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図書館の天才少女〜本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!〜  作者: 蒼井美紗
第4章 聖女交流編

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73、本好き同士の会話と料理完成

「日本の学校は本当に色々なこと学ぶの。幅広い教養を学んで、専門的なことにも少し踏み込む感じかな。あとわたしは家庭科部っていう裁縫や料理をする活動に参加して、学校が終わってからは短時間の仕事もしてたよ」


 ハルカが答えた日本での暮らしの忙しさに、マルティナとナディアは驚きの表情を浮かべた。そしてナディアが問いかける。


「そんなに色々として、本を読む時間があったの?」

「そこは頑張って捻出してたかな。しばらく読めなくても大丈夫って言っても、週に三冊ぐらいは絶対に読みたかったから。睡眠を削ったりね」


 苦笑しつつそう言ったハルカに、マルティナは心から同意してハルカにグイッと近づいた。


「分かる……! 睡眠を削ってでも本を読んだ方が休息になる時があるんだよね。私も官吏になってからは忙しくてなんとか時間を作り出す日々だから、凄く気持ちが分かるよ」

「本を読む時間は癒しになるよね。凄く辛い内容の本でもなぜか疲れが癒えて」

「辛い物語も、その世界にのめり込めるだけで癒しになるからね」

「そうっ、そうなの」


 ハルカも前のめりで、マルティナの言葉に同意をする。


「ニホンにある物語ってどういうものがあるの?」

「日本には無数の物語があったよ。恋愛やミステリー、お仕事もの、友情、歴史、冒険、空想世界。いろんなジャンルの本が一生かけても読み切れないだけあったかな」


 一生かけても読みきれない量の物語。その言葉はマルティナの心を打ち抜いた。


(何その楽園!)


「ニホンって最高の場所だね……!」

「ありがとう。でもこの国もいいところだと思うよ。そうだ、今度マルティナにおすすめの本を教えてもらおうかと思ってたんだけど、選んでくれる?」

「もちろんだよ。いくらでも選ぶから言ってね。どういうジャンルの本がいいとか要望はある?」

「ううん、わたしは基本的になんでも読むから」


 ハルカが首を横に振った瞬間に、マルティナの脳内ではさっそく本の選別が始まる。


 まだこの国に来てあまり日が経っていないハルカが読んで楽しめて、できれば知識も身につくような本がいい。それから選ぶ本の内容は被らないようにしたい。できれば著者も全て別の人にして、ハルカに自分の好みを見つけてもらいたい。


 様々な考えのもとで、いくつかの本が選び取られていく。


「五冊ぐらいで大丈夫?」

「うん。ちょうどいい量かも」

「じゃあ、おすすめの五冊をハルカが読めるように手配しておくね!」


 マルティナが満面の笑みで告げた言葉に、ハルカも笑顔で頷いた。


「ありがとう。わたしも覚えてる日本の物語があったら、書き出してみるね。昔話みたいな短いお話なら、いくつか覚えてると思うから」

「本当!? ありがとう……!」


 ハルカの気持ちが嬉しくて深い感謝を伝えたが、まだ感謝し足りないと思ったマルティナは日本語を使うことにした。


『ありがとう! 異界のお話を読めるなんて、凄く嬉しいよ』

『おおっ、凄いね。発音まで完璧。もう日常会話なら全く問題ないと思う』

『ハルカが毎日教えてくれたからだね、ありがとう。そうだ、読み書きもできるようになったから、もし良かったら異界の物語は日本語で書いてくれない?』


 その提案に、ハルカは嬉しそうに頬を緩ませる。


『もちろん良いよ。それにしても異世界なのに日本語で会話ができちゃうなんて、なんだか不思議な感じ』

『ちゃんと話せるようになって良かった』


 二人の会話がそこまで進んだところで、野菜の切り分けが終わったナディアが少しだけ頬を膨らませながら不満そうに告げた。


「二人とも、わたくしも会話に入れて欲しいわ」

「あっ、ナディアごめんね」


 すぐリール語に戻してマルティナが会話の内容を伝えると、ナディアは尊敬と呆れが混じった表情だ。


「本当にマルティナはニホンゴを覚えてしまったのね。将来的に外務部に転属、または出向なんてこともありそうだわ」

「確かにマルティナの能力は、外交に向いてそうだね」


 二人からそんな未来を示唆されたマルティナは、無意識にソフィアンへと視線を向ける。しかしソフィアンはいつも通りの綺麗な微笑みを浮かべるだけで、感情は読めない。


「どうなるのかは分からないけど、他国に行けるならぜひおすすめの本を読ませて欲しいなぁ」


 マルティナらしい言葉に、ナディアとハルカの二人が笑い声を上げた。



 それからも楽しく会話をしながら料理は進んでいき、ついに完成間近となった。肉じゃがは火を止めて少し休ませているところで、天丼はあとタレの調整と盛り付けだけだ。


「タレの味、これで大丈夫かな」


 少しだけ不安そうなハルカが、また少し味見をした。


「うーん、もう少し甘みがあってもいい気がする。やっぱりみりんがないと難しいね。出汁も日本のものとは少し味が違うし……」


 悩んだハルカはさらに砂糖を追加した。そして料理酒も追加し、タレを熱していく。


 それからしばらくして満足のいく仕上がりになったのか、ハルカは完全に火を止めた。


「よしっ、あとは盛り付けだね。もう夕方だしたくさん作ったから皆で食べよう。ソフィアンさん、外にいる方たちの分も盛り付けていいですか?」


 ハルカ付きである他国の者たちへも料理を渡そうというハルカの提案に、ソフィアンはあまり迷うことなく頷く。


「構わないよ。では食堂の方で食べることにしよう」

「ありがとうございます!」


 そうしてマルティナたちは、全員でハルカが作った日本食の試食をすることになった。

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