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始まりの空④

第2章

34話






〜何処かの空〜


遥か彼方の空に存在するとされる龍達が棲む王国。それは今は亡き巨大王朝があるとされた時代から存在しこの世界の歴史を全て知る数少ない観測者達である。その王国は長きに渡る年月の果てに繁殖繁栄し今日(こんにち)に至る。その長い年月が故に空の国にある此処は正に楽園で有り人の手に侵される事などある訳もなく何千、何万年も他の勢力・敵等に攻め入られる事が無かった。その為にユリオンとアレイスターの魔力が近付きつつある事に警戒が強まり警備・迎撃体制をとろうとしていた。


「さぁ!動け動け!!」


「おい!ボ〜ッとすんな!!」


「何が起きてんだよ一体!!!」


幾千年の時を超えて生きてきた彼らにとってこの事態は正に異常であった。勿論、警戒体制にすら入った事の無い者もいれば勘が鈍り全く魔力を感じ取れない者も居た。遠く離れているとはいえ気付いている龍がいるからこそ今こうして動き出している。


「遠くの方でだが接近して来ている大きな魔力が2つ程あるらしい!今正に<ドラグナイト>の方々がこの事態にいち早く気付き警戒体制の指令を出したのだ!!」


「大きな魔力?そんなの感じないけどなぁ〜」


「ワシも鈍ったのか全く何も感じない。」


慌ただしくも活気に溢れどこか楽しげな一同がアレイスター達と相対するのはもう少し後の話である。


〜空中巨大王朝フルバーニアン〜


先に進むにつれ崩壊が激しくなっていく。街の外観は荒廃し何かに抉り取られたかの様な跡が中心に向けて大きく伸び広がっていく。そこには確かな違和感と不信感を孕んだ気持ち悪いという感情を抱かせる。高度な技術で作られているはずの建造物や乗り物が朽ち果て先程いた所には生えていなかった苔が至る所に見える。


『おかしい。何が、とは分からんが明らかに何かがおかしい。』


「気持ち悪いよな。しかも恐らくだけど中心に向かってこの削られた様な跡が広がってる感じだからそれも違和感なんだよな。こんな街の途中からなんて、、意味がわからない」


俺達は驚きを隠せずにいた。奥へ、また奥へと進んでいくがその朽ち果てた景色は更に深くそして強く強烈な印象を与えてくる。気が付けば周りは森林のような大きな木々に囲まれ太陽の光も陰る。空にあるからか空気は良いものの雰囲気がそれを遮り顔にはシワがよる。


『・・・!!!、、あれはなんだ!!!』


ユリオンが指を刺した先には何も無かった。言葉通り何も存在せず何も無い。正に無の状態であったのだ。空間は捩れて歪みズレている様に見えそこを中心にして全方向に抉れたように地面が削れている。


「ここが爆心地なのか?」


『ああ、恐らくそうだな。だがこれは一体、、』


「空間が歪んでズレてるのか?近づけるのかな・・・」


『お、おい!アレイスター!』


『・・・・・・・・・』


その空間に向けて歩いていく。近づけば近づく程その異様さが肌が痺れる様に伝わる。俺の魔力は神獣を越えるほどに多く召喚魔法の縛り無しには肉体を保てない。だがこの空間は何かが違う。魔力やそんな物では量れない何か、このままこの空間と接触してしまえば消えてなくなりそうな。そんな事を考えていると、


『アレイスター!!!』


「!!!!!!」


それはラシュリーの声だった。


『それに触れてはダメ!それに触れれば、、』


ラシュリーの体が段々と透けていき声も少しづつ小さく弱くなっていく。


『ラシュリー!!』


「ラシュリー!どうしたんだよ!しっかりしろよ!!」


『あ、あれはヤツの、、、、だから、、、、』


「もういいって!!このままじゃ、、何か手は、、」


『我に任せよ。宙魔:オリオン・ストップ』


ユリオンが魔法を唱えると消えかけていたラシュリーの姿はその場に留まり固定されたかの様に固まった。


「ユリオン、これは」


『ああ、我の魔法でラシュリーの状態を一旦止めた。このままでは消えそうだったからな。』


時間停止。それは消えそうなラシュリーをその場に留まらせる事に特化したもので時間自体を停めている訳でわない。ラシュリーも喋れない訳では無いので相当に高度な魔法だと推測できる。だが冷静ならアレイスターにも出来た事だった。しかしあまり動揺しなかった彼がこんなにも心を乱したのは最近の平和に過ごしいてたボケとも言えた。


「(やっぱり、俺はまだまだだ。こんな事で警戒や戦闘に対する気持ちが緩んでるなんて。ラシュリーの対処は俺にでもできた、なのに、、)」


『そー気に病むなアレイスターよ。我とて伊達に生きてきた訳でも魔王をしていた訳でもない。経験の差というやつだ』


「フォローになってないよユリオン笑。けど、ありがとう」


俺達はその空間から離れ少し休む事にした。あの歪んだズレた空間はラシュリーの封印に関係していると俺とユリオンは考えていた。アレについて話した途端急激にラシュリーの姿が薄れ力が弱くなった。だからこそその話には触れられないし会話の話題にはできないでいた。俺たちは静かにラシュリーの状態を確かめながらこの歪で抉れた場所の外れで座り込んで休憩することにしたのだ。


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