ニューメル大陸①
第2章
43話
あれから色々話した後、今回の戦闘に対しての手打ちという事で宴会を開いてくれる事になりアレイスターとユリオンはそれに参加していた。陽はすっかりと暮れ嘘偽りのない本当の夜が竜達の住処を飲み込み星々と月明かりが巨城を照らす。ドラニア曰くこのドラグニアの有る場所は俺たちが普段生活している時に見ている空とは違いもう1つ上に存在している2つ目の空らしくユリオンが当時、空に居たのに気付かなかったのはその為なのだとか。だからこそ今回の予期せぬ会合はお互いに誤解を生み戦いにまで発展してしまったのだ。原則、この2つ目の空には竜達以外の種族は存在せず立ち入る事も本当なら出来ない。しかし、今回ユリオンの復活に加えアレイスターという異端の存在がこの空へと入るキッカケになってしまったのだ。
「本来なら私達の住む空は見る事さえ出来ない。しかし、こんなにも意図も容易く入って来るとはな。私も近付いて来るまで全く感知できなかった。」
ワインのような物を片手にドラニアは呟く。ユリオンもいつもの調子を取り戻しお酒を片手にご飯を楽しんでいる。俺は流石に子供なのでお酒という訳にはいかないので新鮮なお水と同じくご飯をいただいている。
『それに関しては我らも悪かった。気付かなかったとはいえ勝手に貴様らの領域に侵入し先に手を出されたとはいえ竜達を多少葬ってしまった。アレイスターに至っては数十から数百は逝っているだろう。』
「それは構わん。我らも早とちりが過ぎた。今思えば敵意の有無くらい気付けただろうに。私も大分鈍ってしまったみたいだな」
「本当に申し訳ない。取り敢えず殺しちゃった竜達は生き返らしたけどどう責任を取ったら良いか」
「アレイスター、済んだことはもう良いではないか!皆、生き返りこうして共に食卓を囲んでいる。それで今は私は良いと思っている。だから気にしないでくれ!無論、魔王もだぞ!」
『流石は竜神と言われるだけあるな。王に相応しい器だ』
「みんな、この国の竜達はニアの事を心から信頼しているんだな。凄いや」
「そんなに褒めても飯と酒くらいしか出ないぞ?」
「それならもう十分な程にもらってる笑」
『ああ、こんなに美味い飯を食うのはラシュリーのお手製以来だぞ!!』
「じゃあ、ほぼ毎日食べてるじゃん...」
大きな笑いと共に開かれた宴会は大いに盛り上がったのだった。
「さて、2人に話したいというのは今後の事なんだが」
宴会を終えユリオンとアレイスターは先程いたドラニアの部屋に招かれていた。
「先ずはニューメル大陸に行ってみると良いかもしれんな。」
「ニューメル大陸??そんな大陸聞いた事無いけど...」
「ああ、もうこの世に存在しないからな」
「え?それってどーいう」
『我らが元々いた大陸の事だ、今は、、、』
「魔王の空飛ぶ大陸がそのニューメル大陸の1部なのだ」
「え??ネデ・フォネラージが??」
『何があったのかは我も忘れて...いや、思い出せないがニューメル大陸の1部と共に我は眷属を連れ逃げたのだ、恐らく。そして、空に浮かぶ楽園という意味を込めて新しく名前を付けた。しかし、その所為で数千年に渡り力は失い眠りについてしまった。その長い年月で眷属達は殆ど死に残ったのがアレイスターを襲った2人だという訳だ。』
「マジかよ、あの2人がユリオンの最後の眷属だったって事?俺やっちゃったじゃん...」
『それは仕方あるまい。我も元々は自身の復活の為にお前を犠牲にし糧にしようと考えたのだから。それに抗うのは当然の行為だ謝るのは寧ろ我のほうだ。』
ユリオンはコチラに向き直り改まって俺に謝罪をした。いつか俺に謝って来た時と違い真剣な眼でみつめてくる。
「別にいいってそれは...いや、よくは無いんだろうけど、、」
微妙な空気が漂い纏わりつく。
「それで、話を続けるがそのニューメル大陸に行けば何か分かるかもしれんという事だ」
ドラニアが空気を切り裂くように雰囲気を変え話を戻してくれる。
「なるほどね....。てか、ニア達は知らないの?ユリオン達に何があったか。」
「何があったかは覚ているから分かるが、そのラシュリーという者に何が起こっているかはさっぱり分からん。勿論、その治し方も。」
「だからこそってことか。てか、元々俺達ってユリオンの故郷に行こうとしてたよな?」
『ああ、念の為にな。故郷帰りと何か分かるかもしれんと思ってな。だが、場所がわからん、というか思い出せんのだ。それ故に空を放浪していたしな』
「大体の位置なら私が分かるから安心しろ!それにただ闇雲に放浪しても上来るにおる限りあまり得るものも無いであろう?ここで出会えたのも何かの縁だ!道ぐらいは示そう!」
「え!それは めっちゃ助かる!な!ユリオン!」
『そうだな!龍の王よ。いや、竜神よ礼を言うありがとう』
最初はどうなるかと思った竜達との会合は纏まるとこに纏まり良い方向へと形を変えた。この出会いは何を意味するのか、はたまた何も意味しないのか。それは誰にも分からない。




