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cold cigarette kiss  作者: 煙 うみ
8/14

2.5

夜の中の灯りが1つから2つになった。


ふと視線を上げたとき、私を見つめていた彼の両目は、深い穴の底を覗いているみたいに暗くて、冬の外気とは関係のない冷えが背中をぞわっと襲った。


どうして私なんだろうと思った。


私は夏子のように伊吹と付き合ったこともなかったし、あの頃の私は鏡を見ながら眉を描くことすら知らなかった。どうして。どうして私を。



「・・・私、埋めたいものがありそうに見えた?」


答えは返ってこなかった。


伊吹の冷えた両手が私の頬を静かに包む。

顔が近づく。煙草はいつの間にか口から取り上げられた。

メンソールの味がする息が流れ込む。



結局、公園には何も埋めずに帰った。

あの夜の冷たいキスの意味を、私は生涯知ることはない。


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