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第三十三話 待ちわびて……

 このお話で完結となります。

この後、本作の番外編は今後↓にて不定期ですが更新を続けていきます。


https://ncode.syosetu.com/n9637gz/

「変態王子&モブ令嬢 番外編」


それでは、最後までごゆっくりお楽しみ下さい☆

「わぁ! タクト様、見て見て。凄くキレイ!」


 馬車からの景色にはしゃいだ声を上げるわたしをタクト様は嬉しそうに眺めている。今日は約束していたデートの日だ。目的地はローゼン公爵家の所領の一つであるシンナビエ。オルプルート王国の北西に位置するシンナビエは隣国との国境から伸びる海岸線沿いにある大きな港町だ。


 他国との貿易も盛んに行われており、活気に満ち溢れている。ローゼン公爵家の領地の案内を兼ねて十日ほどの滞在となる予定だ。タクト様と初めて外泊をするので、なんだかテンションがおかしくなってしまってるかもしれない。馬車の窓から見えた海に、子供の様にはしゃいでしまった。


「うぅ、ごめんなさい。ちょっと、はしゃぎ過ぎました」


 ふと我に返って、ちょこん……と座席に座り直す。今日は長旅なので、タクト様とは向かい合わせに座っている。


「全然気にしてないよ。はしゃいでるゼフィーも可愛いから見てて飽きないし」


 頬杖ついて微笑むタクト様。あぁ、今日もイケメン絶好調です。


◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆


 シンナビエに到着したのは夕方だった。街の散策は明日からにして、ローゼン公爵家の別宅内で少し休憩をする。わたしに用意された部屋に通されると、思わずソファーに身体を投げ出した。途中休息は挟んだものの、ずっと座っていたから身体がバキバキだ。 お供について来てくれたスワンが肩や背中などを揉みほぐしてくれた。


 夕食は魚介を中心としたメニューだった。さすが港町だけあって、新鮮な魚や貝を使った料理はそれだけでも旨味が多く、贅沢な気分だ。それにしても、ローゼン公爵家の領地の広さには脱帽する。さすがは筆頭公爵家というべきだろうか。


 それに隣国と隣接している場所は全てローゼン公爵家が管理していた。それもローゼン公爵家が武術に長けた一族だという事も関係しているのだろう。歴代の王立騎士団の団長や、王族専属の護衛騎士も多くはローゼン公爵家の家系から輩出されている。


 こうして考えてみると、ローゼン公爵家って権力エゲツないな。絶対逆らっちゃダメなヤツだ。何で歯向かったの、レオ様……。


「ゼフィー、ちょっと良い?」


 食事の後、タクト様から散歩に誘われた。ローゼン公爵家の別宅は、シンナビエを見下ろせる小高い丘の上に建てられている。邸の周りにある庭の一角にタクト様に連れられて歩いて行く。


「……うわっ、すごい」


 目の前に広がる景色に感嘆の声を上げる。シンナビエの町灯りに加えて、キラキラ輝く星空が広がっていた。


「この景色をゼフィーに見せたかったんだ」

「こんな綺麗な景色、初めて見ました」

「……ゼフィー」

「はい」


 タクト様が急に跪かれた。そして、わたしの手を取ると……手の甲にキスを落す。


「……タクト様?」


 そのままの姿勢でポケットからキラリと光るリングを取り出された。


「っ!」

「アスチルゼフィラ・ピスケリー嬢。わたしタクト・ローゼンと結婚の約束をしてくれますか?」


 わたしの左手薬指にリングをはめるタクト様。リングの台座には大粒のピンクスピネル。その周りには、まるでピンクスピネルを護るかの様に小粒のコバルトガーナイトが幾つも囲んでいる。二人の思い出の石が付いたリングをはめられ、更に熱いまなざしで見つめられた。


 約四年越しに二度目のプロポーズをして下さった、前世からの推しのタクト様。ローゼン家の力を使えば無理矢理にでも婚約を押し通せたものを、わたしの我儘でこんなに待って下さった。こんなに優しくて、こんなに誠実で、こんなにわたしを想って下さる素敵な人。


「……はい、勿論です。わたしをタクト様のお嫁さんにしてください」


 わたしの返事を聞いて、クシャクシャの笑顔になりタクト様は立ち上がった。そして、そのままわたしを引き寄せて腕の中へと包まれる。


「ヤバ……嬉しすぎて、ゼフィーをお姫様抱っこしたまま町を駆け回りたい」

「だ、ダメですっ……」

「はは、冗談だよ。でも嬉しいのは本当だ」

「わたしだって嬉しいです」


 こんなに幸せになっちゃって良いのかな。大好きな世界で、大好きな人と、これからもずっと一緒に居られる。この世界に生まれ変わって来て、本当に良かった。


 そして、今のわたしに転生させてくれてありがとう。モブだけど幸せだよ。


 わたし達は星空の下で抱き合ったまま微笑み合い、そしてゆっくりと唇を重ねた。

 最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました。

二作品目という事で、前作のスピンオフ的な形で書き始めましたが

キラキラ王子が予定していたよりも出番が多くなり自分でもビックリ。

アル殿下はこのシリーズのキャラの中で一番書きやすいというか、勝手に動きまくってくれるキャラでした。

いやはや、書いてて楽しかった(笑)。


 今後も番外編でまた皆さんの前に現れてくれるでしょう。ティアナと殿下は生暖かく見守ってやって下さい。

ゼフィーとタクトも、かなりのラブラブっぷりでしたが……未来の国王とその側近がこの二人で大丈夫なのか、この国(笑)。


それでは、新作でもお会いできることを楽しみにしております。

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