始まりの空③
第2章
33話
あのお花畑を見つけてからというもの俺はソコに入り浸るようになっていた。まだあれから2日しか経ってないが俺は確かな安心と安らぎの空間を堪能していた。ユリオンとラシュリーが様子を見にくる次いでにお花畑でピクニック気分でランチを食べたりもしたし3人で昼寝もした。ここを「秘密の花園」とでも言おうか、非常に重宝している。しかしその安らぎも長くは続かなかった。その日も俺達は3人仲良く秘密の花園で昼食を摂っていた。
「ハァ〜。本当に最高の場所だな此処は!」
『ああ!こんなにも爽快で清々しい気持ちは未だ嘗てないっっっっ!!!???』
『ユリオン!!』
その瞬間何かにブツかった。凄まじい衝撃が大陸中に響き渡る。それは地震とは程遠くかけ離れたそれ以上の振動と轟音だった。
「うわぁ!!何んだ?!何が!!」
『空でぶつかる物のど限られている!!』
『ええ、恐らくは他の大陸。』
「え?空に大陸なんかあんの?ここの他に」
『ああ、世界の始まりは空からだと言われている位だからな』
話しながら衝撃の方向に向けて走る。この大陸の端に立ちその正体を確認する、そこに広がる景色は正に絶景と言えるがどこか恐ろしさと禍々しさを孕んだ不思議な感覚に襲われる。
「なんだよアレ、」
『あそこは!!!』
『ええ、多分今は亡き空に栄えた巨大王朝、フルバーニアン』
『まさか本当に存在しているとは!空中巨大王朝フルバーニアン跡!我らの時代から伝わる伝説の空飛ぶ古代都市!』
「空中巨大王朝フルバーニアン、、、か」
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〜空中巨大王朝フルバーニアン跡〜
「おいおい、何だよここ。可笑しいだろこんなの」
『む、我もこの様なものを見るのは初めてだ。何なのだ此処は』
『ええ、どれもこれも見た事ない物ばかりよ』
「(おいおい、こんなの転生前の時代にも無かったぞ。もう殆ど崩壊しているけど街並みが近未来過ぎる。明らかにこの時代、いやこの世界からして浮いてるぞ)』
フルバーニアンに到着した3人の目に入ってきたのは驚きの光景だった。アレイスターがこの世界に来る前の世界にも似て似つかないその場所は王朝という名の近未来都市であった。ユリオンとラシュリーは恐らく理解出来ないだろうがアレイスターには何となく理解できる物ばかりであった。
「(アレとか多分バイクとかそっち系だよなぁ。でもエンジンで動く感じには見えないけど)」
『なんだこのガラクタ達は!凄いな!』
『ええ、本当にどれも見た事ない物ばかり。でも一体どうやって使うのか、まず道具なのかも怪しいわね。』
「(そっか。あの2人にはわかる訳ないかこんなの。まぁ俺も別に分かってる訳じゃないけど)」
アレイスターも形状や雰囲気で予想しているだけで何も理解できてはいなかった。勿論その予想は概ね当たっているけれどこの見た事の無い近未来的な空気に少し動揺していた。何も話さず何の反応も無い事を察知した2人はすかさず話しかけにくる。
『どうしたアレイスター!驚きすぎて声が・・いやなるほどな。お前は分かるのだな』
『え?どういうこと?』
『こいつは恐らく見た事があるのか、この街にあるものが何か分かるらしい。』
『え!そうなの!どーいうこと??』
「いや、俺も見た事ないし何が何とかは分かんないけど。でも、大体の物の予想はつくっていうかその程度。」
『だからあまり反応が無かったのね。それなら言ってくれたら良かったのに!』
「いや、俺もこの世界にこんな物があるなんて思いも寄らなかったから動揺しちゃってさ」
『この世界から浮きすぎている、という事だな。』
「うん、本当に訳がわかんない。明らかにこの世界には有る筈の無い技術が使われてるし、俺が元いた世界でも此処まで発展してなかったし。」
『なるほどな。しかし、この場所自体は我々の時代から名前は伝わっていたぞ。』
「確かに古代都市って上陸前に言ってたもんな。って事はユリオン達が産まれるよりも更にもっと昔に存在していたって事だよな。この世界は何回か滅んでるのか?」
『まぁ我々の時代とも今は少し違うみたいだしな。行き過ぎた技術は時に己をも滅亡に導く、、か。』
『・・・・・・・・・・』
「どうしたんだ、ラシュリー」
『ん?ラシュリー』
『いえ、何にもないのよ。気にしないで。』
ラシュリーの空気が変わる。何かを思い出しているのか、それとも何か封印に関わる事なのか。
「まぁ、取り敢えずは探索してみようぜ!何か手掛かりとかあるかもしれないしユリオン達の時代にも無かった技術なら掘り出し物とかも有るかもだしさ!」
『勿論そのつもりだ!アレイスター、お前は知らないだろうがこの王朝は我々の時代でも存在しているのか不明な御伽話レベルの場所なのだ!正に伝説!しかも、我らの時代から数千年の時を経た今でもこうして健在なのだ!こんな事有り得ないと思わんか!』
「確かに。普通に考えて風化してる筈なのに苔すら生えてないもんな。まぁ空にあるからなのかもしれないけど、そんなレベルじゃないよな〜魔法を使用している感じもしないし多分そういう技術なんだろうな」
『朽ちない道具か。一体どのような、、』
『ええ、凄まじい技術力ね。』
「だから滅びたんだろうな」
『ああ』『ええ』
俺達はこの街並みを見ながらこの空中巨大王朝が実在していた事やどうして滅びたのかを個人的な解釈で話し合いながら奥に進んで行くのであった。




