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アリオンの街①

第3章

52話






静かで穏やかな風が吹き抜け、小麦畑が一面に黄金に輝く。田舎とは程遠い賑やかな街並みに彩られるその景色は緩やかに時間が過ぎていき、静寂と平穏と喧騒が程よく調和されている。


リュシリオンと飛行を続けある程度進んだ所で見つけた街にて今は休息している。街の名前はアリオン。


街に来て1週間位が経ちここで色々な事を知った。調べる事もあったしかなりの長い時間移動を続けた事で疲れが溜まっていたので休息の意味もあった。


「ふぅぁぁぁ〜〜む」


大きな欠伸をしながら身体を伸ばす。幸いにも城塞都市ヴェリナリーゼで少しの間だが仕事を貰えていたので多少のお金はあり宿屋に泊まる事ができた。


食事に関しても宿泊代と込みで朝食と夜食が提供されるし街にも飲食店や出店が多く値段もお手頃なので非常に助かっている。


「よしっ!!....て、皆まだ寝てるし...」


「zzz」


「zzz」


「zz..zzz」


「このサイズ感だとマスコットキャラクターみたいだな。でも、便利っちゃ便利かな?」


召喚獣は膨大な魔力を保有している為、同時に何体も召喚するにはそれ相応の条件と世界に対してのリスクが懸念される。1体現れただけで大気は震え地面は唸り自然環境や生態系が変化してしまう可能性も十分にある。


加えてアレイスターの成長と共に現世での魔力量は増えていき今ではアヴァロニアに居る時と同等程度まで膨れ上がっていた。


だが、今回のリュシリオンの移動時にこの問題を解決。魔力をアレイスターの様に圧縮・凝縮しギリギリまで抑え込む事で外界に溢れる破滅的魔力が実質無害になった。そして、それを機に他の神獣達まで現世に居座る様になってしまったのだ。


因みに身体の大きさは自由に小さくできるみたいで皆には極力小さくなってもらっている。その為、宿屋の部屋は狭苦しくてしょうがない。(この能力は今まで使用機会が無かった為使っていなかった。)


「お〜い!みんな起きろ!朝だぞ〜!」


号令と共に目を覚ます一同はねむけ眼ながら摂らなくてもいい食事を楽しみながら1日を始める。どうやら此方の世界の食事は大変美味しいらしく各地によっても郷土料理など様々な種類が存在するのが神獣達には非常に珍しく面白いそうだ。



朝食を終えると準備を始める。この街に来て分かった事は現在地の大陸名がヴァルハラである事でニューメル大陸の隣に存在する。あまり、長い時間を無駄にする訳もいかないのだが如何せん記憶喪失とユリオン達との旅を含めた長旅で疲労困憊だったので休養期間を設けるようにしたのだ。


「ここに来てもう1週間。そろそろだな」


「マスター、出発なさいますか?」


「あぁ!身体も大分休めれたしそろそろ行かなきゃな!」


「マスター、儂らも同行するぞ!この大きさなら移動も邪魔にならないだろうし」


「いやいや、皆は無理じゃね?」


「それは、私たちが仕立てた衣服がカバーしますよマスター」


「メルまで?もぉ〜みんなも?」


「はい!もちろんです!マスター!いつでも私達がお守りしますよ!」


「ほ、ほんとに...ハハハッ」


苦笑いが零れる。嫌ではないがこの生活が続くとなると非常に騒がしくなりそうだ。


「よし、じゃあ!行くか!!」


宿の支払いを済まして街の外へ出る。不思議に思われないようにある程度離れた位置からリュシリオンの背に乗り飛び立つ。他の神獣はメルとゼニスが仕立ててくれた服の懐に収まっている。因みに、現在外にいる神獣はゼニス、メル・クーリヴァ、デリオラ、ディシディア、そしてリュシリオンである。


「ありがとうアリオンの街。また、ゆっくり来たいな」


「ええ!ご飯も美味しかったですしね!」


「1日目に食べたステーキは格別でしたね」


「あぁ!!ディシディアだったのかよ俺のステーキ食べたの!」


「・・・・」


「黙ってるけどお前もだろゼニス!!」


他愛もない会話が続く。この1週間はずっとこんな感じだ。でも、話し相手が居るのは寂しくならないし退屈もしないから悪くはない。


「ん?あれは?」


飛び始めて少ししてからだった。広大な大地が広がる道中は赤みがかった岩石に草木が1つもない地面に覆われ神秘性と少しの不安さを感じさせる。


「マスター!あそこに!」


「ん?どうした?デリオラ」


デリオラの声に反応し周囲を見渡す。


「え、あれって人?襲われてる?ぽい?」


「恐らく襲われているかと」


「よし!それなら!」



「おいおい!何でこんな所に!!」


「知るかよ!!今は集中しろ!」


「く、くっそー!明日は娘の誕生日なのに、、、」


「ばか!生きて帰る事だけ考えろ!」


グギャァァ!

ゴォォォーーン!!


「なんで、こんな所でワイバーンなんか出てくんだよ!しかも、武装してるってことは...」


「ああ、確実に魔王の手下だ」


「とうとうここまで....」


絶望に打ちのめされる護衛達。その恐怖を感じとったのか不敵な笑みを浮かべながらジリジリと近寄る。


「くっ!このゴブリンのクソ野郎、俺らを見て笑ってやがるぜ!」


「恐怖した顔を見て興奮してんだろ、気色悪ぃ!」


言葉を聞いたゴブリン達が一斉に走り出し襲いかかる、丸で言葉を理解し反応するように。そしてその行動に呼応するようにワイバーン達は散開し周りを取り囲む。


「くっくっそ!!!」


刹那、轟音と共に降り注いだ落雷が魔物達を跡形もなく掃討する。天気は晴れ、この地には雨が降ることは殆ど無くここ100年単位で雨は降っていなかった。しかし、その落雷の後に太陽が出ているのにも関わらず雨が降り始める。


「い、一体なにが?」


「お、おい!!あれ!」


空より降り立つその少年は太陽と雨に照らされ光を帯び輝きとともにフードを外す。


「大丈夫ですか?お怪我は?」


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