クラス対抗戦①
第1章
22話
最近アヴァロニアに居続けていた所為で学園の予定が分からなくなっていた。今日、久し振りに学園に来てみると何とクラス対抗戦の日だったらしい。元々はもう少し前に行われる筈だったが予定外の来訪者が原因で日を改めることにしたらしい。そしてそれが今日行われるのだ。
「アレイスター!今日は来てたのね!」
「おはよう、フィオラ。今日ってクラス対抗戦だったの?」
学園に入りすぐにフィオラに会った。デカデカと校舎の中にランキング表が張り出されておりそこでクラス対抗戦の事を知ったのだが俺はフィオラに直ぐに確認した。
「ええ!そうよ!私達1年生は今回が初めてだからランキングの順位は皆んな同じらしいわよ!私も首席だけどそれも関係ないんだって!」
「え、俺も出られるのかな?」
「いや、メンバーはアンタが居ない間に決まったわよ、、しかも魔特待首席って出れるのかしら?」
「やっぱダメなのかな」
残念ながらメンバーは既に決まってしまっているらしい。しかもフィオラも俺が出れるか分からない感じだ。まぁ出れないなら出れないで全然良いのだが。
「まぁ、今日は観戦といこうかな」
「ええ!私も出るししっかり見ておいて!」
「フィオラが出るなら目に焼き付けないとな!」
どうやらフィオラは出るらしい。話しを聞くと今回のメンバーはフィオラが考え選出したとの事。これは楽しみで仕方ない。
「む?アレイスター?」
声が聞こえる方を向く。
「アレイスターじゃないか!良いところに来た!今日は来てくれると信じていたぞ!」
「メ、メリナ先生。な、何ですか笑」
「今日はクラス対抗戦だ!色々と競技はあるが君が来たんだ折角なら君対全員とかどうだ?!」
「な、何を言ってるんですか!流石に!ん?いや待てよ?」
少し考えよう。俺は最近まで特訓していた。つまりこれは特訓の成果を試す良い機会なのではないだろうか。だが逆に殺してしまうのではないかという懸念もあるがこれはどうしたものか。
「先生!無茶言わないでくださいよ!アレイスター今日久々に見たら魔力おかしい事になってるし何か雰囲気も変わってるし絶対おかしいんですから!」
「え?俺の魔力フィオラにはどう見えてるの?」
「私の魔眼でもアレイスターの魔力がほぼ感じられない。丸で死んでるみたい。だから少し怖いのよね、、」
フィオラ曰く元々感じ取れていた魔力が今は一才感じ取れないらしい。偶に魔力が全くない人間も存在するらしいがこの世界には少なからず皆が魔力を保有している。それは死人でも例外ではなく少しの魔力の残留がフィオラには見えるらしい。その死人の残留にも満たない魔力が少し漏れている程度が今の俺だそうだ。つまりは少し見える程度で魔力自体は感じ取れていないようだ。
「まさかそこまで俺の魔力が抑えられているとは」
「ほう、やはり相当無理しているようだな。いかんぞ!ちゃんと寝ないと!」
「い、いや寝てるのは寝てるんですけどね、ハハ」
俺は乾いた笑いでメリナ先生に答えた。実際この所あまり寝ていない。アヴァロニアは眠気というのが来ない為基本的にずっと居続けることができる。それに時計がない為時間というのが分からない、だからこそ時間を忘れていつまでも特訓してしまうのだ。
「まぁ、それは置いておいて。」
「???」
「どうだ今日のクラス対抗戦!丁度1年生、2年生、3年生それと12年生が行われる!12年生の相手ならば申し分無いだろう!」
「そうですね!久し振りの学園ですし特訓の成果も確認したいですしお相手しましょうかね!笑」
「ほう?、、ほう!やってくれるか!流石アレイスターだ!よしそれでは早速準備だ!行くぞ!」
「え、ちょちょ!メリナ先生!待ってくださいよ!」
「ちょ!アレイスター!待ちなさいよ〜!」
俺がクラス対抗戦に参加する事を決めた途端、手を引っ張り何処かへと強引に連れて行く。フィオラの静止する声に答えることも出来ないまま俺はメリナ先生と12年生が待つという第3修練場へと向かうのだった。
