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目覚め⑤

第1章

29話






激しく輝きを放つ目には見えないヒカリの凶弾はユリオンに確実に降り注いだ。7回の大きな轟音と共に辺り一面を白く眩い白光の世界へと変えそれは攻撃が止んでも尚続いていた。しかしアレイスターは感じとっていたし、彼の者も同様に気が付いていた。ユリオンの魔力反応は消えることなく存在し先程よりも強くそして濃くなっているのを感じ取れる。


『アノモノハマダイキテイマスネ。。』


「ああ、本当に凄いやつだな。エル・アニマの攻撃を凌ぎ切るなんて信じられない」


『我も自身に驚いていた所だぞパンドラの小僧よ。』


突如として目の前に現れたユリオンが語る。


「!!!!!」


『まさか閉ざしていた記憶が蘇るとはな。感謝するぞ小僧、再び彼女を思い出させてくれた事を。そして我に戦う意味を与えてくれた事を!!!』


『そうですユリオン、貴方には私がついています。恐れる物は何もありません。』


どこからか確かに聞こえた女性の声はユリオンの名を呼んだ。そしてユリオンの背後に薄く見えるモヤは守護霊かの様にユリオンを守り抱擁している。


『貴方はフウインサレテイルノデスネ。シカシ思いダケデシネンタイトシテ彼をマモッテイルノデスネ。』


『!!!!!そうなのか!!?ラシュリー!!』


『あれは最早神そのものですね。恐ろしい子、この年齢で、いやもう年齢なんて関係ないわね。人として出来る範囲を超えているわ。人間よりこちら側に近い存在です。』


『ハイ、コノコハ運命ニエラバレコノセカイニイルノデス』


「運命?初耳なんだけど、、」


『そ、それより聞きたい!ラシュリーは死んだ筈だ!我は覚えている、いや思い出したの方が正しいか。確かにラシュリーは我が眠りにつくよりもはるか昔に殺された筈だ!我の目の前で!!』


『・・・・・・・・・』


『ソウデスネ。ソレハワタシノクチカラ教エルベキデハナイデショウ。』


『・・・・・・・・』


『そうだな、これはラシュリー本人に聞かなければなるまいな。』


『ワタシハカエルトシマスネアレイスター』


「あ、うん。ありがとうねエル・アニマ」


お礼を言うと今起きていた事が何も無かったかの様に音も立てずに姿を消した。アニマは少し特殊な神獣でラシュリーと呼ばれる守護霊が言っていた様に神そのものに近い存在なのだ。アニマの詳細はまた別の機会にてちゃんと説明する場を設けようと思う。


「で、一旦休戦ってことで良いのかな?もうアニマにも帰ってもらったし。」


『ああ、こちらも事情が少々変わったからな。でラシュリーよ説明してくれるか?』


『・・・・・・・』


『どうした、黙っていてはわからんぞ』


『・・・・・・・・・・』


ユリオンが呼びかけても何の返答もない。アニマが帰ってから続く静けさは異様な雰囲気を掻き立てていた。


「話さないじゃなくて話せないとか?」


『!!!!』


『お、おお!小僧!反応している様に感じるぞ!』


ユリオンが言うように姿こそ見えないがその守護霊が強く反応しているように見える。それが封印と関係している事も何となく感じれる。彼女が言った()()()()というのは今の思念体の状態の事なのだろう。


『そうと決まれば取り敢えずラシュリー本体を見つけることからだな!小僧!俺は野暮用が出来た!戦いは一旦預けておく!!次も果てしなく殺り合おう!!』


『少し待ってくださいユリオン。』


『なんだラシュリー。どこに封印されているのか教えてくれるのか?』


『私の本体は確かに、そ、その、貴方達の言う通りですが死んでいると言うのも実質事実なのです』


どうやら封印に関する事は話せないらしい。どこまで話せるのかも分からないと言った感じに見受けられる。本人が言えない以上捜索は途方もないものになるだろう。それにユリオンとは7魔皇帝と呼ばれる魔王の1人で遥か昔に存在した御伽話の世界の人間だ。こんな奴を野放しにして良いものかそれも考えなければならなかった。


『それはどういうことだラシュリー?』


『ええ、私はあの日の戦いで確かに死にました、貴方の目の前でそれは間違いありません。ですがこれは貴方も本当は覚えている筈なのです、目の前で見ていたのだから。でも私の死と共にそれらも押さえ込まれたのです。』


『何を、、いや確かに何かが欠落している。いや封じられているのだな確かに』


アレイスターの気をよそに2人の会話は進んでいく。しかし2人の空気感を見て割って入るのは野暮に思えた彼は沈黙を選んだ。


『アレイスターと言ったな。アレイスターよ俺のラシュリー探しを手伝ってくれないか?』


突然何かを思いついた様にこちらを向いたユリオンが突拍子もない事を言い放った


『はい〜?』


守護霊の方も驚きのあまり変な声をあげている。


「いやいや何を、いや、うん?ちょっと待って」


『ん?』


何かを思いついたのはユリオンだけでは無かった様だ。静かに深く考えこむレイスター


「(一緒に着いて行けば監視もできるしコイツが何するにも色々知れるし良い機会かもしれないな)」


『何を悩んでいる?貴様としても我の動向は気になるだるう?』


心を見透かしているかのようにこちらに話しかけて来るユリオン。


「まぁそうだけど。」


『なら悩む事もあるまい!今すぐ出発だ!』


「は?今すぐ?」


そう言うと空に浮かぶ大陸が動き出していく。上空へと昇り空高く浮遊していく。


「おいおいマジかよ〜。俺、魔特待首席なんだけど大丈夫かなほんとに」


『国に縛られててもつまらんだろう!それにどうせ貴様が学ぶことなんて学園には無い!持て余すだけだ』


「確かに俺が初めて死にかけたのもユリオンの部下だったもんな」


『そういう事だ!と、言うわけで行くぞ!ラシュリー探しの旅へ!』


『ちょ、ちょっと!私を抜きで話進めないでよ〜』


「マジで大丈かなこのままで、、、」


空飛ぶ巨大な大陸はこの日誰の目にも止まる事なく限りない天の海へと帰って行った。しかしこの後学園都市では魔特待主席が行方不明になったとし大混乱に陥る。だがアレイスター本人が頻繁に神獣の世界に行き来していた事が仇となり姿を消してから気がつくのに1ヶ月以上かかってしまうのであった。


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