招かれざる客②
第1章
12話
会議の間を飛び出し空に上がる。上から見渡すと魔物や魔獣達が学園都市を取り囲むように配置されていた。メリナ先生やミラエル先生 他の教師陣は爆破魔法の捜索、解除に動いてくれているのでそっちは任せてある。
「流石に大分離れてはいるけど2.30分もあればここまでたどり着くだろうな。」
俺は空に上がっていく。リュシリオン等を使うと召喚の際に場所がバレる危険性もあるので今は自分の力で上がっていく
「よし、ここら辺で」
俺は学園都市と魔物の群れが全て視界に収まるところまで昇った。そして
「飲み込め!エリュシオン!!」
大きな光の魔法陣から街をも覆い隠す程の恐ろしくも綺麗な召喚獣が現れた。それは新入生歓迎会の決闘の時にみせたエリュシオンよりも遥かに大きく禍々しい。そして神々しい。
「ディレクション・ペンタゴン!!!」
ドゥゥゥゥゥーーーーーン!!..............
学園都市周辺に居た魔物や魔獣が一瞬にして消失する。メラに対して使ったあの黒い球体が各魔物や魔獣事に配置され吸い込まれたらしい。離れた学園都市から全てを蹂躙した。
「ありがとうエリュシオン!本当に凄いな!」
「いえ、こんなもの造作もありません。いつでもお呼びください。」
「うん、頼りにしてる ありがとう!」
エリュシオンは光になり消えていく。
「ふぅーー」
俺は大きく息を吐いた。別に緊張してた訳では無いが肩の荷が降りたようなそんな感じがした。
「まさかここまでとは思いませでしたよ、魔特待首席殿。どうやら肩書きだけではないようですね。」
背後から声が聞こえる。ここは、学園都市の上空、空である
にも関わらず背後から声が聞こえるのだ。しかも、全く気配に気づかなかった。
「お前は?あの映像の」
「そう、私フェイジーと申します。」
フェイジーと名乗った男は全身をローブで覆っている。しかし、頭に被っていたローブは取っているようで顔が顕になっていた。
「まさか、こんなに一瞬にして全ての魔物が消滅するとは、恐れ入ります 貴方の力はホントに恐ろしい。だからここで見ておいてやはり正解でした。野放しにはできない」
フェイジーは着ていたローブを脱ぎさり姿を露にした。
漆黒の服に身を包みダークエルフのような見た目で髪の毛は黒色、どうやら男の様だ。
「改めまして、私七魔皇帝が1人ユリオン様が配下フェイジー・デイジーと申します。覚えなくても結構、今ここでアナタを殺します。」
フェイジーは首元に下げている小さなネックレスを引きちぎりその拳を俺の方に向けた。
「デス・ロスレス!紛うことなき闇夜に飲まれ、その存在そのものを消滅させよ!」
俺の頭上に幾つもの巨大な魔法陣が形成される。1つ2つと増えていき魔法陣の総数は7つにまで到達した。闇の結界のような物に囚われ空中に居る筈なのに体が固定され動けない。そして俺の体は徐々に浮き始める。
そして
パリィーーーン!!!
空に響き渡る程の大きな音でネックレスは弾け飛びアレイスターの頭上から闇の光が落ちた。逃げる事も防ぐ事もできない不可避の魔法。
「存在ごと消滅させるという失われた大昔の魔法です。その力を道具に宿す事により1回限りで誰でも使用できるという伝説級のアーティファクト。惜しいですが貴方になら使うのもやむ得ない。」
バシュューーーーン!!!
闇の光はアレイスターを包み込み瞬く間に衝撃が空中に伝わる。チラホラ合った雲は消え去り空気は少し澱んでいる。
闇の光は数秒の後 少しずつ狭まっていき最後は一筋の線になり消えた。そこにアレイスターの姿は無かった。
「魔力の反応は無い。流石失われた魔法ですね。これで後は学園都市を蹂躙するだけで終わりですね。」
フェイジーは学園都市内に仕掛けている爆破魔法を遠隔で発動させるべく降下していく。効果範囲内に居ないと魔法は発動できない。
「さぁ、はじめましょう。この国は魔皇帝ユリオン様の為に!この世界は魔皇帝ユリオン様の為に!」
先程まで戦っていたとは思えない程静かな空をフェイジーは学園都市に向けてこの国、世界を手に入れる為に降り続けていくのであった。




