深夜にホットケーキを焼くしか楽しみがなかった私が異世界転生したらなぜか第五王子になっていたので、のし上がります。
「ん〜っやっと終わった〜!」
時計は23時を示している。
新卒で入社した会社に勤務して3ヶ月、こんな時間まで仕事をする荒んだ日々の楽しみは帰りに近所のスーパーに寄って材料を買い揃え、少し贅沢なホットケーキを食べること。
無心で焼いて、お皿に移してホイップクリーム、苺で飾り付けた。
いただきまーす!
食べようとして視界が歪んだ。
ささやかな幸せすら神様は奪うというの!?
待って、せめて食べ終わってからにして!
目が覚めると天蓋付きのベッドにいた。
スラッとした指先が目に映り、明らかに自分の手ではなかった。
キョロキョロしていると、隣から従者と思わしき男が声をかけてきた。
「王子!やっとお目覚めですか?」
その見た目はついさっきまで私に無理難題を押し付けてきた上司、部長その人だった。
「もう何年も眠ったままで、王位継承権も剥奪されてしまっていたのですよ。」
「王位継承……?
(待って、この人は何を言っているんだろう?)
「お忘れですか?無理もないこの話が持ち上がったときに王子は流行病に侵されていたのですからな。」
「その喋り方、からかっているんですか?」
「これは一大事!ジョーク様が目覚めたことを皆に知らせなくては。」
何だったんだろう?夢かな?
この世界が信じられなくて、しばらく眠ることにした。
寝て起きても状況は何も変わらなかった。
変わったことと言えば、私が邪魔者扱いされるようになったことくらいだ。
兄王子たちに嫌がらせをされて負けず嫌いの性分に火が付いた。
第五王子で病歴があろうが、私にもヴァレンティス家の王位継承権があるってことよね?
だったら、とことんやってやる!
お忍びで街に繰り出し、兄王子たちの評判を集めることにした。
酒場ではこんな話を聞いた。
「誰が王になるのかな?」
「第一王子は、爽やかよね〜アーデン様がいいな」
「いや、そのルックスでおモテになるが、政策は杜撰だし、それに女癖が悪いとも聞く。」
「しっ!関係者に聞かれでもしたら…」
「こんな安酒場に近衛兵だっているわけないさ」
(いるんだけどね…まっいいこと聞いた)
酔っぱらいのぼやきが聞こえてきて、紙を取り出し、
第二王子のディアモンは理想主義で極度の方向音痴っと、メモをした。
この情報何かの役に立つかなぁ?
耳をそばだてて民の話を聞いていたが、あれ以来有益な情報は得られなかった。




