特訓の日々④
第1章
21話
あの日以来、神獣達との実践特訓が主流となりアヴァロニアに居ることが増えた俺は学園にあまり行かなくなっていた。フィオラにはあまり学園に行かなくなる事を説明すると納得してくれたので今は1人で行ってもらっている。
「ここに居るようになってどれ位だろう?」
「マスターの身体的成長から見て1週間はずっとここにいます。」
アヴァロニアは神獣達の世界。ここに居座ると言うことは相応の負荷がかかる。それに此処は時間の流れが特殊なのでその影響もあり身体の成長がやけに早い。
「1週間でこんなに成長するなんて。俺ここに住もうかな。」
「マスター、流石に死んでしまいます。それに定期的に戻らないと身体の負担が!」
「わかってるって笑!今日からは一旦向こうで過ごそうと思ってるから!」
この1週間で魔力も増加した俺は神獣達と更に契約をし計22体にまで召喚獣が増えいた。
「それにしてもお強くなられた。この短期間でここまで成長できたのはこの地だからこそでしょう。あまり人間が長く居続けると元の世界に戻った時に何かしらの影響が出るかもしれません。」
「ああ、気をつけるよ。」
~部屋~
元の世界の自室に戻って来ると陽は傾いていて夕暮れ時だった。部屋の中は赤く染まり時間の経過を知らせる。
「うぅ。久々の元の世界は体にくるな。」
体が元の大きさに戻っている気がする。それに全身の気怠さと疲労感が一気に襲い掛かってきてあまり動けない。
「ダメだ、寝ないと」
そこで意識は途切れた。
「・・・・・・・・・」
静かな闇の中何も聴こえない、何も見えない。アレイスターは死んだ様に眠りについていた。彼の体はアヴァロニアで過ごした1週間で体に多大なる負荷がかかっていた。元々莫大な魔力を持っているアレイスターだが魔力で身体を補うことは出来ても魔力そのもので肉体が出来ている訳では無い。それ故魔力で常に満たされた魔の世界、アヴァロニアでは居るだけでリスク、ストレスになるのだ。それに加え神獣達との特訓。彼の体は限界を超えていた。
~3日後~
「はぁ〜〜〜ん」
目が覚めると日は高く昇っており部屋の中は太陽の熱で少し暑くなっていた。朝寝過ごす事は珍しいがそれ程に疲れていたのだろう。時間でいえばまだ昼前くらいだろう。
ぐぅぅぅぅーーーー
その音でやっと自分がお腹を空いてる事に気付いた。
「すっごい、お腹空いた。夜ご飯食べてないだけでこんなにお腹空くかな?」
俺は違和感に気付いた。夜ご飯しか抜いていないはずがこのお腹の空きようと明らかに寝過ぎた時の体のダルさ。
「マスター、お目覚めですか?」
「え?」
背後から声が聞こえる。
「マスターは3日程眠りについていました。」
その声は背後というより俺の影からだった。姿を現したのは闇と影を統べる神獣デリオラだった。人間の様な顔押してるが角が生えており白目と黒目が逆。漆黒の衣服に身を包み俺の前で膝を付き頭を垂れる。
「デリオラ!どうやってコッチに?呼びだしてないのに」
「マスターと契約した事でマスターの影に潜む事が出来るようになりました!魔力さえ感じれればこうしてアヴァロニアからこちらの世界に影を媒介としていつでも来れるという訳です!」
「ほん?つまり俺が呼びださなくてもいつでも来れるって事?」
「はい!そうなります!但し影に潜めるのは今はまだ一体分ぐらいでしょう。しかしマスター次第でそこは何とかなると思います!」
「まぁ、それは追追。で、3日寝てたってマジ?」
「はい、大マジです。」
「やっぱりアヴァロニアの影響だよな、」
「はい、確実にそうだと思います。」
見たところ身体の成長は止まり元の年齢相応の体型に戻っている。しかし魔力量は格段に上がっており明らかに前よりも抑える力が強くなっている気がする。
「マスターの魔力はその年齢とはかけ離れて増大しています。ですので私と私の魔法を常に発動させておく事で少しでも楽になればと思いまして。
「なるほどそーいう事か、ありがとうデリオラ。でも、召喚魔法って召喚時にしか魔力消費しないんじゃ?」
「はい、ですので私の能力で出てきたのです。マスターの影を媒介とする事により私の顕現と能力は常にマスターの魔力から消費される形になっていると思います。もちろん、影に戻ればどちらとも無くなりますが。
「そりゃ召喚する時間を短縮してるから相応の代償はあるか。でも俺にとっては好都合って事だよな?」
「はい、その通りです。」
影を媒介にして神獣を潜ませておける。これは確実に実践でも役に立つし生活する上でも必須と思っていいだろう。身体的特徴は元に戻っているのに魔力だけは成長したまま。勿論魔力があって損な事は無いが今の時点でも魔力だけでこの学園都市を余裕で満たせる程の量だこのまま魔力が増加していけばどうなるのだろうか。
「デリオラ、俺このまま魔力が増加していけばどうなるのかな?」
「うーん。。そうですね。正直、現時点でのマスターの魔力量は我々神獣を既に超えつつあります。このままいけば最早神のレベルです。しかも齢6つにしてコレとなると。私はマスターのこの先がどうなるか検討もいきません。」
「神獣でも分からないとか、、少し怖いな、、。」
「ですがマスターは我々神獣と契約しているので大丈夫だと思います!今の時点でも人の形を保っているのが不思議なくらいなんです。それはやはり召喚魔法と我々との契約が関係しているとしか考えられません。」
「確かにそうか。今更だけど俺はそれのお陰で生きていられてるもんな」
考えるだけ無駄という事に気付いた俺はその事は置いておく事にした。俺はこの高なる魔力を逆に楽しむ事にしこれからもっと強くなる事に尽力しようと決めた。
「とりあえず今は飯にしよう!」
俺は空いていたお腹に何か入れるべく夕暮れどきの街へと出掛けたのだった。




