あれからもうちょっと経った
第1章
3話
あれから3年が経ち、俺は6歳になっていた。この3年で会話が出来るようになった事をいい事に母に魔法についての知識や練習などをしてもらっていた。しかし、この3年でも属性魔法は使えず魔力の量だけが年々大きくなるだけだった。
そしてとある日、家にある本の中に召喚魔法と書かれたものを見つけるのだった。その本の内容は召喚魔法というものを駆使して世界を救うと言ったおとぎ話だった。使い方や魔法の使用方法などを記載されておらず絵本に近い作りになっていた。その本は魔力に反応する特殊な本で魔力で包むことによって本当の姿にかわる。それを発見してから俺は独自に召喚魔法を学んでいった。
本を見つけて7ヶ月目。現在6歳のアレイスターこと俺は自分の異常性に気づき始めていた。
「リュシリオン召喚!」
そう叫ぶと大きな魔法陣が浮かび上がりその中から神々しい光の龍が現れた。
「お呼びですか、マスター」
「あぁ、リュシリオン。また魔法の練習だよ。ごめんね、毎回何も無いのに呼び出して。」
「いえ、私はマスターの力になれて嬉しいです!いつでも何度でもお呼びください!」
この龍はリュシリオンといって俺が召喚した神獣だ。召喚魔法が出来るようになってから4体目に召喚し契約した。召喚魔法とは基本的に媒体になる何かが必要不可欠されている。例えば人を媒体にした場合は人型のといった形を定める為に媒体が必要なのだが俺には何故かそれが必要ないのだ。つまり生贄は要らないということだ。そして召喚した神獣と契約することによっていつでも召喚可能になるのだ。しかし契約するか否かは神獣サイドにありこちらはあくまでお願いする立場にある。
「そういえば、神獣以外にも召喚獣っているの?」
「はい、もちろんでございます。なんなら、普通は神獣なんて召喚魔法では呼び出せません。」
「え?そうなの?」
「はい!だからマスターは特別なのです。媒体も無しに召喚魔法を使用し神獣を呼び出すなんてできる人間は居ません。」
俺はその事実に驚愕した。召喚獣っていえば神獣じゃないのか?それ以外のイメージが無さすぎて一体どんなものを召喚するのか逆に気になる。
「マスターはマスターです。ご心配なく!」
「ハハハ」
俺は乾いた笑顔で応えた。でも、これしか取り柄のない俺にとっては正直異常でもどうでもいい。それに召喚獣と話すのは楽しいし色々な事を知れる。今まではこの世界に対しての質問など父や母に聞きすぎても違和感だと思いあまり聞けていなかった。だからこそ召喚獣にこの世界について色々聞いて学ばせてもらっている。
「よし、今日も一旦空中散歩といくか」
「はい!かしこまりました!」
リュシリオンを召喚する時はいつも空中を飛んで気晴らしをしている。めちゃくちゃ気持ちいい。他の人の目につかない高さに飛び上がり散歩している。散歩と言うより遊空といえる。
「マスター、そろそろ学園というのが始まるのではないんですか?」
「あぁ、来月には入学式だってさ」
そう、俺は来月から学園に入学する。俺の住んでいる国は6歳になる年から学園に入学することができる。別に入学する必要はないんだが母が入った方が楽しいと言うので確かにと納得し俺も行くことを決めた。
「ちょっと楽しみなんだよなー、魔法の学校なんて全く想像つかないしどんなヤツらが来るんだろうなホント」
「マスターに張り合える人間は恐らく存在しないのでなにも心配することはないと思います。」
「いや、そーいう話ではなくてだな笑」
リュシリオンは俺に対する評価が物凄く高い。魔力量も人外らしい。人間の体に収まる魔力量を遥かに超えているらしく普通は形を保っておけないらしい。しかし、ここからはリュシリオンの推測なのだが俺は自分の体を媒体に召喚魔法を使用しているのではないかというものだ。多すぎる魔力量を抑える為に体が自動的に自身の体を召喚魔法の媒体として無理矢理縛り付けている感じなのだとか。その為属性魔法が使えないようになったのではないかという説が濃厚だ。
「ふぅ〜入学式、楽しみやな〜」
俺は自分の不安を吐き出すかのように1人ボソッと呟いた。