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1.2
小学校5年生で転入した私もそこそこ大胆でませたガキだったので、
彼に見初められ、いつのまにか一緒に悪いことをする仲になっていた。
放課後の保健室にたむろしたり、誰もいない夕暮れの校庭で本格的な落とし穴掘りに勤しんだりしていたら、
彼を中心とする悪ガキ仲間たちと互いの家を行き来するのが日常となっていた。
「映画撮ろうぜ。卒業記念。」
そんなことを突然言い始めた日は、放課後に早速、彼の家に集まった。
JRの大規模工事前で、古い高架を走る中央線の轟音が割り込んでくるものだから、
お互いの声すらも聞き取れなくなって、映画の収録は5分毎に中断されて、その度に皆でけらけら笑った。
それでも彼は真剣な顔をして、手持ちのビデオカメラを何度も何度も回し続けていた。
あの映画を焼いたDVDは、何処にいっちゃったかな。