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いつもの日常

第1章

17話






「・・・・・・・・」


「....ta-」


「...スター」


「アレイスター!」


はっ!


目を開くと見慣れた天井と涙目のフィオラが目に入ってきた。誰かに呼ばれて起きた気がするが恐らくフィオラだろう。


「フィオラ、何で部屋に...」


「!!!」


「アレイスター!!!」


声をかけた事で俺が起きた事に気付いたフィオラが抱きついてくる。身体に異常はなく痛みとかも感じない。まだ確認はできないが左半身の感覚が感じられる。あの戦いの後どうやって寮に帰ってきたか全く覚えていないが如何やって左半身を再生させたのだろうか。魔力で補っていた感覚が最後な分身体の感覚が余計に感じられる。


「おはようフィオラ...何で部屋に?」


「アンタ1週間も寝たきりだったのよ!!もう、起きないんじゃ無いかと思ったわよ!!」


「え?1週間?え、え、本当に?」


「ええそうよ...」


「俺が寝ている間何もなかった?」


「うん、それは大丈夫だったわ。」


「そうか.....」


まさか1週間も寝ていたとは予想外だ。何も無かったから良かったがもしまた何者かが襲撃してきていたら今頃学園都市は敵の手に落ちていただろう。そう考えると自分の無力差を改めて実感してしまう。あの程度で1週間も寝込んでしまうとは。


「でも、起きてホントに良かった!!最初部屋に来たときは左半身魔力だったし死んじゃうのかと思ったわ!」


どうやらフィオラはこの1週間ずっと看病してくれていたらしい。魔眼の能力が俺の魔力で補っていた体を感知し部屋の前で声を掛けても応答が無かったので中に入ってくれたらしい。そして今の今まで女子寮から通い詰めて看病してくれていたのだ。


「ありがとう、フィオラ。まさかそんなに寝てたなんて。しかもずっと看病してくれてたんなんてどうお礼すればいいか」


「生きてるからそんなのどうでもいいわよ!アレイスターが私達を守ってくれたんだし!お礼を言うのはこっちの方よ」


「そう言ってくれると有難いけど、正直今回はめちゃくちゃ危なかった。ていうかほぼ死んでたし...」


フィオラが看病してくれてた事に関しては驚きもあるし本当に有難く思う。だが、今回の襲撃に関しては重く捉えざるおえない。それに左半身が無くなっていたとはいえ1週間も寝たきりになってしまうなんて。これは今後の対策を考えなければならない。


「あ、そういえば」


俺は上半身をゆっくり起こした。その時に両手を着いて起き上がったので無くなっていた左半身を確認。全くもって元通りだ凄い。考えはあったがまさか寝てるうちに再生されるとは思いもよらない。


「俺の左半身。無事ではなかったけど無事元に戻ってよかった〜」


「ホントよ!最初見た時なんて絶句したわよ...」


「いつくらいに戻ったかわかる?」


「2日前とかかしら?魔力が日に日に実体に成っていって2日前に完全に肉体に成ったって感じ?先生たちも驚いてたわよ」


「先生達も来てれてたのか」


「うん、メリナ先生とネーネロ先生は私と同じで毎日来てくれてたわよ!多分そろそろ...」


ガチャ

バンッ


「フィオラ君、アレイスターのようすは.....!!!!」


「あ、先生どうもご迷惑をkke「アレイスター!!!起きたのか!!!」


噂をしているとなんとやらってやつだ。まさか本人の話をしていると登場するとは。俺の事を見るなり一目散に飛び込み抱きついてきた。嬉しいのだが一応教師と生徒なので色々と配慮してほしい。


「もぉ〜メリナ先生ったら。アレイスターちゃんが苦しそうよ〜」


どうやらネーネロ先生も一緒に入ってきたようだ。ゆっくりと俺の方に近付いてくる。


「起きたようで安心したわぁ〜。なんだか元気そうね〜」


「ふぁい、にゅーにゅりょしぇんしぇいもおりゅごとうごじょいましゅ」


メリナ先生に抱きつかれているせいで上手く喋れないがなんとかネーネロ先生と会話する。どうやら学園都市は平穏を取り戻し平和な生活に戻っているようだ。だが警戒を怠っている訳ではない。あの襲撃以来学園都市の警備や結界などは全面的に見直され強固なものにされた。


「それとマルティラ先輩が私兵を警備にって巡回させてくれてるのよ。」


「え、そうなの?」


「うむ、この前のケジメもあるがベンガル卿が是非にとな」


「へーー」


マルティラ先輩が私兵を巡回させてくれるなんてこの前の1件が相当堪えたのだろうか。正直それを聞いて安心した。もしまた襲撃されたとしても俺が考えてるよりも最悪な事態にはならなかっただろう。だが油断は大敵だ。その油断が今ベットで寝ている事に繋がっている。


「もっと強くならないと。これじゃ魔特待首席なんてお飾りだ。」


「今回のことを気にするなとは言わないがお前が居なければ今私たちがここに居ないのも事実だ。みんな、本当に感謝しているんだぞ」


「そうよ、アレイスターちゃんが居なければ今頃学園都市がどうなっていたか。想像もできないは」


実際にフェイジーと対面している分教師陣は敵の強さを理解している。それに爆破魔法の魔力は市民達にも少なからず届いていたようでフィオラも感じたらしい。


「君が気にすることは何も無い!私たちは生きているんだからな!」


「メリナ先生.....」


笑顔がいつも眩しいメリナ先生だが今はより一層眩しく見える。未だ俺の上から一切退こうとしないがそれも何だか面白く感じてきた。黒髪のショートカットで凄く綺麗な顔立ちで控えめに言って可愛い。しかもナイスバディ、6歳の俺には刺激が強過ぎる。


「でも、俺が不甲斐ないのも事実。だから俺はもっと強くなりますよ!でないと大切な物は守れない。」


俺は取り戻した平和な日常を今度こそ守ってみせると心に誓った。魔法学園に入学してから立て続けに戦っているが正直執拗に狙われ過ぎている気がする。この世界での魔特待首席と言う存在がどんなものなのか見極める必要もあるだろう。


「...........」


ガヤガヤガヤ

キャッキャッキャッキャッ

ザワザワ


「フ、フフ」


目の前で談笑する3人を見ていると自然と笑いが漏れ出てしまう。部屋から入り込む、落ち始めた太陽と暖かい風。その香りと空気は見ずとも平和なのだと教えてくれる。今はこの取り戻した、いつもの日常を噛み締めよう。


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