第五話 赤の将軍⓶
今回は、異世界の話し言葉と日本語訳が、入り混じっているので少し読みずらいと思います。あと、2話くらいこのままでいきますので、読んでいただいている方には申し訳ないですがご容赦のほどお願い申し上げます。
「うーむ、誰も飲んでいかないねぇ...。美味しい水なんだけどねぇ。」
木々の間からこっそり観察していると、ちら見はするが、止まることなく走り去っていく兵士達をみて、
「指揮官らしい兵士を先頭に、50人や10人単位で兵士を引率してあっというまに山を超えて行くんだよなー。」
「これは、1000人弱の部隊なんざぁ直ぐに居なくなるな。う〜ん、幟でも立てるかぁ。」
早速"無料給水所"と書かれた幟を4本、魔法で追加したところ、「クスバチス?」(意訳:何が書かれているんだ?。)とつぶやきながら幟をチラ見し、首を傾げる様な仕草をしながら走り去る兵士が増えただけだった。
「あ〜、何となく日本語とは異なる言語で話してるようだしなぁ。」
「作戦失敗かな?。」
と、諦めかけた時に山頂側のテーブルを見ると、テーブルの前に3人の将校っぽい兵士が大壺の中身や、元気に呼び込みをしている私の擬像を指差したりしながら話込んでいた。
「ナァふゼパッションネーゼア。」
( ()内は意訳になります。)
「ナダヨウリプーブル?」
(壺の中身は水だよな)
「ソッコウナドゥダババーバラバ?」
(そこの売り子のねえちゃんにきけば?。)
「スッチンコパンパーレバ?」
(こいつに言葉がわかるのか?)
「ジュニュヤートゥフフジノートミョミョユジェダモンシェラセニシ。」
(なんか、盛んに「むりょむりょ」言ってるけど、何ていう意味なんだろうな。)
「くそ!何を話してんのかさっぱりわからん。」
(ネーハダ!ブジュマュネバネーパリツ)
「"なろう"標準の異世界言語翻訳はどこにいったんだよ!。」
(ムゥストラバラスゥサルパシモンデラ"ナフゥ")
俺は、しばらくは髪をかき乱し地団駄をふんでイラついていたが、やがて冷静になって彼らの表情をじっと観察しはじめた。
「あぁ〜、なんとなくだけど、飲んでいいのか判断が付かないのか。ま、こんな所に水売りがいたらあやしいしな。」
じゃあ、飲むのを薦めようかと考えていたら、下から分隊?らしき10人に囲まれた、くたびれた商人風の中年男性ふたりと、不機嫌な顔をしたエロいおばさん一名が登ってきた。
「イッケソゲギャン。」
(おい、そいつらはなんだ。)
将校っぽい3人組の中で立派なカイゼル髭を生やした年嵩な男が、分隊長らしき男に声を掛けた。
「アレテレキップ!」
(ぶんた〜い、とまれ!)
声を掛けられた分隊長らしき男は、行進をとめて、部下らしき兵士に二言三言話しかけて振り返ると、年嵩の男に向かって走って来きて手前で止まり敬礼をした。
「ュゥノウモアメドゥキェシヤソセシアドゥアバトルバドソシオデドゥンッ」
(モアメド中尉殿、あの3人は先の戦闘中に捕縛した者達です。)
「ハァムリレベスドブレスミアーラブダラ。」
(ふむ、ちょっと3人をこのテーブルの前にならばせろ。)
「ハァ!デコンテンアンシアン」
(は!、お前達こっちに来て並べ。)
「バーディシッ!!」
(急げ!!)
と分隊長っぽい男が話しながら商人らしき3人を手招きした。
「あ!なんか商人たちを呼び寄せている言葉が違う!。まさか青の奴らも言語が違うとか言うなよ。」
「戦争するくらい仲が良いんだから言語統一しろよ〜ぅ。」
と、私が頭を抱えている間に商人らしき3人はテーブルの前に横並びに並んでいた。
不安そうに視線を泳がせている3人に対してカイゼル髭の中尉は壺の水を飲む様に命令した。
「ジゼル。」
(飲め。)
なぜかポカンとしている3人を見て、カイゼル髭の中尉が再度命令した。
「センクンジェス。」
(飲め。)
男2人は腹の前で両手を絡ませながら、不安そうに前や左右や後ろを振り返ったりしたが、決してコップを手に取ろうとしなかったが、エロいおばさんはむんずとコップを手に取り、壺の中の水を汲み取り一気に飲んだ。くわっと目を見開きながら、からのコップと私の擬像を見つめた後、さらに続けて5杯飲むと、コップをテーブルに置きカイゼル髭の中尉に向かって言葉を発した。
「デイスアタスタマーデテレスケレマーダ。」
(こんなに美味い水を飲んだのは初めてだよ。)
と、満足そうに元の場所に戻ろうとしたのでわたしの擬像は、広口の600ml入る木栓で締めた陶器製のマグボトルに水を入れ、手渡しながら、「お飲みいただきましてありがとうございました。」と元気よくお礼を言うと、しげしげとボトルを見た後、とても綺麗な笑顔で「ダンカッ」(ありがとう)と言うとさっそうと元いた場所に去っていった。残った二人組も急いで水を飲むと、お礼をしておまけのマグボトルを受け取ると、笑顔で同じく元いた場所へと去っていく。
カイゼル髭の中尉は、興味深かそうに彼等を見送りながら、ふと、視線を麓に向けると、緊張した面持ちで周りの兵士に号令を発した。
「ジェレナハレナ。」
(将軍閣下がこられる。)
「アリニフ!」
(整列!)
弾かれた様に整列した兵士の前に、白地に銀の装飾のされた同じデザインの甲冑を着込んだ騎乗した兵士が6人が現れた。
「サリュ!」
(敬礼!)
周辺の全ての兵士が6人を見詰めながら敬礼をした。(ついでに私の擬像も真面目な顔をして敬礼しているが。...)
6人の中の1人が面覆いを跳ね上げ答礼をした後、良く通る声で発言した。
「メッセイトゥドバタガヤヤシ。」
(皆ご苦労。)
「ホットウメアラミッション。」
(任務に戻ってくれ。)
兵士達は、一斉に頂上を目指して動き始めあっという間に居なくなったがカイゼル髭の中尉と、将軍を含む6人はここに残ったままだった。
たぶん、お分かりになった方もいるかもしれませんが、赤の軍人の母国語はフランス語で、青の軍人の母国語はドイツ語になります。
翻訳アプリで発音を聞いて私がカタカナに起こしました。
まあ、ゲームのキャラクターが人間になってしまう世界なので(主人公のユノは実はアンデットです。)地球の言語があってもいいやないかと思っています。