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特訓の日々③

第1章

20話






「ディレクション・ペンタゴン!!!」


障壁が間に合わない攻撃にはエリュシオンの魔法で食らい尽くす。しかしリュシリオンの攻撃は止む事なく寧ろ激しくなっていく。


「このままじゃジリ貧だな」


俺はこの現状を打開する策を考え出す。


-------------------------------------------------------



「パラノイズ・オーディア!!!」


俺が叫ぶと周囲に放たれ乱れていた光線が塵になり消えていく。それは丸で桜が舞うかの様に鮮やかで、しかしどこか危なげな光にみえる。


「こ、これは!!」


「オーディンの能力を拡張、対象選別をして使う俺オリジナル技!!」


パラノイズ・オーディア。オーディンの次元ごと切断する能力の応用で魔法の解釈を広げる事により分解の能力に至った。対象を選別して使用する事でその次元に存在する者ではなくアレイスター本人が何を分解するかを選ぶ事ができる。


「マ、マスター!!!」


リュシリオンが急いでこちらへと飛んでくる。


「凄いです!なんなんですか!こんな事が!しかも能力の拡張なんて!」


「これ凄いよな!俺もできると思って無かったんだけど解釈を広げる事で能力を拡張できないかなって考えてて試してみたら出来たんだよ!」


「マスター、我の能力をよくぞここまで。これは、教えてもらわねばなりませんな。」


他の神獣達も戦いが終えた事を感じとり寄って来る。リュシリオンが近付いてきたのが終了の合図になったのか離れて見ていた神獣達は一斉に駆け俺達を囲む。


「マジで良い特訓になった!!ありがとう!」


「いえ、私も良い経験になりました!!」


「これで終わっても良いけどそれじゃちょっと勿体ないよな、、折角だし.....」


「それなら是非次は私と戦いましょう!!ここ最近で契約した私の能力はまだあまり慣れず戦いにくいでしょうし!」


「メル。確かにメルの能力は俺もまだまだ扱いきれてないしな!よし、それならそうしよう!」


神獣メル・クーリヴァ。美しい女性の見た目をした緑色っぽく輝きを放つ装束に身を包む不思議な感覚のする神獣。その本質は龍であり気候天候、あらゆる「空」に関する能力を有している。


「マスター、私も容赦は致しません!全力でやり合いましょう!」


空に飛び上がると巨大な積乱雲が出現しその中に入っていく。


「え、いきなり!?」


巨大な積乱雲の中に蠢く影が見える。蛇のように体を畝らせ雲はどんどん広がっていきアヴァロニアを埋め尽くす勢いだ。


「マスター!!いきますよ!!」


その声と共に顔を出した巨大な龍はその広がった積乱雲を自身の身体に纏うように集め力を溜めるが如く魔力を高めた。


「降り注げ!!ルミナス・ライトニング!!」


その声が響いたその瞬間光が当たりを覆い後を追うように轟音が鳴り降り注いだ。それは止むことの無いイカズチの雨だった。


「アルノテ・インザイア!!!」


鳴り響く轟音の中で魔法を唱える。それは一瞬でも次の魔法を使う為の隙を作る為だ。


「リルウラ・ガブリエル!!」


あの時自分達を裏返したディシディアとエリュシオンの能力を同時使用した魔法。これにより空間は捩じ切れ次元を飲み込み全てを無に返す。本質は裏返しではなくエリュシオンの特殊な次元とディシディアの異空間を合わせ使用すること。

それは全ての空間、次元に干渉し空間を捩じ切ったり空間そのものを無かった事にしたりと便利な魔法だ。


「ま、まさか雷が落ちる瞬間を空間事ねじ切り凌ぐなんて。マスター、アナタはやはり天才です!」


「ありがとう!!でも、これで終わりじゃないんだろう!!」


遠く離れている為大声で話しかける。


「もちろんです!容赦はなしですから!」


メル・クーリヴァが龍の形から人の形へと近付いていく。それは人と龍が合わさった様な姿で神々しく光、正に神というのに等しい。


「いきますよ!!ウル・リルルカ!!!」


積乱雲が黒く凝縮し大きな塊へと変貌していく。それは止まる事なく大きくなり宛ら〇〇玉と言わんばかりに膨らむ。そして空へとどんどん上がっていき時々玉の中が白く光る。


「さぁこれはどう防ぎますか!!?」


巨大な黒い塊が弾け飛ぶ。瞬間白い光で視界が塞がる。雷なのか聖なる光なのか空間や次元など関係ない程に眩い閃光が襲い掛かってくる。


「これは、やばいtttt」


時間にして1秒にも満たないその閃光は音が遅れてくるより先に積乱雲で黒く染まった空を明るく晴れ渡らせた。


「な、なんと!」


巨大な穴が空いたその空間にアレイスターはいた。魔法名を唱える暇がないと思い咄嗟に無詠唱で魔法を発動させたのだ。


「受け身だけじゃ敵には勝てないからな!!」


攻撃を完璧に受け切れた事を確認した俺は無詠唱でメルの後ろに魔人の手を出現させ殴り掛かった。


「まさか、無詠唱で魔法を使うなんて」


メルはそう言いながら魔人の手を透き通った。


「私も今まで見た事もなかった無詠唱。ですが見た事で経験できました。マスター私はまだ成長できるみたいです。」


「マジかよ。基本的に無詠唱で魔法は使えないんじゃないの?笑」


この世界は言葉にも力が宿るとされており基本的には魔法を口に出して唱えないと発動できない。しかしアレイスターは魔法ではなく神獣達の能力を使用しており魔法とは少し違う形で使用する。それも相まって無詠唱で魔法を使う事ができた。しかし


「基本的には有り得ませんよ。でも私は見た。いや私達は見た。これも恐らくマスターの影響でしょう。」


「マスターの俺が出来るから皆んなも出来るってことね。」


そんなこんなで俺達は時間を忘れて特訓に明け暮れた。その日は結局神獣達全員と順番に特訓相手としてたらい回しされたのだった。


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