招かれざる客⑥
第1章
16話
「「「「「「マスター、何なりとご指示を」」」」」
「ああ、みんないつもありがとう!全召喚できる機会も滅多に無いし久々にみんなでド派手やろう!」
「「「「「「はい!畏まりましたマスター!」」」」」」
リュシリオン含め計6体。今契約している召喚獣達と今から敵を殲滅する。
「さぁ、いこうか!」
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「マスター!敵の場所は恐らく!」
リュシリオンが何かに気付いたらしく俺の方へと顔を向ける。だが、それは俺含め全召喚中が感じていた。今俺と召喚獣達は魔力が共鳴し繋がっている為、感覚共有状態にあり全ては口にせずとも伝わるのだ。
「ああ!俺も感じてる!この次元、この世界じゃない場所にい隠れてる!」
「はい!しかしどの様にしてそこに...」
「それはあと!取り敢えずひっくり返す!エリュシオン!ディシディア!」
「「はいマスター」」
俺の号令によりエリュシオンとディシディアが俺の近くまでくると光り輝き波動のような物を放ち始める。その波は次第に強さを増していきやがて魔法陣が形成された。
「引きずり出すより行く方が手っ取り早いからな!」
『リルウラ・ガブリエル!!!』
エリュシオンとディシディアが同時に魔法名を唱えると世界は一変しひっくり返る。そこは裏とも呼ぶべき別の次元空間
魔法学園とは全く違う世界であった。世界をそのまま裏返す事は非常に難しいが自分達だけをひっくり返し裏の世界に行く事はそこまで苦ではない。
「ヴァルファーレ!!!」
「かしこまりましたマスター」
俺はヴァルファーレに声をかける。炎を司る神の鳥。所々が白くみえるが炎に身を包み闇を焦がし光を照らす深紅の神鳥。大きく羽ばたき空に向かいかけ登る。
『メルギヴァ!!!』
ある程度の高さまで飛び翼を大きく開き静止したヴァルファーレの口元に炎の魔法陣が出現する。そして少しだけ口を開きヴァルファーレは光の光線を放った。それは一筋の線の様に細く一瞬の出来事だった。その線が通った場所から後を追うように巨大な爆発が有り得ない範囲で広がっていく。
「なんだ!なんだ!なんなんだよ!!!フェイジーはどしたんだよ!」
「もう殺したよ、そいつは」
「!?!?」
「お、おまえ!ばぬnguべー!!!」
俺はヴァルファーレの攻撃を目眩しに敵に近づき思いっ切り顔面にグーパンを入れた。と同時に歓迎会の決闘の時に使ったディシディアの魔人の手を発動させ追い討ちをかける。
「(な、なんなんだ!どうなってる!ここは俺しか入れない空間座標なんだぞ!そ、それに魔力を感じなかったぞ?何がどうなってるんだ!)」
ゲィーターの魔法は裏世界と呼ばれる特殊な空間でゲィーターが魔法で造り出している為基本的には本人か本人が許可した者しか入れない。だがエリュシオンとディシディアの魔法により異空間と亜空間を融合、そこに神獣が住まう世界を干渉させ無理やりアレイスター達だけをこの空間に飛ばしたのだ。
「(こんな事が!こんな事が!あるのか!取り敢えず何とかして逃げないと!)」
「オーディン!!!」
次の瞬間大きな馬に乗った巨大な騎士のようなものが現れ槍の様な剣を振り下ろし辺り一体を分解するように切断した。
「こ...こん.....こんな事が....カハッ!!」
ゲィーターの体は塵散になっていく。何が起きたか分からずただ自身の体が完全に無くなるのを見ることしかできない。
「ユ...ユリ、ユリオン サ、マ」
ゲィーターが塵になると同時に元の世界に戻ってくる。術者が死んだ事により空間は消失、自動的に空間が破れ元の魔法学園に戻ってきた。
「ユリオンか....」
フェイジーとゲィーターが口にしたユリオンという名前。七魔皇帝と呼ばれる人物らの1人らしく今回この学園都市を襲ってきた奴らの親玉だ。死ぬ瞬間に口にしていた事を考えると部下は相当忠誠を誓っているのだろう。
「マスター、結界内外共に問題ありません。」
リュシリオンが結界による感知で教えてくれる。どうやら今回の襲撃は無事ではなかったが何とか凌げたらしい。
「ありがとう!皆んな!本当に助かった!皆んなが居なかったら絶対死んでた!」
「いえ、マスターのお役に立てる事こそ我々にとっても本望というもの。いつでもお呼び出しくださいませ」
「ああ!本当にありがとうな!」
召喚獣達を還した俺は先生達の魔力の方に向かって飛んでいく。街は以前静寂を保っていて人の気配も一切感じない。だが、そのお陰で先生達の魔力を感じやすい。
「あ、あれは」
少し飛んだ先で集団移動する人集りを発見する。先頭を駆ける黒き閃光は恐らくメリナ先生だろう。
「あ、あれは!おーい!アレイスターなのか!!おーい!」
俺に気づいたらしく大振りで手を振っている。俺もメリナ先生の方に向い降下していく。俺との距離とメリナ先生含む教師陣との距離が段々近づいていきやがて俺の足は地面に着いた。と同時にメリナ先生が飛び込んで来る。
「ぐえっ!!」
