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始まりの空①

第2章

31話






白い雲が海のように限りなく広がり流れている中を堂々たる佇まいで進んでいく大陸という名の船は何処に行くかの宛もなくただ一定の方角に向けて飛んでいく。あれから1週間程経ち何事も無く平穏そのものがアレイスター達3人の周りを取り囲んでいた。目標は決まっているが何処を目指したら良いか分からず取り敢えずユリオン達の故郷が在ったという方角に向かっているらしい。


「なんか戦ったのが嘘みたいな雰囲気だよな」


『む?まぁそうだな。アレイスター、お前も案外変わったヤツだな。我はお前の事を殺そうとしたし復活の為に魔力も貰った。気にしていない訳ではないだろうが協力もしてくれている。ほんとに面白いやつだ』


「それはたしかにそうだな。まぁ、なんか悪いやつじゃ無いのかなって思ったしまぁ後で諸々清算はしてもらうつもりだし取り敢えずはこっちに来た方がもっと強くなれそうな気がしたしさ。」


『清算は必ず何かの形でしよう!改めて感謝するぞアレイスター!』


「こちらこそコレからの生活の面倒よろしく!」


『む?ハハ!確かにそうだな!勿論だ任せろ!』


『ちょっと2人とも〜!お昼ご飯よ〜!』


ラシュリーの声が響く。実体の無いラシュリーはほんの僅かな魔力と意識だけで今俺たちの目の前に存在する。しかし丁度2日前の事だった。目を覚ますとそこには朝食を作るラシュリーが居たのだ。勿論実体がある訳でもなく封印が解けた訳では無いがココ最近になってハッキリとその姿を確認できるようになってきた。本人曰く、


『アレイスターも身体で言うと8.9割は魔力でできてるでしょ?それなのに普通の人間として生きてるのが不思議だったのよ。貴方は神獣との契約でって言ってたけど現状を見るに最早そんな次元では語れないのよね。でも、そこから私なりに解釈をして色々してみたのよ!』


という事らしい。一応俺にもよく分からないのでまぁそう言う事にしている。しかし封印的な物が弱まった訳では無いので何かが変わった訳ではないが生活は確実にしやすくなっている。


『ではラシュリーの料理をいただこう!』


ユリオンの掛け声と共に俺たちは食卓を囲む。豪華な昼食は毎度毎度最高なものに仕上がっており毎日の楽しみは食事になっている。俺は手を合わせて今日もご飯をいただく。


〜数時間後〜


夜になると綺麗な星々が闇を照らす。悠々自適に空を翔る巨大な大陸は朝から夜まで休む事なく飛んでいく。勿論この存在を確認できるものは殆ど居ない。アレイスターがこの大陸に入れたのはユリオン本人が許可・強制したからでありそれが行われていない者は基本的には侵入することができない。とされている。


「この星を見てると何故か懐かしい気持ちになるなぁ〜」


1人で大陸の端に立ち空を眺める。目の前に広がる光のカーテンは広大な大陸に居ても自分を小さく感じてしまう。風は吹き鼻の奥に季節の香りを感じる。大きく息を吸って吐く。色々あり過ぎて落ち着く暇が無かったので今の様に落ち着く時間が欲しかった。気が付けば1週間と言う時間が過ぎ実感の湧かないままに空の旅をしている。こんな事でいいのかは正直自分でも分からない。だからこそ1人でゆっくり考えを纏めたかったのである。


「みんな心配してるかな。特にフィオラは慌ててるだろうな〜」


心配事は山程ある。学園都市の安全面も去る事ながら学生としてやフィオラの件。どれをとっても不安な事だらけだ。正直、自分の身は何とかなるからどうでも良いが手の届かない範囲で何も分からないと言うのは守りようがないのでどうする事もできない。


「何か良い方法はないものか。」


俺は黄昏ながら考える。しかし良い案は中々思いつかない。


「まぁ、今は考えてもしょうがないか。とにかくラシュリー復活の方も考えないとだし。」


ラシュリーが何者なのかは全く知らない。ユリオンの大切な人と言うのは分かっているがそれ以外の情報は何も分からなかった。ユリオンの方も記憶が混濁している様子でラシュリー本人もこの話になると黙ってしまう。考えることが山積みで嫌になりそうだがこの先の旅自体にはあまり不安は感じていない。俺とユリオンの2人がいればそんな危ない状況に陥る事もないだろうし安心である。


「今日はもう眠るとするか。」


アレイスターは大陸の端を後にし寝床がある城へと戻って行った。


〜ある場所〜


「感じる。何か大きな何かが近づいて来る。それに果てしない魔力も2つ程。」


雲の中で吹き荒れる嵐と雷の中蠢くその影は白く輝き暗闇の中でも光に見える。眩い光はやがて嵐を晴らし其の者が抑える世界が広がっていた。


「グオォオオオオオオオオオ!!!!!」


「ギャォォォォォ!!!!!」


ここは龍たちが住み統治する国ドラグニア。空の世界を見守り正す者達が日々平和と愛を歌い幸せを分ち合っている。しかし、其の者達の危機管理能力は尋常じゃい程ずば抜けていて自分達の危機になりうる状況が来れば全勢力を持ってこれを排除する。そしてその国は王の姿と共に姿を現し周りの天候をも変えてしまう。


「皆の者!!戦闘体制に入れ!!!これより防衛ラインを形成!侵入者が我らの領域空間に入ると同時に攻撃を開始直ちに殲滅するように!!」


「「「グオギャャャャャャャ!!!!」」」


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