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始まりは彼方④

第3章

51話






意識がゆっくりと覚醒していく。少し眠気が残っており目を開くのが怠いと感じる。しかし、両腕に感じる確かな熱がこの眠気を段々と飛ばしていく。


「んぅぅ〜....ん?え、ちょ、え??」


身体を伸ばす為に腕を上げようとした瞬間に絡みついてるアールとエールに気が付き熱の正体が分かった。それは、ガッチリと固定されており抱き抱える様に抑え込まれている。


「ま、まじか...。いや、有難い?のか?でも、俺の年齢的にまだそっちの方は...」


ムクっ


「うわぁ、やば。朝勃ちエグいって...」


小さいながらも確かな存在感も発揮する愚息。年齢的にはまだ早すぎる性の目覚めだが前世の記憶とアヴァロニアで年齢に合わない身体の不相応な成長がアレイスターの成長速度を上げてしまっていた。


「ん....んぅ〜ん」


「.......」


「ふ、2人もまだ寝てるし取り敢えず落ち着こう。生理現象だしその内収まるだろう」


布団に隠れるようにして再び睡眠の体制に入るが両腕に気を取られ眠気どころか更に目が覚めていく。


「気を反らせ〜。集中、別のことに...」


自分に語りかけるように独り言を話すアレイスター。この後2度寝する事に成功するものの再び愚息の不動なる直立が起こり丁度同じタイミングで目を覚ました2人に叩き起されるのであった。



「本当に今までお世話になりました。オカミさんとお二人には何んてお礼を言ったらいいか...」


朝食をとり終えた俺たちは今日お店を休むという事で4人でゆっくりとした時間を過ごした。朝から市場に行き装飾品や衣服、食材の買い出しをし、昼食を食べ宿に帰る。


そして今、最後の挨拶を交わす。


「アレイスター、アンタはもうウチの子よ。いつでも帰ってきていいからね!!」


手を広げてソっとアレイスターの体を抱き締める。暖かなその抱擁は優しさで包み込むような愛情とも言える何かを帯びていた。アレイスターも同じように抱擁し返す。


「あ、ママ!」


「ずるいですよ!」


それを見た2人がアレイスターとオカミさんを上から抱き締める。


「そうだ!アレイスター!私達はもう家族だ!」


「ええ!いつでも帰って来ていいからね!!」


「うん、、、うん!本当に今日までお世話になりました!!!...」


少し、頬から涙が落ちる。それは記憶よりも先に忘れかけていた前世の母と今世の母の愛情を思い出したからだ。家族の温かさが蘇り確かに実感した生きている事への感謝とオカミさん、アール、エールへの感謝が胸の中を駆け巡り目元から溢れる。


そして


「じゃあ、いきま.....。いや、いってきます!!!」


「「「いってらっしゃい!!」」」


ガチャッ!!


扉を開け外に出る。日差しがいつもより眩しく、暑く感じる。もう一度ここに帰ってくる事は正直考えて無かったが絶対に帰って来ようと心に決めた。晴れ渡る空と共に心にも爽やかな風が吹く。


「あぁ、なんていい天気なんだ」


台詞みたいに呟く言葉は周りに居る誰にも聞こえないだろう。だが、この街で出会った人達から教わった事は確かに俺の中で生きていくし忘れる事は決してない。



この国はかなり広く大きいので街から街も距離がある。城壁から出てリュシリオンで飛ぼうと考えていたが街から出てすぐに人目もなくなり平原が広がっていたので今は空を移動している。


「リュシリオン!こっちの世界も久々だよな!どう?」


「マスター!私はマスターを背中に乗せる事が出来るだけで本当に嬉しく思います!!」


「おいおい、そいうことじゃ.....」


高く高く人に見つからない様に飛行する。取り敢えずニューメル大陸があった場所へと向かう事にした俺は久し振りに乗ったリュシリオンの背中に懐かしい安心感を思い出す。思えば召喚魔法を使う様になってからリュシリオンとは長い付き合いになる。この背中がいつも俺を守りそして次に導いてくれる。


「いつもありがとうな、リュシリオン。皆んなにも本当に感謝してる」


「マスター、それは私達も同じ思いです。」


昨日も会って話はしたが2人きりで会話するのは久し振りだ。ユリオン達と旅をしていた時もあまり召喚する事はなかったのでほぼ毎日顔を合わせていたのが嘘みたいに思う。俺達は2人の時間を思う存分に満喫した。丸で数年ぶりに再開した旧友の如く花を咲かした会話は周囲の空も合わさり正に2人だけの空間。



城壁を超えしばらく飛行を続けている。陽が傾き始め夕陽に向かって進み続ける様は遠くから見たら只の影としか映らないだろう。光が眩しくフードを被る。神獣達、主にゼニスとメル・クーリヴァが主体となり俺の衣服を整えてくれていた。以前着ていたものとは明らかに別格で着心地から耐久面に至るまで過保護な程に神獣達のありとあらゆる魔法が付与されている。(一応、市場に出かけた際に普通の私服も購入している)


「この服、本当に落ち着くな。」


「そうでしょう!何せ我々の力が付与されているのですから!これでマスターを更にお守りする事が出来ます!」


太陽が完全に沈んでも2人の旅はしばらく続いた。飛びつづける空の中、雲の上。アレイスターは改めて自分が本当の意味で目覚め、全てを思い出したことを刻み込む為そしてこの忘れていた楽しさを今は全力で感じる為に心に身を委ねるのであった。


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