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【日刊上位ランクイン】チャネリングしたら宇宙船の美少女艦長に繋がったので、ブラック企業を辞めて人生を取り戻すことにした  作者: ハイカラな人


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初案件の報酬が振り込まれたのは、二日後の昼だった。


 会社のトイレ個室。

 スマホの通知。

 入金。


 金額、三万円。


「……入った」


 小さく呟く。


 画面には無機質な数字。

 でも、その数字が、今まで見てきた給料明細とはまるで違って見えた。


 月給の一部じゃない。

 組織の仕組みの中で雑に算出されたものでもない。

 自分で取って、自分で作って、自分で届かせた結果だ。


『おめでとうございます』

 ルイゼの声。

「ありがとう」

『声が少し震えています』

「そりゃな……」

『分かります』


 便座に座ったまま、恒一はしばらく画面を見ていた。


 情けない場所だ。

 でも、それでいいと思った。

 人生の手応えは、わりとこういう場所に突然落ちてくる。


 会社に戻る。

 モニターを見る。

 引き継ぎを進める。

 表面上は何も変わらない。


 でも内側では、もうかなり違った。


 自分はこの会社を離れても、完全なゼロではない。

 そう思えるだけで、空気がまるで違う。


「……もう戻れないな」

『はい』

「前みたいには」

『はい』


 戻れない。

 その感覚は、怖いより先に、少し気持ちよかった。


     ◇


 退職日まで、あと三日。


 会社では堂本の話題がほぼ禁句になっていた。

 だが、禁句になる時点で、皆知っている。


 正式な処分内容はまだ出ていない。

 でも、もう現場には戻らないだろう。

 そういう空気だった。


 恒一は深追いしなかった。

 決めた通りだ。


 代わりに、夜の時間を全部、自分の側へ寄せ始める。


 初案件の簡易フォロー。

 次の営業文面の修正。

 屋号の仮ページ作成。

 プロフィール文。

 事業内容の説明。


 その中で、ルイゼから新しい提案が出た。


『情報整理支援を、もっと形式化できます』

「形式化?」

『はい。人間向けに言えば、入力された情報を優先度・締切・種類ごとに並べ替え、見落としを減らす仕組み』

「タスク整理ツールみたいな?」

『近いです』

「それ、ありふれてないか」

『ありふれています。だからこそ、自然に見せやすい』

「……」


 なるほど、と思った。


 派手なものは危険だ。

 だが、既にある分野を、少しだけ異様に使いやすくする。

 それなら目立ちすぎない。


『あなたの文明には、やるべきことが多すぎて、しかも整理が下手な人間が多い』

「最後刺すなぁ……」

『市場があります』

「言い方!」


 だが、本質は分かる。


 疲れている人間。

 雑務に追われる小規模事業者。

 整理したいのに、整理の仕組みを考える余裕がない人間。


 そこに入る。

 それはかなり現実的だ。


「でも、ツール開発って俺には重いぞ」

『全部作る必要はありません』

「?」

『まずは、手動支援で勝ち筋を掴む』

「うん」

『そこで出た共通課題を、少しずつ仕組み化する』

「……それなら」

『できます』

「うん、たぶんそれなら」


 急がない。

 いきなり世界を変えない。

 小さな仕事から、共通部分を抜き出す。


 それは今の恒一に合っていた。

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