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十三番目の女神  作者: 水渕成分


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4/6

 「いえ、魔女様がおっしゃられてました。勇者様はきっと謙遜されるだろうけど頼み込んで来てもらえと。勇者様には魔女様が『ちーとのうりょく』を付与されているから絶対大丈夫だと」


 「いやっ、いやいや、僕に『チート能力』なんてないですよ。そんな自覚ないし」


 「「勇者様」」


 それまで壮年の男性の陰にいた若い女の子二人が前に出てくる。わあっ!


 「「どうかどうか、村をお救いください。村を救って私たち二人と結婚してください」」


 (ぶっ、何それ。若い女の子二人にうるうるした目で上目遣いに見られるなんて、前世じゃ一回もなかったぞ。ドギマギする。いやいやいや、いかん。ほだされてはいかん)

 「何とかしてやりたいのはやまやまだけど、僕は本当に『勇者』じゃないんで」


 その僕の言葉に若い女の子二人は顔を見合わせる。あ、やっと分かってくれたのかな?


 「「勇者様」」

 何と二人の女の子は僕に抱き着いて来た! おおお、おっぷぁーいが当たるうっ!

 「魔女様の言われた通りですっ! 勇者様は『ふぇみにすと』だから、私たち二人がそう言ったら絶対そう言うって」

 「それを言ったら『本物の』勇者だから、村長()は土下座して、私たちは色仕掛けをしてでも連れて来いと、そうすれば村は救われると」


 サーティーン。なんつーことを吹き込んでくれたんだー。気が付けばさっきの壮年の男性が土下座してるし、これじゃあもう断れないじゃないかー。


 「わっ、分かりましたよー。村に行きます。でも、僕が守れるかどうか分かりませんよ」


 「「大丈夫です。魔女様が言われてました。勇者様の『ちーとのうりょく』は無敵だと」」


 「……」


 かくて、僕は女の子たちにおっぷぁーいを押し付けられながら、村に向かったのである。


 だけど、サーティンはどんな「チート能力」を僕に付与したんだろう。ぱっと見、何も変わってないようなんだけど。本当に大丈夫なのかなあ。


 ◇◇◇


 村に着くと、あっ!


 木の陰に隠れているつもりなんだろうけど、僕には分かるぞ。サーティン。

 「サーティンさん。なんでそんなところに隠れているんです?」


 「うふ。うふ。うふふふ。隠れてるんじゃないの。暗くて狭いところが好きなの」


 「あなた猫ですか? それにあなた女神なのに僕の転生先について来ちゃったんですか?」


 「うふ。うふ。うふふふ。あなたが『チート能力』を発揮するところを直で見たいの。だって、あなたは私の『最高傑作』なんですもの」


 (物凄く嫌な予感がするけど、ここは聞いておかないと……)

 「サーティンさん。僕の『チート能力』って何なんです? それが分からないと村も守れませんよ」


 「うふ。うふ。うふふふ。大丈夫。私に任せておけばいいの。大活躍させてあげるから」


 「いやそう言われても『チート能力』が何か分からない……「ガーハッハッハッ!」


 うわ、何だ? いきなり笑い声に会話を遮られたぞ。


 「おうっ、村の者どもっ! 金と食い物と女の用意は出来てんだろうなっ?」


 え? 盗賊が来ちゃったのー?


 ◇◇◇


 「何だ何だ何だっ! 見たところ用意出来てねえじゃないかって、おっ?」


 わあっ、盗賊の親分らしき男と目が合った。しかも、何か髪の毛を逆立てて、体を震わせてるぞ。


 「あー、貴様ーっ!」

 盗賊の親分らしき男の脇にいた男たちが騒ぎだす。

 「若い女、二人もはべらせやがってっ!」


 あ、そうだった。今の僕には女の子二人がくっついてたんだっけ。「勇者」にまつり上げられた上に、何の「チート能力」か教えてもらえないもんだから、気持ちがそれどころじゃなかったよ。


 「知らねえぞーっ。てめえ。兄貴は『リア充』と『ゴ〇ブリ』が大嫌いなんだからなっ!」

 「そうだぞっ! こないだなんかなあ、『ひのきの棒』で『キャーッ』って言いながら、『ゴ〇ブリ』を叩き潰したんだからなっ!」

 「ちなみにこれがその『ひのきの棒』だっ! 見ろっ! 『ゴ〇ブリ』が潰れたまま張り付いてるぞっ! ハッハッハッ、どうだっ! 恐れ入ったかっ!」


 えーっ、その「ゴ〇ブリ」張り付けたままなの? 取って捨てた方がいいと思うんだけど。


 ◇◇◇


 相変わらず「兄貴」と呼ばれた盗賊は僕を睨みつけてる。そして、気が付けば僕にくっついている女の子二人が睨み返しているし、うわあ。

 「へっへーん。おまえなんか怖くないよーだ。この『勇者様』にかかれば、イチコロだもんねー」

 「そうそう。この『勇者様』は『ちーとのうりょく』を持ってるんだからね。おまえたちをぶちのめしたら、私たち二人と結婚するの」


 バキッ


 「兄貴」が握りしめていたらしい石が粉々に砕けた。

 「許さんっ! 貴様だけは絶対に許さんっ! 『リア充』撲滅すべしっ! この『ひのきの棒・ゴ〇ブリ殺し』で駆除してくれるわあっ!」


 やだっ、そんな死に方。「チート能力」もらって転生したはずが何でこうなるの?


 「ぬおおおっ!」

 「ひのきの棒・ゴ〇ブリ殺し」を振りかざし、僕に向かって突進してくる「兄貴」。僕の周りから素早く逃げる女の子たち。ええっ?


 その時、僕の意思とは関係なく、両拳が握られたまま、腕が真っ直ぐ前に伸びて……








 

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― 新着の感想 ―
[良い点] Gの死骸が張り付いたままのヒノキの棒は、勘弁願いたいですね。 また、Gを叩き潰した時の山賊の兄貴の悲鳴が、まるで女の子みたいです。 よっぼど苦手だったみたいですね。
[一言] 兄貴……! (*≧∀≦)∞(≧∀≦*)♪握手!!! けどGつけっぱなしは、えんがちょですー(笑)
[良い点] 色々とおかしいww ツッコミが追いつきません! 村娘から盗賊の頭の下りまで終始笑えましたww
2022/02/05 09:44 退会済み
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