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第二話 少年タクト様

「まだ気分悪い?」


 見目麗しいタクト様が心配そうにわたしの様子を伺って下さいました。お茶会は庭園で行われているというのに、タクト様はわたしに付きあって客間に残っている……お姿が眩しすぎてまともにお顔を見る事が出来ないのですが、このまま引き止めてしまっては申し訳ないです。


「いえ、もう大丈夫ですので。タクト様はお茶会の方へ……」

「それはダメだ。君を一人でここに置いたまま行くなんてわたしには出来ない。あっちはティアナとスクトが居るから大丈夫だよ、気にしないでいい」

「そっ、そんな……はうっ!」


 思わず顔を上げるとメチャクチャかっこいいお顔を拝見してしまって、わたしはその衝撃にのけぞってしまう。やばい、やばいです。少年タクト様、美少年すぎてハートを撃ち抜かれそう!


「はう? だ、大丈夫か? 顔が凄く赤いぞ。熱でもあるんじゃ……」


 そう言ってタクト様がわたしのおでこに手を当て――――。


「ひぎゃぁああああああああああ」


 慌ててソファーの上を左から右へと大移動するわたし。わたしのおでこに当てられていた手が空を切り、そのまま驚いた目をして立ち竦むタクト様。……や、やってしまったー!


「……申し訳ない。初対面の男に触れられたら嫌に決まってるよな。妹が居るからつい癖で」

「いえいえいえ! ただビックリしただけですので! こ、こんな(ひたい)を触って頂けるなんて、嬉しくて死にそうです、はい」

「ぶっ……お、お前、変な奴だな」

「光栄で御座いますぅぅぅ」

「褒めてないっつーの。なんだよ、お前、面白い奴だな……気に入ったよ、うん」

「へ?」


 気に入られてしまったみたいだけど……大丈夫かしら。わたし、あまり認識されては困るんだけど。でも、素のお姿を見せて頂けたのは凄く嬉しい! “君”からの“お前”呼び! 鼻血出そうだわ。


「それだけ元気に動ければ大丈夫そうだな、もう少しここでゆっくりしてから庭園へ来たら良いよ。何かあったら扉の外に居るメイドに声掛けて」

「はい……ありがとう御座いました!」

「おう」


◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆


 それから――。


 十分に休憩を取らせて貰ってから、お茶会会場の庭園へと顔を出したのだけど。ビックリしたのはあの悪役令嬢のティアナ様と婚約者のキラキラ王子が、メチャクチャ仲良しだったの! どちらかと言うと、キラキラ王子がティアナ様を溺愛してるみたいに見えた。……ビックリしすぎて、アホみたいに口をポカーンと開けて見入ってしまったわ。まだ入学してないから仲良しなのかしら? ヒロインと出逢ったらキラキラ王子の態度もきっと変わるのよね?


 でも、今のティアナ様……全然悪役令嬢っぽくなくて、笑顔が可愛らしくて好きかも。キラキラ王子だけじゃなく、ティアナ様の周りには笑顔のタクト様とスクト様も居て。とても微笑ましい兄妹に見えた。皆がティアナ様を大事にされてるのが伝わって来て、なんだか見てるだけのわたし迄あったかい気持ちになっちゃった。


 将来はあんな笑顔いっぱいの家庭を築きたいなぁ。まぁ、こんなわたしも貴族の端くれだからその内両親から勝手に婚約者を決められてしまうんだろうけど。

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