あれからちょっと経った
第1章
2話
あの転生から2年の月日が流れた。どうやらこの世界では0歳からではなく1歳からカウントするようで現在俺の年齢は3歳という事になる。まだ赤ん坊という事もあり自由に動き回れる訳では無いので得れる情報には限りがある。その中で分かった事はこの世界が魔法や剣といったもので溢れている事や魔物や魔王と呼ばれるもの達が存在するということ。俺にも魔法使いの適正があるらしく産まれて早々に(正確には気がついてからだが)適正検査的なのをされたのを覚えている。
あと、父の名前はレイドラット・マグナ。平民の出だが剣士としてそれなりの実績と信頼があり冒険家でもあったらしい。その頃の稼ぎで今も尚働かず暮らしている。母の名前がフェリア・マグナ。父とは冒険家時代に出会ったらしく魔法使いとしてこちらも実績と信頼がある。つまり2人の今までの稼ぎで現在も十分すぎる生活を送っているのだ。
一応自分なりにではあるが魔法の練習もしている。たが、やはりまだ形にするのが難しい。空中に浮かんだりは出来るようになったのだが火や水といった属性魔法が一向に使えないのだ。上達しないではなく使えない、発動しないのである。正直、魔法の知識が無い俺でもこれは異常な事は分かる。なんせ空中に浮けるのに火などの魔法が使えないなんて普通に考えたらおかしい。魔法の才能が無いと言うしかない気がする。流石にこの歳で魔法について質問するのは早すぎると思い未だに母には聞けていない。
「うーん、どうしたものか。このままじゃただ浮くだけの才能になっちゃう」
1人でこの事について考えているとバダンッという何かを落とす音が聞こえた。
「アレイスターちゃん?が浮いてる?」
あ、しまった考え込みすぎて母が部屋に入ってこないかの警戒を完璧に怠ってしまった。まだ、よちよち歩きしかしてないのに急に浮いてたらやばいよな。でも、言い訳するにしてもなぁ〜などとまた考えていると
「すっごぉーい!歩く前に浮いちゃうなんて!信じられないわ!それに、宙に浮くなんておとぎ話でしか聞いた事無い!ホントに実在するなんて!」
「おーい!どうしたんだよ大声なんか上げて」
「あら、アナタ!見てよウチのアレイスターちゃんが浮いてるの!」
「うわぁ!マジかよこりゃ!宙に浮く魔法なんか見た事も聞いた事も無いぞ!」
「私も小さい時に読んだおとぎ話でしか見た事なくて、実際に使える人なんてこの世界に居るかどうかなはずよ」
え、やっぱり結構まずい感じじゃん。けど母も喜んでたし別に気にする必要はないだろうと思いあまり深く考えないようにした。
「流石は俺たちの息子だな!この先が楽しみだ!」
「えぇ!ホントに!ものすごく楽しみね!」
2人のやり取りを横目に俺は再び属性魔法が使えないかの実験と練習をひっそり行うのであった。