アリスフィル・エンゼルガーデン②
第3章
57話
魔力を解放していく。ドランシアの魔導書が出現している際には神杖ゼニス・アルマが無くてもある程度迄なら魔力を解放する事ができる。これは、以前に魔力をドランシアの魔導書に保管した事も要因の1つである。
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「(な、何が起こっているの??この裏と呼ばれる場所もそうだけど...魔力がある一定量を超えてから認識すら出来なくなった...これほどなんて...!!!)」
大気は震え地面は割れる。これが表の世界なら被害は世界各地にまで及ぶであろう。それ程迄に
「今で大体半分くらいかな?」
魔力の解放を停めて落ち着きを取り戻す。体から溢れる魔力はアリスフィルを包みその魔力の大きさを感知させない領域に達していた。
「驚くべき魔力総量ね、こんなの魔王どころか正に神獣レベル...。これなら作戦もあながち...」
「でしょ?まぁ、これならアリスフィルの配下にも分かって貰えるんじゃないかなって、どう?」
「確かにこれならあの子達も...」
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こうして「黒金殲滅隊」の元へと赴き実力を提示、事情を説明し納得と了承を経て今に至る。その時に作戦を少し話し合い変更、最高戦力で重要都市ウルミナを陥落させるという定で現地に趣きそれをアレイスターが止める。その際に出来うる限り死傷者を双方に出させない様に努力する事を約束したのだ。
「く、くそ、アリスフィルにはなんて...も〜」
「こ、コイツ、なんだ...」
「取り敢えず今は目の前の事に集中だな」
「ヨ、ヨクモ、なかマo.....」バシュ
ウルミナの街に押し寄せる魔物の大群は数百に及ぶ。取り囲む様に全方位から押し寄せる大群はある一人の指揮により統率されていた。
闇の様に深いドレスに身を包み夜の如く静かな面持ちで空に立つ漆黒の魔王その名もアリスフィル・エンゼルガーデン。
「さぁ、行くわよ黒金殲滅隊!この街からヴァルハラ大陸支配の示しとしましょう!!」
「「「はっ!!!」」」」
黒金殲滅隊は12人で構成されている。それら全てを用いてこの街を侵略するこの作戦はアレイスターにより考案された。その真意は魔王軍の主力にアレイスターの実力を見せる為である。
勿論、黒金殲滅隊の面々には先にそれを済ませては有るが大規模な軍隊の為、不満を最小限に抑えるべく元々の侵略軍に加え黒金殲滅隊を招集したのである。
空高く飛翔する1つの影。街の中央から飛び出したその影は一度目を離せば忽ち見えなくなる。目を凝らせば視認できる程の僅かな黒点は軈て光を帯び空へと同化していく。
「召喚門!!!」
大きな魔法陣と共に鐘の音が鳴り響く。強く吹いていた風は止み魔法陣は門へと姿を変え大きな何かがそこから這い出てくる。山なのか竜なのかその存在を表す言葉は彼の者の名前以外は存在しない。
「エリュシオン!!!」
ウルミナの街を覆い隠す程の巨大な影は本体の1/2にも満たない。完全な状態で顕現させる事は即ち天災を招く事と相違なく世界の破滅を意味する。
エリシュオン、アレイスターと幼少の頃より契約している神獣の一体であり異次元を司り、支配・操る能力である。
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「(ここまでは作戦通り...。後は坊やが任せろって言っていたけど、ホントに大丈夫かしら...。それに、一体どうする...)」
「!!!!!」
「な、なに?この魔力...」
寒気で鳥肌が立つ。それは、未だ嘗て体験し得ない想像を絶する程の圧倒的畏怖。ヒトはそれを神と例えるが魔族や魔物、魔王等からすると正に恐怖の象徴悪魔である。
「き、きんきゅう!!緊急!上空より未確認の巨大生物出現!!!魔王様!!!」
「分かってる!!!!」
その場に居た全員が凍りついた。気付いた時にはその影の中に取り込まれ風すら通さない薄暗い闇の中で只震えることだけが許される。
「(ぼ、坊やめ.....まさか、まさかこんな化け物を出してくるとわね)」
「撤退よ!!!全軍、今すぐっ!!!」ドゥ
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「は?」
撤退の命令を出したアリスフィル。作戦通りであるしそうでなくとも見事な采配だ。しかし命令を言い終わる前に何かに飲み込まれ気が付けば自領、魔王城付近まで戻されている。この状況にアリスフィル本人も聞かされてなかったが故に動揺し混乱していた。
「な、何が...いや、一体...何をされたんだ...」
魔王本人が動揺しているのだ。周りの配下や軍兵等はアリスフィルの比にならない程困惑していた。殆どパニック暴動状態で訳が分からないままに仲間同士言い合い啀み合っている。
「坊や...一体何を考えて...」
ドゥ
「ん?.....な!!こ、これはまさか!」
次の瞬間、他の街へ向かわせていた現在侵攻中の魔王軍がアリスフィル達と同様一斉にその場に出現したのだ。
「(転送や転移という類のものではない...。しかし恐らく私達もこの方法でこの場所に送られてきたのだろう...。ほんとに恐ろしい子ね...敵に回さないで正解だったわ...)」
アリスフィルは次々に帰ってくる魔王軍達の動揺と混乱を即座に鎮圧していき落ち着かせる。坊やと呼ぶアレイスターによって解決された今回の問題を良い方向に考えながら。




