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晴れや雨
エピローグ
それを消すと、不快感が残る。
気持ち悪い、という表現が一番近い。
指を閉じた瞬間、
手の中で何かが潰れる感触がある。
確かな抵抗と、曖昧な重さ。
痛みは、すぐには来ない。
ズキッと。
指先か、掌か、判然としないまま、
遅れてやってくる。
数秒後、
目の奥を、軽く叩かれたように鈍痛が走る。
「……」
私は一度、瞬きをした。
息を吐き、体の中心に意識を戻す。
終わった直後、
耳鳴りがキーンと鳴った。
痛みは、我慢できる。
日常の不調と大差ない。
ただ、
その瞬間だけ、
自分の思考が途切れる。
ほんの一瞬。




