ニューメル大陸③
第2章
45話
竜の国ドラグニアを出てから少し、俺たちは目的地が決まった事と喰らう者について知れた事によりこの先の行動が大方決まっていた。
元々ユリオンの故郷に行くという予定だったが場所が分からなかったので空を放浪していたが今回ドラニアに教えて貰った場所がユリオンの故郷が在った所だと知り全てが解決した。
ニアがくれた古文書は一通り読んだがあのドランシアの魔導書以外の本は基本的に何て書いているか分からず読む事が出来なかった。所謂古代文字というやつだろう。
ユリオンとラシュリーにはドランシアの魔導書については説明した。最初は驚いていたものの、本の詳細が気になり最後は好奇心の方が勝っていた。
「ふぅ〜〜〜」
ユリオンの城にある自室のベットに仰向けで寝そべる。天井を見上げて深く息を吐き目を瞑り暗闇に身を委ねる。最近ではドランシアの魔導書にストックしてある召喚門の魔法陣を通りアヴァロニアに行けるようになったので修行をしている。(魔法陣に触れる事で何故か入れる。他の魔法は触れるだけでは発動しない)
アヴァロニアは時間の感覚が違う為長い時間滞在する事は現在の年齢では負担が大きい。それに成長が止まる訳では無いので年齢に似使わない肉体になってしまう。しかしそれを補うのと同時に修行も兼ねたとある方法を編み出した事により疲れは倍増するが肉体的成長は止める事ができた。
「皆んな元気そうで良かった。それにこの本が思った以上に便利で最高だな」
目を開けて本を見る。ドランシアの魔導書の存在は神獣達も認知していない何処から来て何の為に作られたか分からない正に魔法の本。
「もう少しで...ご飯の筈だけど...ねむ..くなっ...きた.な...」
ベッドの寝心地は最高で言い表すならば雲だ。ふわっとした柔らかさに身体を包み込むような包容感。楽園は此処にあったのだ。
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『全く!アレイスターったら!もう少しで夜ご飯だって言ったじゃない!!』
結局あの後、熟睡してしまったアレイスターは夜食の時間にも現れずユリオンとラシュリーに叩き起される事になってしまった。
「ホントごめんって...。最近また特訓するようになってから疲れが凄くて」
「まだ、強くなる気なのか?お前は世界を滅ぼすつもりなのか?』
「何を言ってんだよ笑魔王じゃあるまいし」
『お前の魔力が今でも何故ここまで抑えられているかも分からんのに全く...』
『ホントよねぇ〜。これ以上何をするの?』
「まだまだ。不死身な訳じゃないし死ぬ時は死ぬからさ」
強い事に越したことはない。だが、その強さが何れ世界を恐怖の常闇へと誘ってしまう事をこの世の誰もまだ知らない。
夜食を食べ終えた3人はそれぞれ自分の部屋へと帰っていた。当のアレイスターは先程寝てしまった所為であまり寝付けずにいた。
「なんか、眠たい気がするんだけど〜。でも、何故か目が冴えて寝れない。」
身体をベットから起こし立ち上がり明かりを付ける。
「そーいえばドランシアの魔導書って魔力も溜めれるんだっけ。限界がどのくらいか試してみよう」
どこからともなく出てきたその本は目の前で開かれる。そして開かれた空白のページに手を乗せ魔力を流し込む。
「おぉ〜!どんどん吸い込まれていく!!」
魔力が流れ込む様は正に滝の如く、決壊した防波堤から流れ込む氾濫見たくなだれ込む。
やがてアレイスターの魔力が全体の3/1になるまで魔力を吸い込んだ所で強制的に本は閉じられた。また、その後更なる空白のページが開かれる。
「1ページにつきた3/1か、普通にヤバいな笑。俺の魔力はここ最近でかなり増えてる。それなのに3/1って事は...この本とんでもないな...」
今はこれ位にしておこうと思ったアレイスターは一旦、本を閉じて再びベットに飛び込んだ。
「はぁ〜〜。。疲れた〜!何か一気に疲労が...」
魔力を注ぎ込んだだけの筈が疲労が急激に身体を襲った。寝転がったと同時に石になったが如く固まりもう寝返りを打つ気力もない。
「(このまま、眠れそうだな。はぁ〜そういえばフィオラや他の皆は元気かな?色々あり過ぎて忘れてたけど俺、魔特待首席何だよな一応。このままで大丈夫かな?)」
アレイスターは長らく忘れていたワルキュリア魔法学園の面々を思い出しながら夜の暗闇へと帳を降ろしたのだった。




