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大いなる空の支配者③

第2章

38話





晴れ渡る大いなる空に浮かぶ魔王の大陸よりも遥かに大きく聳え立つ()()は雲の上に居るはずなのにも関わらず雲に隠され、雄大な巨城は嵐を引き連れ夜を運ぶ。


「あれって、思っていた100倍は大きいよな?思ったより近づかなかったし」


「はい、私の目算でもあの魔王が持つ空飛ぶ大陸を遥かに凌ぐ大きさです。」


「まさか竜達の都がまだあるなんてなー。マスターよここはワシらがこの世界で生きていた頃より存在する正に生きる神獣達じゃ、もちろん神化している分ワシらの方が圧倒的じゃしマスターも複数の神獣と契約しておるし問題はないが油断は禁物じゃ」


話をしながら嵐へと突入し上昇する。分厚い雲の中は激しい雷雨に包まれ竜の如き稲妻が走り閃光が駆け巡る。だが、会話は途切れず3人の話は続いていた。


「しかしこの雲の中はすごいな!丸でラ◯ュタじゃん!!」


「確かに、この雷は障壁を張っていなければ私たちにも影響があるかもしれませんね。」


「リュシリオンよ、何を弱気になっておるんじゃ。マスターも乗せておるんじゃ、しっかりしてくれんと」


「ゼニス様、冗談はやめてください」


「はっはっはっ!!」


「2人ともめっちゃ余裕じゃん笑」


「マスター、そろそろ」


「ああ!」


リュシリオンの声とともに少し先に光が見えてくる。それは暖かさを含み次第に大きくなっていく。俺達は飛び回る雲の中を抜け出すかの様に一気に駆けていく。


ボフゥゥゥン・・・・


雲を抜ける音が耳の中に響く。そこは青い空に包まれ太陽がさらに近い場所に鎮座する竜達の巨城。正に大いなる空の支配者にしてこの世界を知る者達、青空に魅せられていると忘れてしまいそうになるがその数を見て見ぬフリは出来ない。数多の竜達は鳴き声をあげ空を守るかの様に飛ぶ回る。


「ここまで侵入できるとはな!人間!」


「あの神獣達の....いや、あの子供も、か。凄まじい魔力量、あれは最早人間なのでしょうか??」


「どっちでもいい!俺らのやる事は決まっておる!」


「そうだ!奴ら虫ケラなど即刻屠ってしまいましょう!」


竜たちの会話が聞こえる。しかし、


「リュシリオン!先ずは挨拶といこう!」


「畏まりました、マスター!!」


俺達はそんな相手の会話を待つ義理も無ければいわれもない。不意打ち気味にリュシリオンの魔法が放たれる。


「なっ!!!」


「くっっっ!!」


「危ないっ!!!」


数多の竜を目掛けて光の柱が光線の様に飛んでいく。避ける者もいるが追尾するので関係ない。不意をついたこともあり攻撃は全弾命中した。


「うわ、全部当たっちゃった〜」


「もちろんですマスター!」


「いや、まぁうん。そうなんだけどね」


煙が空に幾つも上がるが落下する竜達の姿は1つも確認できなかった。それを感じすぐさま警戒を強くし次の一手をうつ。


「ゼニス!!」


「承知した、我らがマスターよ!!」


神の杖ゼニス・アルマを作った神獣というより、神に近い存在ゼニス。彼は見た目はおじいちゃんぽいが実力はピカイチで扱う魔法や魔力量も桁が外れている。もちろん、アレイスターの契約している神獣は全員が有り得ない力を有しているしこの世界でもあまり長く存在する事はできない。本来なら。だが、ゼニス・アルマを使った全開放状態や神獣の世界ならば実力を存分に発揮出来る。今はゼニス・アルマを召喚しようとしてゼニス本人が来たのでどのような状況か分からないがリュシリオンとゼニスの魔力的にも全開放状態といっても差し支え無いだろう。つまり、ゼニスも本気を出せる。


「ここは空、ならある程度は加減せんでも良いだろう!!行くぞ!竜達よ!!」


掛け声と共に大きな魔法陣が巨城の真上を覆いそれを起点に周りを囲っていく。そしてそこから先程あった竜達が受けたであろう攻撃の地点へと魔法陣がとんでいく。


「その魔法は流石に地上にも影響が出てしまうでしょう、それは私達にとっても不都合。なので消去します。」


「!!!」


「!!!」


「、、、?」


頭の中に声が響く。それはどうやらリュシリオンとゼニスにも聞こえていた様で三者とも反応は違えど同じ声を聞いたのだと確信する。そして次の瞬間


「ほう、ワシの魔法を解体しよった」


「は??どーなってんだよ」


「ゼニス様の魔法を解体するとは、」


パラパラと光の欠片のようなものが散らばる。それは解体された魔法陣の残滓であった。しかし魔法陣とは物質ではなく触れる事の出来ない言わばイメージに近い。可視化されてはいても実際に触れる事は出来ないのだ。しかし今解体された魔法陣の残滓は明らかに質感があり物質特有の重みみたいなものを感じさせた。


「なるほど、発動をキャンセルしたのではなく発動前の魔法陣を本当の意味で解体したんじゃな。伊達に長い事生きとらんみたいじゃ。」


ゼニス曰く魔法の発動が完了する前に魔法陣の術式ごと解体されたらしい。神獣、神に近いゼニスの魔法を解体できるとなると相当な使い手だ。


「さぁ、我らが子よ。今一度その力を存分に示すがよい。全ては我らの思うがまま、私が支援・援護します。全力で敵を撃つのです。」


城の方から聞こえた声は先程、脳内に直接聞こえた声の主と同じであった。少し話し方が違うようにも感じたがその声をきっかけに竜達の魔力は高まり次々と咆哮をあげる。


「おもしろい!リュシリオン!ゼニス!勿体ぶるのもここまでにしよう!全力で叩き潰す!」


「了解しました!」「承知!」


魔力兵装を身に纏いゼニスとの共感覚を高め更に魔力を高めていく。杖の無い代わりにゼニスがその役割として補助に務める。


ギャャャャャーーーオーーン!!!

キュキャキュィィーーーーン!!!

ゴォォォォォオーーーン!!!


様々な竜の鳴き声が空に響き渡る。それは鼓膜が破けそうな程の怒号と共鳴であり空気が薄い筈の高々度の空でもそれを伝ってくる感覚だ。


「最近訛ってたし、皆を呼ぶのも久々だもんな!よしゃ!いっくぞー!!」


少しふざけ気味な態度で興奮を抑えながら召喚獣達を一気に呼び出す。


「さぁ!はじめようか!!」


今、大いなる支配者達との戦いが始まろうとしていた。


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