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03 俺が勇者だ
きっと俺が勇者だ。
世界の危機をなんとかするために、召喚されたんだ。
そう思い込む事にする。
そうでもなきゃ、やってらんないよ。
ためしにティナにも、言ってみた。
「あなた、大丈夫? どこかであたま打った」
うん、そうなるよね。
俺の能力って生きてる限り証明できないから、ていうか死んでも証明できないから、無理だよね。
考えようによってはどんな優れた力よりも有能な気がするけど、周りが認知してくれない所がハードル高志くん。
「じゃあ、俺が勇者だった何するべきだと思う?」
「じゃあの意味が分からないけど」
ですよね。
でも俺のヒロインは、俺のめちゃくちゃな質問にも一応考えてくれた。
「そうね、王様に謁見して、ちゃんと勇者ですって言わないと」
無理だぁぁぁっ!
「それから、すごい能力を使って、皆を助けなくちゃ」
俺には、できましぇんっ!
「まあ、勇者も世界の破滅も、おとぎ話だけど」
ああ、そういうの、一般人には信じられていない情報なんだな。