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マッチングアプリの小悪魔たち  作者: 草薙素子


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いきなり、今日会えますか

いきなり、今日会えますか


マッチングアプリ「二人」の仕組みは、実に巧妙にできている。 毎日送られてくるサービスポイントを四日間コツコツと貯めて、ようやく相手の一通のメールを読み、返信ができる。


無料の範囲内で動こうとすれば、この四日間というタイムラグが、男たちの焦燥をかき立てる重しとなる。 だが、そのもどかしさこそが、小悪魔たちの狙い目だった。


五人の女性と交信を続ける中で、二人が全く同じ手口を見せてきた。 しばらくたわいもない言葉を交わし、こちらの警戒心が薄れた頃合いを見計らって、彼女たちは唐突に牙を剥く。


「急だけど、今日会えますか?」


それは、恋の始まりを告げる誘いではない。 「すぐ会えないなら、もういいです」 「返事が遅い人は嫌いです」


そんな言葉で、暗に決断を迫ってくるのだ。 今すぐ会いたいなら、四日間のポイント待機などせず、今すぐ千円を振り込んで制限を解除しろ。 つまり、彼女たちの「会いたい」は、運営への課金を促すための、冷徹なセールストークだったのである。


しばらく音沙汰をなくしておいて、いきなり高いハードルを突きつけてくる。 応じなければ冷たい人、勝手な人と被害者を装い、男の罪悪感を煽る。


私は液晶画面を見つめながら、その構造を冷静にノートに書き留める。 これはもはや恋愛の駆け引きではない。 千円という小銭を効率よく回収するための、完成されたアルゴリズムだ。


無料で潜入を続ける私を、彼女たちは言葉で脅し、揺さぶってくる。 だが、その焦りこそが、彼女たちが生身の人間ではなく、システムの歯車であることの何よりの証明だった。

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