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車で迎えに行く
車で迎えに行く
三人目までは、会う場所をはぐらかすだけのパターンだった。しかし、四人目の女は違った。私はその時、初めて明確な「恐怖」を感じた。
「お近くのコンビニを教えてほしい」
唐突な要求だった。私が怪訝に思う間もなく、彼女はこう畳みかけてきた。
「車で迎えに行くから」
まじか。 見ず知らずの男を、コンビニに呼び出して車に乗せる? 私の頭の中には、瞬時にいくつもの不穏なワードが駆け巡った。
そのまま拉致されるのか。逃げられない車内で怪しい商品の説明会でも始まるのか。あるいは、待ち伏せしている連中に囲まれる美人局か。
誰か男性の助っ人を頼んで、その拉致現場を遠巻きに観察したいという好奇心も一瞬芽生えた。作家として、その現場を見てみたい気もする。だが、相手が何人いるかもわからない状況は、あまりにも危険すぎた。
そこには「出会い」を期待するような甘い空気は微塵もなく、ただ獲物を回収しに来るような冷酷な響きがあった。これはもう、潜入調査の域を超えている。
私は好奇心より生存本能を優先し、返信を打つことなく、速攻でその女を削除した。
「二人」という迷宮は、ついに精神的な不条理を超え、物理的な脅威へと牙を剥き始めたのだ。




