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03 従業員
行く当てがない俺はティナの所でずるずると世話になり、居候になった経過を経て、見習い従業員と化した。
「いらっしゃいませーっ! へいらっしゃい!」
「あなたって、挨拶だけは、一人前」
「いやぁ、それほどでも」
「これ、ほめてないよ?」
ですよねー。
薬屋ヘブンズドアの店員と化した俺だが、不器用なもので成績はよくない。
唯一誉められるのは、声の大きさと接客だけだった。
よく来るばあちゃんじいちゃんと、長い話をするのは好評だ。
声、聞き取りやすいってさ。
「店の奥で調合してるから、よろしくね、店番」
ティナは熟練店員の腕を駆使して、店長の手伝いをよくしている。
薬の調合もその一つだった。