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07 頼
慣れない仕事で疲れがたまっていた俺は、その日珍しい夢をみた。
前の世界の夢だ。
その夢の中でも、俺は色々な人を頼って生きていた。
宿題ができない。
課題が終わらない。
仕事ができない。
忘れ物をした。
お金が足りない。
道が分からない。
一人で何かを満足にやりとげた記憶なんてない。
俺は、毎日誰かを頼ってばかりで、生きていた。
そんな俺の名前が、「人から頼られる人になりますように」と名付けられた「たより」なんだから笑える。
俺は、誰かから頼られた事がない。