あ、魔界のアークデーモン。以外と美味しいらしいね?
さっき中庭にいた下級悪魔から聞いた。」
魔王「今、食情報をよこすな!!
というかうちの眷属を食うな!!
そして、敵と井戸端会議もするな!!!」
勢いのいいツッコミが魔王から響いてきた。
私「じゃあ……
人間界のドラゴンも美味しいよ?
ドラゴンステーキで有名なお店が……」
魔王「場所の問題でもないわ!!!!」
ナイス、ツッコミ。
私、ふと時間が気になった。
そういえば、自宅の洗濯物……干しっぱなしだったような?
私「あ、そろそろ洗濯物取り込まないと。
出しっぱで出てきちゃったから。帰るね。じゃ。」
玉座の間の外へとスタスタ。
魔王「待て待て待て?!我との『最終決戦』だぞ?!?!
取り込み忘れの洗濯物の方が優先順位高いってなんなのだ?!?!」
魔王の叫び、関係なし。スタスタ。
魔王「戻ってこい!!
帰るな、勇者!!マジで帰るなって!!!
ティータイム、この後に用意するからぁぁ!!!!」
魔王「大体、なんだその優先順位は!!
優先順位がおかしいだろ!!『優先順位』がっ!!!」
私「なんで?」
魔王「どう考えても我との『最終決戦』の方が
『自宅の取り込み忘れた洗濯物』よりも大事だろうが!!」
私「え。でも、洗濯物忘れたままだと後で取り込む時に湿気るし、
この後、にわか雨降るかもだし、そうなると後が面倒じゃん。」
魔王「我と決戦せずに帰る方が、
後 が 面 倒 だ と 思 う が ?!?!?!」
私「あ!転送ゲートの使える時間、終わっちゃう!
乗り遅れたくないし、まったね~魔王♪」
ちょっと早歩き。
魔王「乗り遅れってなんだ?!『終電電車』かなにかか?!
だぁぁぁぁ!!!帰るなと言ってるだろーーーがぁぁ!!!!!」
魔王の叫び、関係なし。スタスタ。(※本日二回目。)
私(と思ったけど……)
私「んー……じゃあ、マカロン。いいやつの。」
魔王「『マカロン』…?
あ、あぁ…あのカラフルな焼き菓子か。
いいだろう。高級店の用意してやる。」
私「あと、魔界の中心街で有名な、
売り切れるほど話題の『誘惑のプリン』も。」
魔王「あぁ、あの店か。
四天王のやつも「また買えなかった」とか騒いでたな。
うむ、いいだろう。パティシエに交渉しよう。」
私「やった♪ んじゃ、やる、決戦♪
えいっ!!」
そしてまた聖剣をぶん投げた――!!
魔王「あぶなっ……おおいっ!!
さっき投げるなと言ったばかりだろーーがぁぁ!!!!」
私「え~…小言多いなぁ。うちの頑固なお師匠みたい。」
ブーブーとむくれる。
魔王「お前のあの『偏屈ジジィの師匠』と我を一緒にするなっ!!!!」
結局、勇者に投擲武器化した聖剣でそのままスキル乱射され、
魔王、ボコボコにされた――。
……
…
魔王城、とある大広間にて――。
四天王「あの……魔王様。あれは一体……。」
困惑してある場所を見つめる四天王。
大きな長テーブルの一端に、大量のカラフルなマカロン。
その他にも色々な洋菓子。紅茶。
そのお菓子の並ぶ真ん前に、
満面の笑みでお菓子を頬張る勇者(※我らの天敵)。
しかも魔王は今、マントも服も、なんかボロボロ。
しかも魔王はそのまま、正反対のテーブルの端にて、
なにか通信機利用中。
魔王「まぁ、なんだ……気にするな。
勇者を『まともにさせるための策』とでも思え。」
四天王「『策』……ですか。
あの『甘いもの尽くしの光景』が…?」
魔王「そこをなんとかならんか?できれば今日明日中に……。」
通信機に顔を近づけてなんか必死そうな魔王。
四天王「……???」
魔王「分かった!!経費も報酬も弾む!!頼む!!」
四天王「……魔王様?」
通信が終わったようだ。
魔王「ふぅー……なんとかなった。
やはり売り切れ続出で予約も取れないと言われてただけあるな、
あの店は。」
四天王「まさか…魔王様。あの、例の『評判の菓子店』の……?」
魔王「あぁ。勇者と約束したのでな。」
疲れた顔でコーヒー飲む魔王。
四天王「あ、あの……
ついででいいので、よろしければ私の分も……。」
魔王「……四天王……お前もか…。」
ー完ー




