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ニューメル大陸⑤

第2章

47話






爆心地から移動を続ける事、一体どれほどの時間が過ぎただろうか。同じ景色が永遠と続くこの虚無を見ながら急ぐが中々目的地まで辿り着かない。


ユリオンも想定より長く移動していることに少し疑問を抱き始めていたその時だった。


『!!!!!!』


「ん?なんだ?あれ?」


『アレイスター!!!』


それは、一目見た瞬間に本能で理解できた。空間が捻れるように歪み蜃気楼の様に当たりが曲がっているその中心に居る何かが喰らう者(くいばみ)であると。少し離れた所でもその異様な光景が目に入る。


何も無くなった虚無の大地は遮蔽物が無く見渡す限りに周りを見渡せる。だがそれは...


「!!!!!????」


ユリオンの声が聞こえると同時に視界に入ったそれは全ての行動を停止させ辺りを真っ白に染め上げた。何も考える事ができず手足や指の先に至るまで体も動かす事が出来ない。


声は届かず段々と遠ざかっていくのを感じる。思考は止まったままもう何も分からない。タダ、視界だけは白く光り意識はハッキリとしていた。意識だけは手元に残ったままなのに思考する事は出来ず動く事すら...



気が付くとそこは何も無い平原だった。意識が無くなった記憶もなく目が覚めると清々しい程の平原だった。辺りは暗く既に夜を迎えているようで少し肌寒い。


「さぶっ...ここは..どこだ??な、何が。うん?あ、えっとあれ?待て待て」


身体が地面にあるので上体をあげる。周辺を見渡し城壁らしき物を見つける。


一旦立ち上がり身体に傷や怪我が無いかを確かめる。そして今1番考えたく無い事を頭に置きそして、口に出す。


「俺は、、、誰だ?」


記憶が一切無い。何処か抜けているというより自分の名前から出生、どうして此処に居るのかの理由。全てに於いて何にも記憶が無いのだ。


「っ!!!!痛っった!!!」


脳味噌がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられている様な激痛が走る。断片的だが砂嵐混じりで少しだけ記憶の中の映像が流れる。


「ぐっっわ!!!!いっったい!痛い痛い!!!」


その断片が見える度に激痛が走り脳味噌を頭ごと引きちぎりたくなるほどだ。しかし、その断片を見ても何も思い出せないどころか疑問は大きくなるばかりだ。


「ふぅ...ふぅ...ふぅ...」


断片的な記憶の映像が流れなくなり同時に激痛が収まった。先程までの痛みが嘘かのように落ち着いてる。だが、痛みを伴っただけで全く記憶は戻っていない。


「はぁ、はぁ、一体何なんだよ。それに、何も分からないのにここからどうしたら?」


一人でこの先の不安について思考するが何も思い浮かばない。それも当然、記憶を失っているためこの世界の事も自分が何者かも忘れてしまった彼にとって今の状況は最悪と言える。


「取り敢えず、あの壁が見えてる所まで行ってみよう。多分街っぽいし」


自分が異世界から召喚された事も膨大な魔力を保有している事もユリオンと旅をしていた事も。

何も覚えていないアレイスターの新たな冒険が不穏な空気と共に幕を開ける。


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