入学試験?
第1章
第4話
あれから1ヶ月経ちとうとう入学式の日がやってきた。俺の住んでる場所から学園までは少し離れていて寮生活になるらしい。俺も昨日初めて知った。母に聞いたらなんと入学式には試験が存在するらしくそれに合格しないと入れないらしい。それも昨日聞いた笑母よしっかりしてくれ。
「じゃあ、行ってくるよ母さん 父さん!」
「あぁ!しっかりな!」
「行ってらっしゃい!夏休みには絶対帰ってくるのよ?」
「あぁ、戻ってくるよ笑」
別れの挨拶を済ませて馬車に乗り込んだ俺は遠くなる家を眺めながら馬車に揺られるのだった。
カダンッガタン
馬車は1人ではなく何人かで一緒に行くことになっているらしい。俺が1番最初だったらしく誰も居なかった。
「周辺に学園生徒がアナタ以外にいないのでこのまま学園に直行致します。」
前の方から声が聞こえた。馬車を引いてくれてる人だ。
どうやら俺はこのまま1人で学園まで行くらしい。まぁ、それはそれで全然いいんだけどね。
「わかりました。よろしくお願いします。」
俺は返事をして学園に着くまで少しばかり目を瞑るのだった。
~学園前~
「到着しましたよ生徒さん」
その声で目を覚ました俺は大きい欠伸を1つしてお礼を言い馬車から出た。
「ここが、学園か!凄い大きさだな。」
ここは学園都市と呼ばれる大きな学校と都市が合体した街だ。俺の住んでた場所はその都市から少し離れた所にある村で住所的には学園都市のものになるらしい。住所があるのが凄い不思議な感覚だがこっちの世界にもそういった概念があるらしい。
周りを見渡してみると皆グループになっているように感じた。馬車で一緒になった人達がそのまま仲良くなりその雰囲気のまま来たのだろう。俺は1人だから正直ちょっと寂しい。これはこれでえげつなくね?まぁ、気にしないように俺は足を試験会場の方に向けた。
~試験会場~
「これより、ワルキュリア魔法学園の入学試験を始める!私は試験官を務めるメリナ・ブラックだ!君たちの健闘を心より祈っている!」
試験官のメリナ・ブラックは黒髪ショートヘアで黄色の輝く瞳を持つナイスバディだ。面構えからして良い人なのが滲み出ている。
「入学試験といっても魔力測定みたいなものと対人戦の実技試験の2つだ!まずは魔力測定からおこなってもらう!順番に並んでくれ!」
生徒達がその声に反応してゾロゾロと動き1列に並んでいく。俺もその波に乗り流されるままに順に並んだ。
大体真ん中より少し前の方らしい。後方を見ると前より明らかに人が多い。
「では!はじめ!」
「火炎魔法:バーン!」
そう叫ぶ男子生徒が火の魔法を大きな水晶みたいな物に当てると輝くように光った。
「次!」
そうして順番がどんどん自分に近づいてくる。胃の中がキリキリして緊張してきた。心配はしていないがこういう場面って何故か緊張するんだよな。
「アンタ、この街出身じゃないでしょ?」
俺の真後ろから声が聞こえる。振り返り応えた。
「あぁ、町外れの村出身だ」
「はじめまして、私フィオラ・アルバンドよろしく」
少し勝ち気な金髪美人な赤眼の女性が自己紹介してくれる。
「俺はアレイスター・マグナ、こちらこそよろしく!」
自己紹介した俺を彼女は下から上まで舐め回すように見ながら聞いていた。
「なにか、俺の顔についてる?」
「いや、アンタ相当強いでしょ?」
その一言に俺は驚愕した。
「何故、そう思うの?」
「私、魔眼持ちなの。貴方の魔力の練度や濃さが明らかに常軌を逸っしてるのはひと目でわかったわ!だから声を掛けたくて後ろに来たのよ。」
そう話す彼女は俺にズイッ近づき自分の眼球を指さした。
確かに眼球になにか紋章が浮かび上がって光っている。
「魔眼って凄いな、そんな事まで分かるんだ。」
「アンタは魔眼って聞いてあんまり驚かないのね」
「いや、実際驚いてるよ。そんな事言われると思ってもみなかったし。驚きすぎて言葉が見つからないってやつだよ」
俺は正直ホントに驚いていた。俺は魔力を自動的に抑えているので人より魔力が低いと普通なら思われるレベルだ。なのにそれを初対面で学園に来て話しかけられた人1人目にこんなこと言われるのだ驚きで言葉もない。
「ねぇ、力とか抑えずに思いっきりやってよ」
彼女は不敵な笑みを浮かべて俺に言った。
「と、言うと?」
「アンタの事だから抑えてそれなりにやりそうじゃない。そんなの面白くないからやるなら本気でやりなさいよってことよ」
図星だが、目立ちたくない理由もとくにないし俺はそのフィオラの要望に答えることにした。
「次!」
試験官の声が聞こえ、前を見ると俺の番が来たらしい。
俺はフゥーっと息を吐き魔法を使った。
「オーディン!召喚!」
空中に浮かび上がる立体的な魔法陣から大きな槍のような剣を持った召喚獣が水晶に向けて斬撃を放つ。
パァァァァリィン!!!
巨大な水晶は横一線に真っ二つになり砕け散った
「あ、」
水晶が割れた音が会場中に響き渡り一瞬にして雰囲気は静まり返った。
徐々に静けさはどよめきを生み次第に広がり会場中の生徒が騒ぎはじめた。振り返るとフィオラは口をポカンと開け呆然としていた。正に開いた口が塞がらないとはこの事なのだろう。
「おい、貴様!名前はなんと言う!」
試験官であるメリナ・ブラックが俺に声掛けた。
「はい、アレイスター・マグナと申します。」
俺は、しっかり体を前に向け直し目を見てしっかり名乗りお辞儀した。
「アレイスターか、なるほど。君は一旦私と一緒に来なさい。他の生徒は新しい魔力測定器と新たな試験官が来るまでそのまま待機!」
こうして、俺の入学試験は始まったのだった。もう帰っていい?