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目覚め③

第1章

27話






あれからどれ位の時間が経過しただろうか。紅武者に攻撃を仕掛けても先程と同じ様に感触は無く気が付けば元の立ち位置に戻っている。攻撃自体が当たっていない訳ではないのだが効いている感覚は全くない。


「これは無視した方がいいかもしれないな。」


俺は先を急ごうとしていた事を思い出した。この世界に来てからの時間は全く分からない。しかし今ここで足止めをくらっている場合ではないのは確かだ。それに何故か嫌な胸騒ぎがする。


スッ


「!!!?」


紅武者が音も無く姿を消した矢先太陽の光が雲に覆われ届かなくなる。


バリンッ!!!


少し遠くで何かが割れる音がする。それは先程感じていた嫌な予感とは別物なようだ。しかしほんの僅かな安心も直ぐ様その予感の方へと傾くことになる。


ドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!


大陸全土を揺らす。その存在と魔力は視認するまでも無くこの大陸の主にして魔王がユリオンだと悟らせる。そして彼の者の復活は学園都市を含む地上の大陸、国中にも影響を及ぼしていた。これはアレイスターも知らない。


「まんまと、やられた訳か、」


俺は全てを察する。先程聞こえた何か割れた様な音は見えない壁が崩壊した音で紅武者は俺の魔力をユリオンに流す為の人工的に作られたものなのだと。


「やけに体が怠いと思ったら通常の倍以上は魔力を取られたな」


アレイスターの目論見は当たっていた。あの紅武者の役割は時間稼ぎと魔力吸収にあった。そして攻撃が強力な程比例して奪える魔力も増える。それに1つ誤算があった。それは紅武者が改めて時間を操れたと言うことに。アレイスターは気が付いていないが彼の体感時間を早めることで時間感覚を更に混乱。彼が思う以上にこの世界での時間は過ぎておりこの空飛ぶ大陸に入ってから実に丸2日が過ぎようとしいた。


「はぁ、はぁ、息が、」


この2日間食わず寝ずに戦い続けた消耗は激しく大凡ユリオンの復活に必要な魔力量をこの短期間で完了してしまう程にアレイスターは疲弊していた。


『こんなにも早く会えるとはな。パンドラの小僧。』


紅武者が消えたと思えば今度は聞いたことある声が前方からする。それはこの大気の震えを産んだ張本人である。嘗てこの世界を支配しようと目論見大戦争時代を作った魔の王。その名も


『改めて挨拶しよう。我が名はユリオン・コペルニクス。この世界を統べ全てを支配する魔の王だ!』


その異様な雰囲気で魔の王と言うのがあながち噓では無く本当なのだと分かる。それに揺れが止まっている。先程までの湧き出ていた魔力が全てユリオンに集約したのだ。


「(半端じゃないこの存在感。神獣達とは全く違う別の何か。これは中々不味いかもな)」


『なんだ、お前は黙ったままか?』


「ん?あ、申し訳ない。俺がアレイスター・マグナだ。さっきのパンドラの小僧ってのはなに?」


『あ?気にするな。別に深い意味は無い。その人外なる魔力量が嘗ての知り合いと似ていてな。そこからだ我の悪い癖だ」


「パンドラの小僧。何かカッコイイし気に入った!改めてこちらも挨拶を!魔の王よ!俺がアレイスター・マグナ!俺の魔力で復活して調子に乗ってんじゃねぇーぞ!」


「はは!!面白い!殺してやるぞ!クソガキが!お前の魔力事頂いていくぞ!命をな!」


ここに誰にも知られない巨大な戦いが勃発する。この大陸が空間として隔絶されているお陰で外界には何も影響がない。


「換装!グングニル!!!」


魔力兵装に身を纏いオーディンの力で初撃を繰り出す。そして攻撃をすると同時にゼニス・アルマを手に召喚し次の攻撃を繰り出す。と同時に魔力を更に高める。


『惑魔:ウェナイト・ダウナー』『星魔:クリスターライト』


ユリオンが同時詠唱で魔法を発動する。空間が重く重くのしかかるような感覚。それと星の輝きが天から降り注ぐ。


「メル!!デリオラ!!」


「ここに!」「はい!マスター!ご無事ですか!」


2体の神獣を同時に召喚し攻撃を無効にすると同時に攻撃を仕掛ける。メルが出てきた事により重くなった重力は軽くなり天空を支配する。それにより環境が変化しデリオラが影を広げる。


『天魔:インペリアル・スカイ』『彗魔:ハーレー・エンジェリオン』『星魔:ホワイティリティー・ベルト』『空魔:エリアジェシー・ファルジオン』


複数同時詠唱するユリオン。彼の物は魔を司る王。魔法をとは名ばかりの自身で編み出した自身にしか使えない完全オリジナル魔法。それはありとあらゆる物に精通している。


「マスター!奴は!」


「ああ!魔王ユリオン!!この前俺を殺そうとした奴の親玉だ!」


「私達が契約する前にマスターを危険に追いやったという輩ですね」


『本当に神獣と契約しているとは!!しかも複数体と!!本当にお前は何者なんだ!アレイスター・マグナ!!!』


「それはこっちのセリフだよ!!ユリオン!!どうなってんだよその魔法!!」


「マスター!いきますよ!」


メルが呆れ気味にそう言い放ちユリオンへと向い攻撃を仕掛ける。と同時にデリオラはユリオンの魔法を無効化しようと動く。


「リュシリオン!!!」


「はい!マスターやっと呼んでくれましたね!」


「リュシリオン!大体の事は分かってると思うけどよろしく!」


リュシリオンは他の神獣と俺に障壁を展開すると空高く飛び立ち空間全体に味方に有効な支援魔法をかける。これによりアレイスターを含む神獣達の攻撃、速度、防御が一定期間上昇する。


(とば)せ!ウルティマイラ!!!」


アレイスターが叫ぶと魔法陣が出現しその中から口元だけを覗かせた大きな何者かが一瞬にして光線をユリオンに向けて放つ。それは、威力も然る事乍ら本質は魔力分解にある。ユリオンの魔法は恐らくオリジナルで作られた独自創造魔法だ。つまり魔法というより魔力に対しての分解・分散は有効だと彼は考えた。


『こ、これは!!!』


ユリオンの攻撃は光線に弾かれる様に霧散する。同時に障壁や防御魔法も無効化し貫通する。そしてアレイスターの攻撃は遂にユリオンへと直撃する。


ドゥゥォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!


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