〜第3修練場〜
「さぁ!12年生の諸君!今年残り少ないクラス対抗戦だ!君達にクラスという概念は無いが今回は特別に魔特待首席のアレイスターに来てもらった!そこでアレイスター対君達全員で戦って貰おうと思う!」
ドヨドヨ
ザワザワ
この学園には6年生以降クラス分けが無く昇級試験もある為人数も減っていく。12年生は総勢62人でこれは中々残っている方らしい。
「おいおい!もう少しで卒業って時にそんなふざけたこと言うんじゃねーよ!」
「そうだ!卒業試験も控えててこっちはピリピリしてんだ!」
案の定批判の声が次々に上ってくる。この学園の卒業試験は受からなければ留年ではなく退学になるらしい。つまりこれまでの努力が全ておじゃんになるのだ。中々鬼畜な学園だ。
「フン!学園都市に来た俗物1人に手こずる様な子供が我々全員を相手にできるとは思いませんな。」
1人の男が手を挙げながら1歩2歩と前に出てくる。髪は金髪のロングで青色の瞳でこちらを覗く。端正な顔立ちはまさに美形そのもの。
「む?貴様は12年生次席のクリステフ・キャノフではないか!何が不満なのだ?」
「不満?違う!集団で弱い者いじめなど出来るかと言っているのだ!」
「まぁまぁ、教師にそんな口を聞くもんじゃありませんよクリステフさん。」
また1人奥の方から前へと出てくる。桜色の綺麗な髪をしたスラッとした見た目で凄く整った顔立ちのこれまた美形の女性だ。
「はじめまして、魔特待首席さん。私はヴァレリア。ヴァレリア・シューベルツよろしくね。」
「あ、これはご丁寧にどうも魔特待首席のアレイスター・マグナですよろしくお願いします。」
「この前の敵の襲来、私達12年生はその時卒業試験の一環で迷宮に潜っていたのです。と言うか君達1年生が入学してきた時には既に迷宮に居て君が魔特待首席に選ばれた事も知らなかったのよね。」
「ほう、そうだったのですか!これは挨拶が遅れて申し訳ないです。」
「それは全然いいのです。しかし、私を含めここにいる皆んな君の力に疑問があるの。だからこそ試してみたいのです。」
「試す?」
「クリステフさん。貴方はこの子の力が気にならないのですか?」
「魔力も感じないこんな子供。だが何も無く魔特待首席に選ばれるハズは無い。ここ数年間魔特待首席というのは選ばれず、我々はその座を目指し日々研鑽を重ねてきた。だが遠征から帰ってきたらこんな新入生がソレに成ったと聞く。納得いくはずもない!」
「ええ、それは私も同意見です。だからこそこの子の力を見極めたいのです。」
「と、言う感じで話が進んでるがどうだ?アレイスター?」
「はい、俺としても皆さん全員を相手に戦って見たいと思っています。」
12年生はこの学園の最上級生だ。皆それなりの修羅場を潜ってきたのだろう、他の生徒とは顔付きも魔力の揺らぎも何もかもが違う。言うなれば覚悟が決まっている人達なのだ。
「貴様、俺達を舐めているのか?」
「所詮、魔特待首席になれなかった人達の寄せ集めでしょ?」
俺は態と煽るような言葉を投げかける。
「本物ってやつを見せてやりますよ、殺さない程度に」
「フン!生意気な餓鬼め!面白い!」
「それでは決定という事で、メリナ先生?ルールはどうなさるのですか?」
「む?そうだな。アレイスターに攻撃を当てれた者、その回数が多かった者から順位を決めていこう!」
「へぇ〜。メリナ先生も彼の力を信用してるのですね」
「ああ。君達も実際肌で感じてみると良い!私はアレイスターに勝つイメージなど微塵も湧かん。最早別の生き物と考えた方が良いだろう。迷宮に出てくる魔物や魔獣と思い戦うように!」
「先生、それは流石に酷いですよ笑」
「よし!それでは各自準備開始!5分後にクラス対抗戦改めアレイスター対12年生全員を開始する!」
そんなこんなで急遽決まった俺対全員が遂に始まろうとしていた。