「アレイスター!無事なのかキミは!心配したんだぞ!!」
「ぶ、無事で、です何とか」
飛び込んできた事により地面に伏しアレイスターに覆いかぶさる形で抱きつくメリナ先生。そのせいで喋るのもやっとの思いで応える。
「だがその体は!」
体を上げ立ち上がりながらに話すメリナ。
「あ、大丈夫ですよこの左半身は元に戻す手立ては考えてあるので!」
メリナは失った俺の左半身を憐れむように、悲しそうに見つめた。確かに現状俺の左半身は魔力で形を補完している状態。つまり左半身の肉体はすでに完全に欠損していて肉体としての機能を魔力で無理矢理繋ぎ止めている。普通の人間なら確実に死んでいるだろうが俺は幸運にも体質と召喚獣達のお陰で何とか命を繋ぎ止めている。
「アレイスター!!!」
「アレイスター君!」
ミラエル先生とネーネロ先生が共に駆け寄ってくれた。そして他の教師陣もゾロゾロと集まってくる。
「心配したわよ!大丈夫では、、、無さそうだけど大丈夫そうね!本当によかったわ!」
「まぁそうですね笑 大丈夫です ハハッ」
今の俺を見ても動じずいつもの感じで接してくれるミラエル先生。俺の状態が安定しているのを悟ったのか少し表情も和らいだように見える。
「正直ビックリしました。自分が死にかけるなんて思ってもみなくて。それに今回の敵の目的は俺を殺す事じゃなくて学園都市そのものを手に入れようとしてたんじゃないかなって。手に入れるために邪魔な魔特待主席を殺しそこからみたいな」
話しているうちに自分でも再認識する。フェイジーは確かに俺を殺しにきた。しかし奴らは既にゲィーターの作り出した裏世界で学園都市内に侵入する事ができた。だからこそ爆破魔法の設置も俺に対する不意打ちもできたわけだ。俺を殺すだけなら恐らくアーティファクトとかいう例の消滅魔法だけで事足りた。しかし奴らは魔物の大群に爆破魔法そして2人目の死角と何個もプランを考えている。そうなれば狙いは
「しかし、なぜ学園都市そのものなんだ?もし狙いがそうなら何の為に狙うのだ?」
メリナ先生が疑問を投げかけてくる。しかし、それを聞きたいのは俺も同じだ。だから俺は答える事ができずただ思考を脳内に走らせるだけだった。
「あ、そーいえばアイツ魔力と土地を献上するとか何とか言ってたきが、、、」
「魔力を献上ですか?」
「ええ、確かにユリオンとかいうやつに献上するって言っていたわ」
「ユリオン.....献上....」
「あいつら魔人族なのかと思っていたけどもしかして魔族なのかしら」
ミラエル先生が呟く。俺たちは一斉に先生の方に耳と視線を向ける。
「いやね、人型だったし七魔皇帝って名前も魔人族側の魔王達なのよ。でも魔人族という種族は殆ど我々人族と身体的特徴は変わらないのよね。それは魔力の構造も含めて。だから基本的には他から魔力を なんてする意味が無いと思うのよね」
「魔族は違うんですか?」
「魔族は魔獣や魔物達に近いかしら。魔物や魔獣は体内に魔力貯めがあってそこに魔力を外から溜め込むの。魔族も同様よ。勿論、ドラゴンとか魔力を自ら生成できる特殊な魔獣もいるわ。でも基本的には外から吸収するのが魔物や魔獣、魔族達の常識なの。だからもしかしてと思って。」
どうやらこの世界には魔人や魔族等も存在するようだ。一応一通りの歴史勉強はしてきたつもりだがまだ俺には知らない事だらけだ。そしてミラエル先生の見解ではユリオンは魔族で学園都市内の全ての人を俺含め皆殺しにしその魔力を手に入れようとしたのでは無いかという事らしい。
「で、ですが、やはり何の為に...」
メリナが不思議そうに小声で呟く。
「恐らく、種族進化でしょう。」
「種族進化?」
「なるほど!確かにそのユリオンとかいう奴がもし魔族ならその魔力を使って強制進化しようとした、と考えれば納得いきます!」
メリナ先生が分かりやすく説明してくれる。どうやら魔族は莫大な魔力と魂を糧に種族を進化させ魔王になることができるらしい。だがその種族進化も魔族によって必要な魔力と魂は変わる為今回の規模を考えると相当な魔族だと推測できる。
「あくまで私の推測に過ぎませんが、想定する分には問題ないでしょう」
確かにその通りだ。俺も自分は死なないとたかを括って実際に死にかけた。油断していた訳ではないが心のどこかで俺は絶対に負けないと思っていたし死なないと思っていたのだろう。だから次、同じヘマは絶対にしない。
「さて、取り敢えず警戒はそのままに!安全が確認でき次第、随時避難場所を開放!警報を解除した後学園都市を通常運転に戻します!各自いいですね!」
『はい!』
ミラエルの指示により教師陣は速やかに行動を開始。今回の騒動も一件落着だ。
「アレイスター、ここからは私たちの仕事です。貴方は家に帰ってゆっくりお休みなさい」
「ミラエル先生.....分かりました!お言葉に甘えて後はお任せします!」
後のことを全て任せた俺は1人 寮に向かって飛んでいくのだった。俺は疲れたのか帰り道の記憶はなく気付けば暗闇の世界に誘われていたのだった。




