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照井芽衣シリーズ

夜、冷気、スピード

作者: 川里隼生

 二十時。芽衣めいが自宅のアパートを出た。夜空に向かって深呼吸をすると、吐息が白く見えた。京都は本格的な冬である。


 彼女が外出したのは、徒歩十分程度のコンビニに夜食を買いに行くためだ。斜め上の空に見えるのはオリオン座。オリオンの右肩に明るく輝き、夜空で月を除けば最も大きく見えるベテルギウスは、近く超新星爆発、すなわち星の死を迎えるのではないかと期待されている。同時に脚の間のオリオン大星雲では、今この瞬間にも新しい星が誕生しようとしている。芽衣にとっては、オリオン座の形が変わってしまうかもしれないことへの不安しかない話題だ。


 芽衣は夜に出歩くのが趣味だ。昼よりも街が静かで、それでいて空は昼より賑やかに見えて、空気は冷たく澄んでいる。イヤホンはあってもなくても良い。今日はスマホごとアパートに置いてきた。


 レモンサワー、チョコレート、ミートボール、それから肉まんを買った。肉まんを食べながら来た道を戻る。今日は新月だ。芽衣はベテルギウスを見上げた。まるでこちらを見つめているかのように大きく、明るい。千年間、京都が見てきたオリオン座は何かが変わっているのだろうか。動くもの、変わるものが少ない夜が、芽衣は好きだ。

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