学園生活④
第1章
10話
「ウル・エレガンツィア!!!」
集まった魔力の塊は一筋の光の柱のようにアレイスターに向け照射されるのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「塵一つ残しませんことよ!」
光の柱は更に勢いを増していく。2丁あった魔銃は段々と近付いていき1つになろうとする。
「魔銃:テレツィア!」
掛け声と共に魔銃は1つになり姿を変形させる。以前照射は止んでおらず変形した事により更に火力が上がる
「アル・テレツィア!」
空の色が変わりアレイスターの姿はとうに影すら見えない程の眩い光。しかし、一向に攻撃の手を止めないマルティラ・ベンガル。それは確かな手応えを感じていなかったからだ。
次の瞬間
「俺って召喚魔法以外使えないから防御魔法とかも使えないんだよね。」
ピィーーーン!!!
高音と共に光の柱が消失する。
「なっ!」
そこには先程の学生服姿とは大きく異なる装いをしたアレイスターが浮いていた。少し濁って見える真っ白いローブとその下にも同じ色の上下。
「まぁでも一応 魔特待首席だからな」
「っっなんですのその魔力....」
アレイスターの体から魔力が立ち昇る。普段は体が壊れないように魔力を召喚魔法を利用する事で無理やり縛り付け抑えている。しかし、今は明らかに魔力が体から溢れている。
「その服、魔力でできですの?」
「あぁ、俺の魔力が体の外側に溢れて服に見えるんだ。魔力をちょっとだけ解放してる?状態みたいな?」
「あ、有り得ませんわ!魔力が服の形に見えるなんてしかも魔力探知無しにこんなハッキリと!」
「そう言われても見えるんだからしょうがないじゃん」
「わ、私しの攻撃は一体どうやって」
「この状態だと一定以上の魔法は効かない、けど攻撃をくらってない訳じゃないから全部耐えたってのが正解かな」
「た、耐えた?私の攻撃を?」
「次は俺の番!」
掛け声と同時に大きな槍のような剣が空中より姿を見せる。
それは、入学試験の時に使ったあの召喚獣だ。
「オーディン!!!」
瞬間、見えない斬撃がマルティラ・ベンガルを襲う。立っている場所には1つの斬撃痕だけが残りマルティラも何が起きているか理解出来ずにいた。
「流石に殺しはしないけどお灸は据えて置かないとね」
アレイスターが上空よりマルティラの前に降り立つ。
「アレイスター!!」
フィオラが声を掛けたと同時に大きく振りかぶったアレイスターの拳はそのままマルティラの顔面に当たる寸前で止まった。
「フィオラに感謝するんだな、ていうかパイセンでしたっけ?遠くて見えて無かったんすよね、まぁ今更敬語なんていいか急に襲ってくるよう奴だし」
「アレイスター、凄かったわ。正直心配してなかったけど底がしれないわね」
フィオラがそう言いながら近くまで来る。
「フィオラ大丈夫?」
「それはこっちのセリフよ、まさか言ってた傍から戦いになるなんて でも大丈夫そうで安心したわ!」
「怒られると思ってたんだけどな笑笑」
「流石に怒らないわよ!今回は相手も急に仕掛けてきたし」
フィオラがそう言いながら目をマルティラの方に向ける。
マルティラは呆然とそこに立ち尽くし動く事ができずに居た
「マルティラ・ベンガル先輩ですよね。遠征から帰ってきて早々これはあんまりじゃないですか?どうしてこんな事を」
「............」
マルティラは何も答えない。
「もういいよフィオラ行こーぜ」
「え、ええ」
俺達は放心状態のまま立ち尽くして動かないマルティラをその場に放置し何事も無かったかのように校舎に向けて歩いて行くのだった。
そこへ
「アレイスター!!」
大きな声が前方より聞こえる。見慣れた黒髪ナイスバディーなメリナ先生だ。物凄く焦った表情で大急ぎに走ってくる。
「メリナ先生、どうされたんですかそんな慌てて」
「来るのが遅れてすまない!今回の遠征の件について報告を受けていたのだがお前が目当てだったらしい。結界や阻害魔法で校舎内では何も感じ取れなかったんだ。まさか時間稼ぎだったとは、生徒達も奴の軍隊に教室で監禁されていたらしくてな私も気付くのが遅くなった本当に申し訳ない。」
「いえ、メリナ先生が謝る事では無いのでそんな謝らないで下さいよ」
「いや、だかしかし、、、」
メリナ先生は今回の件を非常に重く受け止めてるようだ。まぁ確かに同じ学園の生徒とはいえ私兵の軍隊を使い学園を占領し挙句の果てには取り囲んでハチノス。俺だから何とかなっけど正直あのマルティラとかいう先輩の魔法は本物だ。この前のメラとかいう奴もそうだがただの調子乗りって訳ではなくしっかりと実力や実績があるからこそ1年の俺が魔特待首席になったのが許せないんだろう。
「まぁ確かに流石にやりすぎですよね。それならしっかりとあの先輩に対して今回の件の後始末?責任?をとらしてくださいそれで俺は大丈夫なんで」
「勿論それは当たり前だ!これは反逆行為といっても過言じゃないからな、ホントに...」
「反逆行為って...」
「そりゃそうでしょ?前みたいな決闘じゃなくて今回はタダの戦い、戦闘よ。国の最高戦力の魔特待首席に対してこんな事したら国家転覆罪に問われてもおかしくないわよ」
「え!それは言い過ぎじゃない?」
「言い過ぎなものか!だから言っただろう!その体は君だけのものじゃなくなると!魔特待首席は特別待遇は愚か卒業後の道までおおよそ決められる。国の一大事には必ず駆り出されるし戦争にでもなったら必ず出兵だ。つまり君は国にとって居なければならない存在なんだ!」
「へ、へぇー」
俺は魔特待首席というのを甘く見ていたのかもしれない。特別扱いは悪くないしそのお陰でご飯なんかもタダ。でもいざとなれば戦争にも行かないと行けないらしい。人を殺すのは些か本意では無さすぎるので勘弁して欲しい。
「まぁ、いい!今はあっちの方だ!後のことは私に任せてお前たちは教室に戻れ!」
そう言いメリナ先生はマルティラ・ベンガルの元へ向かった
俺たちは先生に言われるがまま2人で教室へと歩いていくのだった。




